あの日 父の演奏を聴いて 胸を打たれた。
父さんの弾く鍵盤は 繊細で正確で、でも力強くて
まるで、違う曲を 弾いているような。 そう、聞こえた。
響
今でも忘れられなかった。 父さんに 「ピアノを弾きたい」 と告白した時の父さんの顔を。
期待、されていたんだろう。
おかげで 朝も昼も夜も 春も夏も秋も冬も 体調が悪かろうが 怪我をしていようが ピアノと毎日向き合わせられる 日々だった。
期待されているから。
そう自分に 言い聞かせていた。
だから
初めて 父さんに、期待に、 目を背けたあの日の 傷は今でも時折痛むんだ。
けど
冬弥
もう
冬弥
そんな過去を…引きずってはいけないな
冬弥
今度は大切にするんだ
彰人
冬弥、大丈夫か?
冬弥
あぁ
冬弥
いこう、みんな
彰人
あぁ
冬弥
ーーーー♪
父さんとは正反対の ステージに立っている
父さんとは正反対の スポットライトを浴びている
けど
冬弥
…?
冬弥
(客の…中にいる子供か?)
冬弥
…ふっ
彰人
ははっ
彰人
ありゃ羨望の眼差し向けられてんな
こども
わぁ…
冬弥
…あぁ
冬弥
向けられてるには目標にしてもらおう
父さんと同じ 憧れを持つ次世代の子供は 作れたんだ。
父さん、俺は
みんなと音楽を 響かせていきたい。