テラーノベル、「コンテンツAIラボ」を新設。生成AI/LLMを用いたパーソナライズド推薦を提供開始。

プレスリリース

2023/10/31

スマホ発の小説投稿プラットフォーム『Teller Novel(テラーノベル)』(以下、テラーノベル)を運営する株式会社テラーノベル(本社:東京都港区、代表取締役:蜂谷宣人)が、小説投稿の領域における生成AI/LLM活用を強化していくため「コンテンツAIラボ」を新設。

・小説投稿プラットフォームにおける生成AIの活用

テラーノベルは「創作文化を産業に」をパーパスに、クリエイターが誰でも自由に小説作品を投稿できるプラットフォームを運営しています。クリエイターがもつ創造性を十分に発揮できるよう、AIを活用した執筆サポート機能や、自分の好みの作品と出会えるレコメンデーション機能に注力してきました。

特に、投稿作品のジャンルや読者の興味関心は多種多様であるため、画一的なランキングシステムでは作家・読者の双方のニーズを満たすことができません。そこで必要不可欠なのが、パーソナライズド推薦です。

一般的なパーソナライズド推薦アルゴリズムとは、ユーザーがあるアイテムを閲覧・購入した、という組み合わせデータを大量に集めて学習を行い、そのユーザーに適したアイテムの推薦を行うものです。
これは、ユーザーの行動データさえあればコンテンツの種類を問わないことが特徴のひとつであるため、テラーノベルでは様々なアルゴリズムを検証し、小説推薦でも活用しています。

ただし、この手法は大量のデータがあることを前提とするため、投稿されたばかりの作品や、初めて来訪したユーザーを対象にした推薦が難しいという、一般に「コールドスタート問題」と呼ばれる問題が存在しています。

一方、昨今進化の著しいChatGPTを含む生成AI/LLMを利用することで、静的なテキストコンテンツの分析が、簡単かつ高精度に行えるようになっています。小説のジャンルや表現力、登場人物の関係性等の多角的な分析結果を短時間で得ることができるため、これまでの行動データを組み合わせることで推薦の精度を高めるとともに、行動データが少ない状態でもより良い推薦を行えるようになりました。

テラーノベルでは、従来の推薦アルゴリズムに、生成AI/LLMを活用することで、より精度の高いパーソナライズド推薦の提供を開始しています。

・テラーノベルが提供する推薦システムの特徴

テラーノベルの推薦システムは、以下のような特徴を持っています。

 ・コンテンツの内容を生成AI・LLMで分析して特徴を抽出
 ・初めて訪問したユーザに対して、簡単なアンケートから好みを把握
 ・ユーザの閲覧行動に合わせて、リアルタイムに推薦内容をアップデート
 ・初めて投稿する作家の作品も必ず一定数閲覧されることを重視

また、BytePlus社の推薦システムと自社開発の推薦システムで精度を競いながら開発を進めており、新しい知見を見つけて相互共有することでユーザーあたりのクリック数が40%増加するなど高速な改善につながっています。

テラーノベルは、読者にとって楽しい読書体験を提供すると同時に、どんな作家でも自分の作品をより多くの読者に届けることができるプラットフォームを目指しています。

この両者が最適な形でマッチングすることで、読者が集まり、作家が集まり、より良い作品が生まれる循環を生み出していきたいと考えています。私たちはこの目的を達成するため、今後も推薦システムに継続的な投資を行っていきます。

【コンテンツAIラボの設立】
テラーノベルでは、機械学習の活用をさらに推進していくための専門組織「コンテンツAIラボ」を設立しました。最新論文のサーベイ等、機械学習の領域を広く研究するとともに、テラーノベルのプラットフォームで活用できる技術開発を行っていきます。

小説投稿の領域において、生成AIやLLMを活用できる場面は多岐にわたります。推薦システムに加えて、作品のテーマ設計や、キャラクタや世界観のブラッシュアップ、文章の校正・評価などにも活用を進めていきます。

コンテンツAIラボ
チーフエンジニア 川尻 亮真

東京大学 大学院 情報理工学系研究科にて、機械学習の研究を行う。Preferred Networksで機械学習に関する研究/開発を行ったのち、2023年2月にテラーノベル入社。機械学習のソフトウェアエンジニアとして、推薦エンジンを中心とした機械学習モデルの検証からMLOpsまでの開発に関わる。2023年8月、コンテンツAIラボ チーフエンジニアに就任。


<コメント>
テラーノベルは、日本の創作文化に可能性を見出し、日本の才能あるクリエイターが世界に作品を届ける手助けをする使命を担っています。このラボでは、最先端の人工知能技術を活用し、クリエイターがより魅力的な物語を生み出すプラットフォームの研究開発を行います。生成AIやLLM技術によって作家たちの表現力と創造力を拡張し、レコメンド技術により読者と作品の出会いを向上させることを目指します。コンテンツAIラボは、常に新たな挑戦に取り組み、革新的なソリューションを生み出す場所となるでしょう。私自身も情熱を持って、創作文化の未来を切り拓くことに期待と興奮を抱きながら、これからの日々に臨みたいと思います。


【共同研究パートナー】

フィシルコム株式会社
CEO 与謝 秀作

東京大学にて、ハイパフォーマンスコンピューティングを専門とし、ニューラルネットワークを用いて転炉の溶鉱の温度予測を研究。日鉄ソリューションズでメーカー向け研究開発システム(PLM)を導入。東大発ベンチャーにて画像解析AIを開発。ZOZOテクノロジーズにてML基盤構築(Kubeflow)のPoCと、深層学習×推薦アルゴリズムの研究開発に従事。現在は、エンタープライズ向けのマーケティングSaaSアプリを開発中。


<コメント>
IP/コンテンツビジネスの世界では、多くの熱量のあるクリエイター達が創作活動を行っており、日々たくさんのコンテンツが生まれていくため、ビッグデータ活用の可能性が大いにあります。特に、レコメンド技術を利用するとユーザーの嗜好や傾向を把握し、膨大なコンテンツの中から個々のユーザに最適なものを提供することができます。
小説作品を原作としてWebtoon作品を創出する流れを通じて、まだ世間に見つけられていない才能ある次世代クリエイターが発掘されるチャンスが大いにあります。テラーノベルもまたそういったクリエイティビティが活躍する場をテクノロジーを使って加速させています。そして、そんな彼らのビジョンに、弊社のコアとする「深層学習×推薦」技術が貢献できることを大変うれしく思います。