❥ 多少のキャラ崩壊 ❥ 全然書き置きじゃない長さ
リビング、玄関、寝室その他諸々。
どこを探しても見付からない。
失くしたのは、今住んでいる マンションのマスターキー。
入居する際に作った三本の鍵は
退去時に返さなければならないという 決まりがあるため、
明後日には退去する身としては 今になって失くした事を思い出すのは 些か問題であり .. 。
もう荷物は纏めてあるというのに。
今更退去日をズラすなんて 自分的にも厳しいし そもそも申し訳なさが勝つ。
あと一本のマスターキー。
誰に渡したっけ? なんて記憶を探る。
数も数える間も無いうちに ふと浮かぶ1人の顔。
最近 .. いや前々から散々よく聞く 名前。
テレビを付ければ大体が 桃くんで持ち切りな程 有名人になってしまった、
元カレの桃くん。
聞かなきゃならない。
なぜかドクドクと音を鳴らす心臓を 無視して、スマホをとる。
最近は見てもいなかった桃の名前と 猫のアイコンをひとつタップして、
クリック入力欄を開いた。
別に喧嘩別れをした訳ではない。
疲れたのだ。
ただそれだけ。
自分勝手なのも分かっているし、
下らない理由なのも分かっている。
でもやっぱり耐えられなかった。
自分は一般人なのに対し 相手はテレビ出演もザラな有名人。
分かっている、分かっているのだ
ほぼ毎日大勢を相手して 疲弊するのも分かってる。
有名だからよく張られるのも 分かってる。
仕事が大変が故に 恋愛事に手を回せないのも、 分かってる。
それでも段々と。
普通の恋愛がしたいと 思ってしまったのは、
恋人失格だろうか。
好きならせめて「 好き 」と 言って欲しいと思うのは、
わがままなのだろうか。
前までは「 忙しいから 」なんて 勝手に理由付て身勝手に 縋り付いていたけれど。
そんなんじゃないと知ってしまった。
いや、きっと前から分かっていたけど
認めたくなくて蓋を閉じていただけ。
流れ続けるテレビに映るのは、
最近ドラマ化された漫画原作の 有名作品の番宣。
キャストがズラリと並ぶ中、
ひとり、主人公の恋人役の 桃くんにフォーカスが当てられる。
マイクを渡されニコニコとしたまま 受け取り、
記者に聞かれた質問に スラスラと答えてゆく。
ドラマのストーリー関連だろうか。
恋愛の価値観や恋人に求めるもの だとか。
少しばかり作ったようにみえる 笑顔を振り撒きながら
うーんと考える素振りをみせつつ 質問に答える。
一通り終わった後、 ぶっちゃけると、とかなんとかな名目で 当てられた質問に
回答者として桃にまたもや マイクが渡される。
ボソリと呟かれた一言に、
はは、なんてため息混じりな 乾いた笑いしか出てこない。
いや、知ってたよ
最近の態度見てても、 多分ってか絶対
俺に愛想尽かしてるもんねえ。
知ってた、分かってたよ。
これまで逃げてきた本音に とうとう直面してしまって、
もう、無理なんだろうな
とかなんとか。 もう聴きたくもないテレビを 消すと同時に、
この表面上としか言い様が 無くなってしまった恋人と オサラバしなくては、
と。
テレビ介してとか それ程俺の事嫌いだったかなあ。
考えれば考える程ネガティブになる 思考をシャットダウンして、
桃くんへ「 別れようか 」と 一言だけメッセージを送った。
きっと桃くんは忙しいから、
このメッセ見るのもいつになるか 分かんないな。
結局、一言に留まらず
「 お互い疲れちゃったね 」
ともう一言だけ送り、 スマホを閉じた。
急な思いつきで書いたので すっげぐちゃぐちゃですね😔
完結まで見えているので 多分続きます。
マジでどこが書き置き?笑
コメント
2件
こういうお話大好きです
最高でした!