先生、最低です

次の日の昼休み

煙は宣言通り美術室に来て絵を描いていた。

俺は昨日と同様煙の隣に座り、横顔を眺める。

冗談混じりに言う。 そんなわけないのは分かっているが、集中している姿が可愛くてつい揶揄いたくなってしまう。

ペンを紙から離し、こちらを見る煙から放たれた言葉は、想定通りの返事だった。

腕を組み、煙の筆先と横顔を交互に見る。その集中した横顔はいつも通り無表情だが、どこか穏やかに見えた。

俺は立ち上がり、煙の背後からキャンバスを覗き込む。急に距離が縮まったことで、煙は一瞬肩を強張らせた。

俺は笑いながらそのまま煙の隣に立ち、肩越しに絵を覗き込む。その近さに煙は少しだけ筆を止めた。

俺は悪びれもせず、そのまま煙の肩の近くに手をつき、さらに顔を近づけた。息が触れそうなほどの距離だ。

煙の声は少しだけ震えていたが、それを誤魔化すように筆を動かし続ける。しかし、俺の顔がすぐ隣にあるせいか、どうしても集中しきれない様子だ。

からかうように言いながら、煙の横顔をじっと見つめる。

煙は強がるように言い返すが、顔が少しずつ赤くなっていく。

俺はふっと笑い、さらに顔を近づける。そして、手を伸ばし、煙の頬にかかった髪を軽く払った。

煙の筆が止まり、目を大きく見開く。

何でもないように言いながら、笑みを浮かべる。その一方で、煙の顔は耳まで赤く染まっていた。

煙は言葉を詰まらせ、そっと目を伏せる。

俺は真面目な表情で煙の顔を覗き込んだ。

俺は小さくため息をつき、煙の頭を優しく撫でる。すると、煙は驚いたように顔を上げた。

煙は何も言わず、じっと俺を見つめる。その瞳にはいつもの冷静さはなく、どこか揺れているように見えた。

煙の声はかすかに震え、それでも確かに色眼鏡に届く。

満足げに笑い、煙の頭をもう一度軽く撫でた。その瞬間、煙は再び視線をそらし、顔を赤く染める。

俺は笑いながら煙の隣に座り込み、煙の顔が少しずつ元に戻るのをじっと見つめた。 その日、美術室にはいつもと少し違う静けさが広がり、俺らの間の距離は確かに縮まっていた。