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勇者のユウ。起床。
ユウ
ぼんやりとした頭で横を見る。 誰もいない。あの人がいない。
少し寂しさを覚えた自分に驚いた。
一年はひとりで生きてきたのに... ここに来てから調子が変だ。
重い掛け布団を 頑張って剥いで起き上がる。
キングサイズより二回り大きいこのベッドの上では、170センチあるユウでも小さく見えてしまう。
ユウ
スリッパを履いて立ち上がる。 少し伸びをする。
今は何時だろう。時計を見る。
午前10時。寝過ぎてしまった。
急いで洗面所に向かおうとするが、 問題が発生した。
洗面所の場所がわからない。
ユウ
そう。ここはユウの自宅ではない。
旅先の宿屋でもない。
ユウ
ユウは裾の長いパジャマを引きずり ながら寝室を出て、城内を目指した。
ふらふらと人がいない城内を歩き回る。
ユウ
リオル
額から2本の太く黒いツノが生えた人?が現れた。
悪魔族だ。
ユウ
リオル
ユウ
リオル
リオル
ユウ
そう。話に出たとおり、ここは魔王の仕切る城、魔王城なのである。
そして勇者は宿敵である魔王のお膝元で 居候している。
何故そんなことになったのか。 順を追って説明していくとしよう。
ひとつ戻って昨日の話だ。
昨日の夜、 ここで勇者と魔王は出会った。
ユウ
魔王
今、勇者は魔王の体に馬乗りになって、 剣を魔王の喉元へ向けている。
今にも勇者は魔王の首を切れるというのに魔王は余裕そうに笑っていた。
勇者が疑問に思うのも無理はない。
ユウ
魔王
ユウ
魔王
ユウ
魔王
魔王はドスの効いた声で言い放った。
勇者は身震いする。 やはり魔王が少し怖い。
しかし魔王の怖い顔は一瞬で、 すぐに優しい顔に戻った。
魔王
ユウ
魔王
ユウ
しばらく考えた後、 勇者は剣を鞘にしまった。
チャキ、と音がすると同時に、 魔王は状態を起こしバランスを崩した 勇者の体を押し倒した。
礼拝堂に魔王のマントの翻る音が響く。
勇者は咄嗟に身構えたが、予想していた衝撃は訪れなかった。
勇者の倒れかけた体を、魔王がマントで支えてくれていた。
柔らかい上質なマントの触り心地を 確かめていると、勇者の視界は琥珀色に染まった。
それが魔王の瞳の色だと気づくのに数秒かかった。
魔王
ユウ
ユウ
魔王
ユウ
ユウ
魔王は笑った。
よくある悪魔的な笑い方ではなく、 勇者の本音を聞き出せたことに本気で 安堵するような笑顔だった。
魔王
こうして、勇者の居候が決定した。
作者
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