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碧海と蓮くんは付き合っている。
2人はいつも幸せそうで、とてもいい雰囲気で羨ましいなぁって思う。
翔也
碧海
翔也
束の間の休憩中、練習室の固い床の上に寝転がり、ため息をついた。 思ったよりデカめに響いたそれは、碧海を心配させるには充分だったようで。
碧海は寝転がる俺を覗き込むように俺を見下ろす。
碧海
翔也
碧海
翔也
碧海
苛立ちからつい語気を強めてしまえば、碧海はぷい、と顔を背けて離れていってしまった。
翔也
さすがに、冷たい態度を取りすぎたかもしれない。
翔也
慌てて碧海を追いかけて、小さく呟くように声がける。
なんでもなくない。本当はある。
でもそれを言う訳には行かないし、碧海にも……いや、碧海だからこそ、言えるはずもなかった。
俺は、碧海が好きだ。
蓮くんと付き合う前から、ずっと好きだった。
碧海が蓮くんを好きになった時も、碧海と蓮くんのお付き合いが始まった後も。 俺はずっとずっと……碧海のことを想ってる。
でも、そんなことは言えるはずもなくて。
この気持ちを悟られないように必死に隠していたけど、無意識に態度に現れていたらしい。
碧海
俺はそっぽを向いてしまった碧海に手を伸ばし、そっと触れるように手を握った。
翔也
もう1度謝ると、碧海はちらっと俺を見た後、しょうがないなとでもいうようにため息を吐いて。
碧海
そう言って、碧海はわしゃわしゃと俺の頭を撫でた。
碧海
翔也
碧海に撫でられる心地良さに目を細めながらそう答えると、碧海はふっと笑って俺の頭をぽんぽんっと軽く叩いた。
……あぁ、好きだなあ。俺。
この関係も、碧海も。 すっごく大切で、とても愛おしい。 ずっとこんな時間が続けばいいのになって、思ってしまう。
碧海の事は大好きだ。 大好きだからこそ、幸せになってほしいって心から願っている。
きっとこれが映画なら、今すぐ想いを伝えて。碧海も、実は俺の事が好きだったりなんかして。
でもこれは現実で。 こんなのただの妄想でしかないことは、俺が1番分かっていた。
しかも、相手はあの蓮くんだ。 さすがにお手上げって感じだよね。
だから俺は、今のままでいい。
碧海が笑っていて、蓮くんの隣に居る。そんな2人を見ているだけで幸せだ。
でも……もし俺が男じゃなかったら。 もし蓮くんが女の子を好きになっていたら。
そしたら、碧海は俺を好きになってくれたりしたのかな。
碧海
翔也
碧海
蓮
碧海
碧海が俺に何か言いかけたちょうどその時、席を外していた蓮くんが練習室へと入ってきた。
何やらライブの演出上で相談があるらしく、2人は手元の資料を覗き込みながら部屋を出ていってしまう。
碧海
翔也
去り際の2人にひらひらと手を振った時、少しだけ心配そうな表情を見せる碧海は、やっぱり優しい奴だな。なんて思った。
翔也
ひとりきりの部屋の中で、もう一度深く溜息を吐く。
翔也
誰に聞かせるつもりも無い想いは、そのまま無機質な壁に反響しては消えていくだけだった。