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Interview

多様なジャンルを手掛ける作家にインタビューしてみたら、エンタメ事情が既にエンタメだった

テラーノベル発作品のコミカライズ事例や裏側を中心に紹介する『Teller Novel more(テラーノベルモア)』。
今回はテラーノベル公式作家・雨宮黄英さんのインタビュー第2弾をお届け(前回のインタビューはこちら)。
『土下座少女の下克上~生贄リベンジゲーム~』や『学級裁判デスゲーム』などのコミカライズ作品が連載中の雨宮さんに、お気に入りのエンタメをお聞きしました!
日常的に触れているコンテンツを伺ってみると、その幅広さはもはやエンターテインメント! お仕事やプライベートにも驚きの事実が!? ぜひ楽しみながらご覧ください。

『学級裁判デスゲーム』制作中のエピソードを聞いてみた

TNM編集部
雨宮さんの作品って、色々な尺だけでなく、ジャンルもものすごく幅広いですよね。それぞれどんな狙いで創作されているんでしょうか。

雨宮さん
自分の場合は、読者さんの感情を動かしたいって気持ちが1番なんですよね。ギャグならとりあえず笑い転げてほしいし、ホラーならものすごい怖がってほしいという。もちろん自分の中で伝えたいメッセージがあれば盛り込むんですが、それありきというよりは、「読者の心をどう動かすか」を考えてます。

TNM編集部
学級裁判デスゲームを書いていらっしゃるときは、いかがでしたか?

雨宮さん
学級裁判デスゲームは、毎回ドキドキハラハラしながら「えっ続きはどうなるの!?」と思ってほしいなと。最初のマナカの死や理不尽な状況には怒りや悲しみを、ユマの復讐にはハラハラしたり、ルリコの妖しさには恐怖したり……、部分部分で何を感じてほしいか考えながら書いてましたね。

偏愛ジャンルが多すぎる!? 雨宮さんのエンタメ事情

TNM編集部
幅広く手掛けられているジャンルの中でも、書いていて一番好き・楽しいってジャンルはありますか?

雨宮さん
ドロドロしたサスペンスやホラー、バイオレンスも大好きですし、あとはライトノベルのラブコメも昔から好きで。最近だと、“スカッとする系”も好きですね。

TNM編集部
スカッとする系……(想像中)。読者として楽しむこともあるんでしょうか。

雨宮さん
そうですね! 漫画でもホラーや、何にも考えなくてもいいようなギャグも読みますし、あとは動画でも。スカッと系なら、掲示板サイトの家庭版なんかのまとめで、 「奥さんや旦那さんのひどい浮気相手に、とんでもない制裁を!」みたいな動画、YouTubeに結構あるじゃないですか。

TNM編集部
スカッと系、そう来るとは思いませんでした(笑)!

雨宮さん
「半分ぐらい創作だな」と思いつつ、面白いので電車の中で聴きながら楽しんでます。

動画を活用して、“ながらインプット”する方法

雨宮さん
あとは事件や事故の解説動画も結構好きです。未解決事件を調べると、結構アイデアが出てくるんですよね。昔は本を読まないと全然調べられなかったんですけど、今は音声ソフトで分かりやすく解説してくれる動画が結構あって、聴いてるだけで内容が全部分かるんですよ! それで新しい言葉を覚えることもあります。
山での遭難や事故の話題だと、人間はパニックになるとどうなってしまうのかとか、本当に怖いんですけど「うーん、わかる」と思ったり。すべて実際に起こった出来事ですから、創作にものすごく役に立つんですよね。

TNM編集部
すごい、幅広い(驚)。想像の補完になりそうですね。

雨宮さん
そうですね。そういう(極限の)状況での人間の行動は、想像と全然違うこともあるわけで、そこにリアリティを感じるような……。色々なものを聴いたり読んだりしてますね。
あと『ゾゾゾ』ってYouTubeチャンネルをご存知ですか? もともと心霊スポットのレポートなんかをやってる方々なんですけど、昔の『放送禁止』シリーズみたいな、フェイクドキュメンタリーシリーズがあって、それもとても好きですね。

TNM編集部
こんなに登録者数がたくさん! 人気チャンネルなんですね。ドキュメンタリー風のシリーズもあるんですね。

雨宮さん
そうそう、ドキュメンタリーの体の創作なんですけど、リアリティがあってすごく面白いので大好きです、おすすめです。

TNM編集部
「コンテンツ好き」が作家さんにとってすごく強みということが、雨宮さんのお話を聞いているとよくわかります。

雨宮さん
インプットって、結構時間かかりますよね。映画1本で2時間はかかっちゃうし。もちろん大切なことだと思うし、自分も好きで観ているからいいんですけど、「どこまでインプットできるか」って、作家さん共通の課題なんじゃないかなと思います。
自分の場合は、意外なことが知れる動画を通勤時間なんかに聴きながら、色々なコンテンツに触れるようにしてますね。

TNM編集部
効率を考えつつ、インプットも楽しみつつ、ですね。

気になる映画は、ユニークなレビュー本からチェック

雨宮さん
そうですね。あとは賛否があるかもしれない方法ですが、映画を観る場合はレビューサイトやレビュー本を見てから作品を決めます。ネタバレが嫌いで「そんなこと全然したくない」って人もいると思うんですけど(笑)。

TNM編集部
内容を把握されてから「それなら観たい!」と取り入れるんですね。

雨宮さん
そうです! 最近も、結末が胸糞な作品を集めた『後味が悪すぎる49本の映画』(宮岡太郎著・彩図社刊)というレビュー本を買いまして。その中で観たいと思っている作品がいくつかありますね。

TNM編集部
そんな本があるんですか!?(爆笑)

雨宮さん
Xで映画のレビューをされている映画監督の方が書いた本なんですけど。レビューが上手なので、結末ははっきりと書かれていないんです。

TNM編集部
「後味が悪すぎる」ことだけわかっていると。専門家による厳選された胸糞映画、新しすぎる……。

雨宮さん
そう、ものすごい量の映画をご覧になっているんだろうなと。知ってる作品もいくつかあったんですけど、「これはヤバいぞ」と(笑)。有名どころだと『ダンサー・イン・ザ・ダーク』とか。

TNM編集部
私も真っ先に思い浮かべました。

雨宮さん
あと『縞模様のパジャマの少年』とか……これもかなりきついですよ……うん、結末は言わないけど(笑)。幅広くセレクトされてていいなと。
作家業の他にも仕事をしているので時間がなかなか取れないこともあるんですけど、色々な作品に触れたいなと思ってます。

雨宮さんの“エキサイティングすぎる”お仕事とは?

TNM編集部
通勤もされているんですもんね。

雨宮さん
そうなんです。仕事はちょっと特殊な私服警備員で。万引きGメンです。

TNM編集部
そうだったんですね(驚)! 

雨宮さん
毎日同じとこにいたらバレバレになっちゃうので、通勤時間が基本的に結構長いんですよね。遠いと2時間ぐらいかかることもあって、その間に映画1本観られます。

TNM編集部
お仕事の合間に、何かが降りて来ちゃいそうですね!?

雨宮さん
きますね〜。捕まえた犯人の行動ってすごくリアルで、「人間、追い詰められたら何をするか」が見えますから。暴れまわる人も、とぼける人も、観念してヘラヘラする人もいるし。
罪を犯した人と触れる仕事なので、刺激もあってアイデアにもなりますね。せっかくそんな仕事やってるんだったら、活かさなきゃもったいないじゃないですか(笑)。

TNM編集部
すごい還元の仕方ですし、エキサイティングすぎますね……。ちなみに、何も起こらないで終わる日とそうでない日の割合はどんな感じなんですか?

雨宮さん
捕まえるのが上手いか上手くないかにもよりますが、毎回疑わしい場面は見てますね。
ただ、はっきり(現場を)見ていないと捕まえられないルールなので、「(外見を)憶えておいて、今度見たら捕まえよう」ってこともあって、毎回 1人、2人は必ずいます。何も起きないことはまずないですね。怖い世の中です。

TNM編集部
事件は日常に潜んでいるんですね。どうかお体には気を付けてくださいね……。

雨宮さん
はい、気をつけます。ありがとうございます(笑)。

実は3児の父! プライベートも仕事も楽しみながら両立中

TNM編集部
雨宮さん、差し支えなければ年代を教えていただけますか?

雨宮さん
はい。年齢は40歳で、3人の子供の父親。長男、次男は大学生と高校生、長女は中学生です。

TNM編集部
ええ!? そんな大きなお子さんが(驚)。うちは男の子が2人いるので個人的にもすごく気になるんですが、高校生にもなるとどんなお話しをされるんですか?

雨宮さん
こういう仕事してますし、自分も動画やアニメ、漫画なんかのコンテンツが好きなんで、 話はだいぶ合いますね。

TNM編集部
だいぶ合う(笑)。お友達のようにお話しができそうですね。

雨宮さん
ソーシャルゲームやYouTuberの話をしたりとか。中高生、大学生の子たちが普段触れているものって、今の若い人に刺さってるってことじゃないですか。「こういう流行ってるんだ」と新しい発見にもなります。
話が合わないってことはまず全くなくて、本当に友達みたいな関係です(笑)。

TNM編集部
うわあ、そうなんですね。すごいな〜。子育てされながら、創作もお仕事もされて、毎日目が回るほど忙しいんじゃないですか。

雨宮さん
家庭のことは奥さんもいるんで大丈夫なんですけど、仕事はね〜。でも文章の方も好きでやってますし。
テラーさんでのコミカライズ進行は、原稿をいただいてチェックしてお返ししたり、書いている作品も、担当さんと話し合いながらゆっくり進めてたり……。なので、「いつまでに何本書かなきゃ!」みたいなことは最近あまりなくて。
ゲームシナリオは「もし自分が遅れたら、様々な方に影響が出てしまう」というプレッシャーがすごく大きいので、今はあまり受けていません。今は少しゆっくり、楽しみながらやらせていただいてます。

TNM編集部
楽しみながら両立されているんですね。ちなみに雨宮さんの作品は、お子さんも読んでいらっしゃいますか?

雨宮さん
はい、いくつか読まれちゃってますね(笑)。オンラインでは読まない子たちなので、コミックになったものが多いです。だから『土下座少女の〜』とかは読んでないと思います。もし読んでても言わないでほしいですね〜。恥ずかしいんだよね(笑)。

TNM編集部
(笑)。感想もお聞きするんですか?

雨宮さん
そうですね。昔書いてたミステリーには、「このキャラクターは面白かった!」とか言ってました。奥さんはほとんどを読んでいて、感想を色々ともらってますね。

TNM編集部
一番身近なファンじゃないですか!

雨宮さん
そうですね。奥さんが厳しかったら文章を書く仕事には就けてなかったと思うので、すごく感謝もしています。

TNM編集部
わ〜。素敵なご家庭ですね。憧れちゃいますねえ……(しみじみ)。本当に尊敬します。自分も頑張ろうって思いました。

雨宮さん
ありがとうございます。

最後に、創作活動の目標や意識していることをインタビュー

TNM編集部
楽しみながら書いていらっしゃるというお話もありましたが、創作活動の中で目標はありますか。

雨宮さん
リアルで目に見える結果なら、アニメ化は狙いたいですね! そういう目標もあるんですが、やっぱり読者さんの感情を動かして記憶に残りたいというのが、ずっと創作の原動力です。
「あの作品面白かったな」「超怖かったな」と読者さんの中に残る作品が書けたなら、それが一番だなって思いますね。

TNM編集部
すごく素敵です! 「読者の記憶に残りたい」というところで、ストーリーやキャラクターの作り方で何か意識されていることがあったら教えてください。

雨宮さん
やっぱりインパクトと驚きですかね。普通のキャラクターであっても、どこかに驚いてもらえたら記憶に残るんじゃないかなと。「まさかこの人がこんなことをするなんて!」(というポイントを作る)とか。
良くも悪くも創作って、やっぱり現実とは違うんで。リアリティを追求はしても、外れるとこ外れても全然いいと思ってて、「いやいやこんなことはあり得ないだろう」も許されるのが創作だと。
そういうことも楽しんで、驚いてもらうってことを常に考えながら書いてますね。

TNM編集部
「創作ならではの驚き」を追求されているんですね。最後に、今後挑戦したい作品やジャンルはありますか?

雨宮さん
ライトノベルもまた書きたいなと思ってます。若い人たちに読んでもらえる、ファンタジー、ラブコメ、だいぶレッドオーシャンになってきつつある異世界転生も……。ドロドロしたストーリーも大好きだから書きたいし、バトルも書きたいし……。

TNM編集部
ドロドロ系ラブコメもできるかもしれないですね。

雨宮さん
大好きですね! あっ、テラーさんの『貴方依存症』は、そっち系かも。百合ジャンルですけど、結構ドロドロしてるラブコメです。

TNM編集部
ちょっぴりドロッとしたエッセンスが加わるのは、雨宮さんの持ち味ですよね!

雨宮さん
そうなんですよね。恋愛モノを書いてると、どうしても横恋慕とか入れたがっちゃうんで。これからも多分書くんだろうなと思います(笑)。

お仕事に創作活動にプライベートに、心から楽しんでいらっしゃる雨宮さんのテンションやバランス感覚がとても素敵で、脱帽した編集部でした。
お忙しい中ご協力くださり、本当にありがとうございました!

雨宮黄英さんの作品はコチラ

\コミカライズされた作品をチェック!/
『学級裁判デスゲーム』を読む
『土下座少女の下克上~生贄リベンジゲーム~』を読む

\雨宮黄英さんによる原作はこちらから/
『学級裁判デスゲーム』を読む
『隔離学級の生贄少女』を読む

今回協力いただいたクリエイター

雨宮黄英さん(テラーノベル公式作家)

作家、シナリオライター。ホラー・ミステリー・サスペンスからコメディ作品まで、幅広いジャンルで執筆し、多数のコミカライズ実績を持つ。

テラーノベル作品一覧
https://teller.jp/user/2kwja1g6ffr71-8475273247

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TNM編集部 土屋

不定期にネトフリ廃人になります。子どもたちが寝たあと、バブを入れた湯船でひっそりTNやWebコミックを読むのが好物。

  1. 多様なジャンルを手掛ける作家にインタビューしてみたら、エンタメ事情が既にエンタメだった

  2. 『学級裁判デスゲーム』原作者・雨宮黄英さんに聞く、コミカライズや創作の裏話

  3. ミステリー作家・田中静人さんが実践する“ダメなときの気分転換”のレベルが高すぎた

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