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ごぼう
ごぼう
産まれてきたその瞬間から、俺の人生は決まっていた。 親も友達もできることも、好きなことも、好きな人も、将来の仕事も。 恵まれてるねって言われてるけど。実際は違う。闇だ。大人が子供を利用して自分の利益を上げるためだけの道具。 将来は医者かしら?それとも社長? 母親の口癖だ。俺にはサッカー選手になりたいという夢がある。 小さい頃、誰かと約束したから。早く大人になって、せめてでもこんな家から出たい。サッカーをしてみたい。 そんな16年間を歩んで今日、俺は高校生になった。相変わらずの親のプレッシャーがあるからか。自覚はないけど笑わなくなったらしい。スマホでゲームしてるのが楽しいし、分析とかも楽しい。 初めての高校生活。ここでは上手くやれるといいな、、クラスは、、1のAか、、 そこからは教科担任の説明だったり、学校の説明だ。 どうやら近くに姉妹校という関係の中学があるらしく。 大半がそこから来ているそう。 変わった学校だな。 印象はそこら辺。でもクラスメイトの人たちは仲良くしてくれるし、案外悪いものでも無い。生活してたら友達とかも自然にできた。やっぱり全員その中学出身だそうだけど。 得に仲がいいのは蜂楽と氷織。 ゲームの話とか世間話で盛り上がれる関係。 初めてできた自分で決めた友達。 そんな楽しい学校生活を送っていた。 「じゃあ僕、こっちやから!」 「俺も!いさぎ!また明日!」 「おう!!」 やはり共に話せる友達がいるのは些か頼もしいものだとも思う。 「あの!!」 ? 振り返るとそこに立っていたのはターコイズブルーの髪色をした中学生くらいの青年。 「誰ですか?」 そう返事をすると。青年は少し寂しそうな顔でこちらを見た。 「覚えて、、ないですよね、、」 そう言いながらポケットを探り始める。正直なんだこの子と思ったが。ポケットから出てきたものに目を惹かれた。 「思い出しましたか?」 「あ、、、、、、」 青年の手の平にあったもの。それは幼少期にサッカーをやる約束をした子にあげた小さなお守り。青年と同じターコイズブルーの包袋に青い牡丹が柄として刺繍されているボロボロのもの。 「り、、ん?」 そうだ。凛。俺が小さい頃、サッカーをすると約束した人。 「良かった!思い出してくれて!」 あぁ、、もうこんなに大きくなっていたんだ。染み染みそう思う。だって彼の目はあの時とはまた違う。成長した目をしていた。 そこからは時間の流れが遅く感じた。ここ数年でどうだったとか。家の場所だとか。そんな話。少なくとも楽しいとは思えた。嬉しかった。そんな話をしている時、凛が聞いてきた。 「潔は、、今好きな人いんの?」 急に聞くものだから何故?とも思ったが。少し溜めてから。 「いないよ。」そう返事を返した。心無しか凛が少しだけ嬉しそうな表情を見せていたが。まぁ中学生ならではなものであろう。そんな考えにした。 家に着いたのでばいばいと言った。 凛も返事をしてくれた。 凛、今俺はお前にひとつだけ嘘をついた。 愛してる。言えなかった。仮にもまだ高校生と中学生。1歳差だとしても俺が気にしてしまった。好きな人だった。小さい頃からサッカーっていう存在を教えてくれて、生きる希望を与えてくれたお前が好きだ。恋してたんだ。 「言えたら、、楽なんだけどな。」 その日はモヤモヤした気持ちのまますごした。 次の日も次の日もそのまた次の日も。凛と一緒に帰る度に思う。 「潔、、あのさ」 俺と付き合ってくれない? 目を見開いた。 凛と付き合う。俺が怖くなっていたことを凛はさらっと言った。 耳鳴りがずっとした。言われてしまったという感情と好きな人から告白された嬉しさで。心臓の鼓動が早くなる。気持ち悪い程愛してる。そんな感情。 「しばらく時間くれないか?」 そう言うと凛は潔く「うん!」と返してくれた。 嬉しかった。寝る時も凛のことを考えて寝た。 あぁ、、好きな人と一緒にいるってこんな気分なんだ。嬉しい。 幸せ 初めてそう思えた。 次の日、母親に呼ばれてリビングに行った。 休日だし買い出しか何かかと思ったが。 リビングに行くと知らない大学生くらいの外国人がいた。 「よっちゃんにね!いいお見合い相手がいたの!カイザーさんって言うのよ!」 頭が真っ白になった。好きな人ととの妄想に知らない人が入り込んできて、胃のものが全部押し寄せる感覚が身体中に蔓延った。 「、、世一は俺と結婚してくれんだな?」 「、、、、、、」 「えぇ!勿論!ね!よっちゃん!」 「う、うん。」 「そうか、では世一、式場はどこがいい?」 あぁ、なんで俺承諾しちゃったんだろう?。断れよ。
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