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「任務完了、っと」
五十嵐 零花 (いがらし れいか) が言い、血に濡れた手をぱんぱんとはたく。
「今回のはかなりきつかったよな。零花、お前の能力なければ俺ら死んでたかも」
如月 翔(きさらぎしょう) が零花に答える。
ユニット(ユニットは敵のグループ名)の敵たちは、零花と翔が何人か殺したあと残っていた仲間と一緒に諦めて逃げていった。
翔と零花は、有名な彩雲高等学校に通っている。今までに強いヒーローが何人か出ているすごい高校だ。
それも、バレにくいようにビルの上の方にある。
2人は歩き出した。
ガラッ
零花が教室のドアを開け、言う。
「戻りました」
教室のみんなが一斉に2人の方を見る。直後、全員が二人の周りに集まり、歓声をあげる。
「すごい!あの強敵倒したの!?」
「てか2人ともめっちゃ怪我してんじゃん!痛くないの?」
「それな!よくその怪我で戦えるなって思う!!」
「学校のトップヒーローの零花さんと翔、今はこの県でもトップの実力らしいけど、本当!?」
クラスメイトの質問や褒め言葉の嵐。零花も翔もその攻めに戸惑っている。
「みんな席に戻りなさい。五十嵐さんと如月さん戸惑っているでしょう」
先生の一声で全員が席につく。その後、先生が2人に聞いた。
「一応聞きますけど…五十嵐さん、如月さん、勝ったんですよね?」
「もちろん〜」
翔が答える。教室に、もう一度歓声が響いた。その中で、零花が言った。
「ええと…勉強…戻ってもいいですか?」
「もちろんですよ。休んでも、勉強をしてもかまいません」
「うっしゃ、俺休む〜」
翔はもう帰る支度をしている。
「あっ、翔!待ちなさい、まだテストの勉強終わってないよ!」
「げっ…しまった…」
「とりあえずあと1時間は授業受けましょ」
「はーい…テスト赤点は嫌だー…」
翔は渋々と教室に戻っていく。
「…さすが勉強熱心の優等生、五十嵐さんですね」
先生の言葉に、零花除く全員のクラスメイトが頷いた。
授業半ば。廊下の窓が割れる音がした。窓から、鳥のような敵が姿を表す。
「ユニット!?翔、行くよ」
「おっけ〜。敵はハーピー…じゃなくてヒビカっぽい」
零花と翔はヒーロースーツ姿に変身し、能力を解放する。
零花の能力は死垂れ桜。刃物のように鋭い桜の花を操ることができる。
翔の能力は瞬間移動と炎。炎を操りながら瞬間移動で敵を一掃できるほどの力を持つ。
窓を割って入ってきたユニットは、翔の言った通りヒビカだった。ヒビカはハーピー(鳥)の能力の持ち主。だから、ビルの上の方にある高校の窓を割って中に入れたのだ。
「ヒビカ〜?名前ダッサw」
「弱そうじゃん、あたしでも倒せるかも」
「しっ!ちょっと、そんなこと言っちゃ…」
運悪くヒビカがそれを聞いていたようで、クラスメイトに襲いかかろうとする。
「キサマら、うるさい」
「うわあああ!?」
ひら………スパッ!
周囲にひらひらと血がついた花びらが舞う。ヒビカは羽を切られてまともに戦えず、逃げ出した。舞っている花びらの中心にいるのは零花だ。
「敵の悪口を言うなんて…死にたいわけ?」
零花が手のひらに桜の花を浮かばせて、言う。その花にも血がついている。
ジュワッ!
翔が逃げたヒビカに追い打ちをかけるように炎のレーザーを放つ。レーザーはヒビカに直撃。ヒビカは地面に落ちていった。
クラスメイトたちは驚きの目で零花と翔を見る。クラスメイトたちも一応戦える能力はあるのだ。先生からも自分の身は自分で守れと教わっている。でも、零花と翔はクラスメイトを助けた。クラスメイトの気持ち感じ取ったのか、零花が言った。
「自分の身は自分で守るのはもちろんそう。だけど、私達は違う。私と翔の能力は人を助けるためにあるもの。私は、自分の命が犠牲になってでもあなたたちを守る」
翔も頷き、言った。
「じゃあな、ヒビカ倒してから戻る」
2人は割れた窓を乗り越えて落下…して、別の低いビルの屋上に降り立つ。そのまま走って横のビルの壁に足をつけてジャンプし、また別のビルの壁に足をついてジャンプするの繰り返しでどんどんヒビカに近づいていく。もう、さっきいたビルが小さく見えるところまで離れてしまった。
クラスメイトが見ていた窓から離れようとしたその時。
強烈な闇と雷のエネルギーが零花と翔のいるあたりで爆発した。
ドン…!
空に稲妻と闇のエネルギーが立ち上ると同時に耳をつんざくような音が響いた。
翔と零花はギリギリで別のビルの壁に移り、逃げていた。そのまま猛スピードで高校に戻る。
いきなり窓から飛び込んできた翔たちに、クラスメイトたちはものすごく驚いていた。
零花は頬に作ってしまった切り傷の血を手の甲で拭く。
「あっぶな…死ぬところだった」
「それな!まさかヒビカの側に別の強敵ユニット2人は想像しなかったよな、零花」
「今日は撤退かな。ちょっと情報収集するので帰りますね。翔、よろしく」
「はいよ〜」
パッ
2人は消えた。瞬間移動したっぽい。クラスメイトたちは何がどうなっているのかわからなかった。でも、零花と翔が自分たちを守ってくれたことだけはわかっていた。
第2章に続く⇨