玉葉妃
…あなた達が?
請華
!?、お待ちください、そのようなことをされる身分ではございません。
玉葉妃
いいえ、これくらいでは足りないくらい。娘の命の恩人ですもの。
玉葉妃
ねえ壬氏?
壬氏
ええ、その通りですとも。
請華&猫猫
……
請華
人違いをされているのではありませんか、なんの事だかさっぱり……
玉葉妃
まあ、
玉葉妃と宦官長が目配せをし、宦官長が懐から紙を2枚出した。
1つは、私が書いた紙。もう1つは、多分猫猫が書いた紙だろう。
壬氏
これ、下女の仕事着に使われている布だと知っているか?
猫猫
……そう言われれば似てますね。
壬氏
尚服に携わる下女のスカートの布だ。君達は洗濯係だろう?玉葉妃の前でスカートを調べるような事はしたくないな。
請華
はい。その文を書いたのは私達です。
玉葉妃
そう、良かった!さすが壬氏ね!
壬氏
しかしどうして分かった?病の原因が白粉だと。
猫猫
それは、白粉には毒となる成分が含まれているからです。
猫猫
私の父は花街で薬師をしておりまして、妓女の中にも同じ病にかかった者がいたのです。
猫猫
あの時、養父の言う事を聞かずに使い続けた妓女は死にました。梨花妃のように痩せ細って。
壬氏
!
猫猫
白粉の原料は鉛です。体内に入ると中毒症状が出る。
猫猫
その症状は梨花妃のものと全て一致していました。
壬氏
なるほど、白粉なら赤子の口に入ってもおかしくない。
猫猫
玉葉さまは元々白粉を使われておりませんよね?
玉葉妃
ええ、使っていた小鈴の乳母は体調を崩したので金子を与えて暇を出しました。
玉葉妃
梨花さまにも伝えたのですが聞き入れて貰えなくて……
猫猫
病で顔色が悪くなったのを隠すたに、さらに使う量を増やしていたのでしょう。
猫猫
早くこの種の白粉の規制しないと、後宮中に出回りますよ?
猫猫
全く典型的な症状だってのになんで気づかないんだか。
猫猫
あ…では、私達はこれで、
請華
うおっ
壬氏
まあ待て。
……すると、今度は宦官長が私の腕を掴み、部屋を出ようとする私達の動きを止める。
壬氏
恩人をタダで返す訳には行かないな。薬屋。
猫猫
(……このタマナシ…ッ)
壬氏
そしてまだ話は終わってない。今度はお前(請華)の話を聞こう。
請華
えっ
請華
……不自然に白い肌、異常なほどに痩せ細った体。
請華
病人っていうのは、大抵痩せ細るまで来ると体が青くなり、血色が無くなります。
請華
白くなるのは滅多に無いんです。
請華
ここで何かを塗っていることに気づきました。
請華
そして、玉葉妃にもその症状が見えていたので、妃もよく使うものだと思い、白粉に辿り着きました。
壬氏
……ほう、病人について詳しいのだな。
請華
あはは、勉強熱心で〜
この体の前職は学生だし、医者と言って後々調べられても面倒だと思い、嘘をついた。