水
水
水
水
美術室の窓から貴方を見つけた
汗を流しながら必死に走る貴方を
こさめの瞳を離さなかった
水
今日も顧問は来ない
こさめの他にいるのは
数人の部員だけだった
静かな美術室
聞こえるのは
筆と紙が揺れる音と
時計の音だけ
水
窓を開けると
笛や掛け声、誰かが地面を踏む音
こさめはこの瞬間が好きだった
風の中に貴方を見つける
水
窓の近くに椅子を置く
目に見えるけど触れらない
遠い貴方を
スケッチブックに書くのは
何回目だろうか
細くて、でも筋肉のついた足
光る汗が、
綺麗な目、柔らかそうな唇
を、濡らしている
水
窓に手を伸ばす
決して届かないこの想い
こさめは貴方を書いた
"窓から見えるあなたに触れたい"
そう思いながら今日も
スケッチブックに書いた貴方に触れた
赤
窓から見えるあいつは
いつも俺を見ていた
その眼差しは
太陽の光よりも暑くて
俺から見たあいつは
どこかの国の姫のようで
白い肌と揺れる髪
とても綺麗だった
水
暑くて優しい目で俺を見る
あいつのスケッチブックを見たとき
俺は嬉しかった
こんなに俺を愛してくれる人はいない
そう感じた
何度も話かけようとしたけど
あいつを見ると
心臓が痛くて無理だった
だから今日も俺は静かに思う
"窓から見えるあいつに触れたい"
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我ながら意味不()