どれくらい気を失っていたのか
最後に時間を確認したのは、ホテルにチェックインをした23:45だったはず
今の時刻は...
支倉 秦司(はせくら しんじ)
スマホの画面に表示された時間を見て、長くも無く短くも無い中途半端な時間が経ったのだとやるせなくなる
のそっとベッドから起き上がり、水を求めて冷蔵庫まで歩いた
寝起きの怠さはあるものの、体が少し軽く感じる
良い睡眠が取れたんだろうか?
パコッと透明な引き出しからペットボトルを取り出し、冷えた液体を体へ流し込む
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間悠斗の姿が見えない
確か、ソファで話をしていて...
俺...気を失ったんだよな
...褒められすぎて
支倉 秦司(はせくら しんじ)
ちゃんと言葉にするとダサさが飛び抜けている
playに慣れてないとは言え、ちょっとCommandを聞かされてちょっと褒められたからって気絶する事無いだろ
Sub性が薄いせいで、Commandへの免疫も薄いのかもしれない
俺が気を失った後、風間悠斗がベッドまで運んでくれたんだろう
妙にスッキリしている体を不思議に思っていると、遠くの方で扉の開く音がした
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
どうやら風間悠斗は風呂に入っていた様だ
腰にタオルを巻いて、濡れた体を拭きながら姿を現した風間悠斗
俺の声にビクッと大袈裟に驚いていた
それにしても...意外と良い身体してる...
スーツの上からじゃ全然分からないな
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間悠斗は慌ててシャツやパンツを履き始める
まだ湿っていた肌に衣類が張り付き、着替えるのに手こずっている
裸を見られて恥ずかしいんだろうか?
男同士だし、そんなに気にする事でも無いだろうに
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
煮え切らない笑いを顔に浮かべ、風間悠斗は2人掛けのソファに腰掛けた
俺は冷蔵庫からもう1本飲料水を取り出し、風間悠斗の隣に座る
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
水を渡しても全然目を合わせようとしない
それどころか、俺が隣に座ったら風間悠斗はザッとソファの端に逃げていった
別に好かれていたい訳じゃないが、あからさまに距離を取られるのも腹が立つ
もしかして、褒められすぎて気絶した俺にドン引きしているとか?
...有り得るな
俺が風間悠斗の立場だったらドン引きしてる
それとも、単純に照れているだけ?
風間悠斗は俺に何かしらの好意を抱いているのは確かだったし、ラブホで2人きりって状況を変に意識しているのかもしれない
いや、でも風間悠斗からは気まずさみたいなのが感じられる
照れているだけでは無さそうだな
俺の指摘に、風間悠斗は更に目を泳がせた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
ちゃぷんっと風間悠斗の手にある飲料水が音を立てる
折角あげた飲料水を風間悠斗は飲まずに、ペットボトルをコロコロと左右の手に行き来させていた
俺はソファの背にもたれ、ガバッと行儀悪く脚を開いて深々と座る
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
ビリビリと体中に電気が走り、頭の中でチカチカと花火の様なフラッシュが起こる
ガクンと体が崩れ落ち、俺はぺたんと風間悠斗の足元に座り込んでしまった
このCommandは初めてのやつだ
初めてのはずなのに、このCommandを使う風間悠斗の声を俺は知っている
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗は右手で自分の顔を覆いながら、溜め息混じりに呟いた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間悠斗から怒りの感情が少しだけ流れてくる
俺の本能がそれに恐れ、ガクガクと体が震えた
後悔するとか、そんな話した覚えが無い
風間悠斗が何の話をしているのか全然分からない
座り込んだ床が異様に冷たく感じた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
俺の体が震えているのに気が付いたのか、風間悠斗は心配そうに声を掛ける
そんな心配そうな声を出すくせに、風間悠斗は俺を座らせておいて何も言わない
俺はギッと唇を噛んで風間悠斗を見上げた
気付かない内に目には薄らと涙が溜まっていた様で、風間悠斗の姿が少しだけぼやけて見える
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
ギュッと風間悠斗に抱き締められて、ほわっと心が軽くなる
良かった、俺はちゃんと出来てた
ポロッと1粒だけ、溜まっていた涙が零れ落ちて風間悠斗の肩を濡らす
俺の気分はすぐに落ち着いて、風間悠斗が「こちらに...」と促すので再びソファに腰掛けた
どうやら風間悠斗はもう怒っていない様だ
少しだけ残っていた水を飲み干して、俺は片膝だけ抱える様にして縮こまって座る
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
縮こまって座る俺よりも肩を縮こませて、風間悠斗は申し訳ないと頭を下げた
Dom性が強すぎるのも大変なんだな...と、俺は風間悠斗の行動がDom性から来るものなんだと思い込んでいた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗の答えを聞いて、俺は少し考え込む
そんな俺を、風間悠斗は不思議そうに覗き込んだ
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
何とも言えない不思議な感覚だ
初めて従うCommandじゃないって気がするのに、聞いた事の無いCommandだった
BARでたまたま会って、つい先程パートナーになった風間悠斗の声で聞いた事があるってのが1番よく分からない
それと、多分俺の本能はあのCommandが結構お気に入りだ
風間悠斗の怒りが無かったら、褒められた時と同じ位に頭が浮ついていたと思う
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間悠斗はさも言いづらそうに、モゴモゴと煮え切らない声で話し始める
隠し事って、風間悠斗はそんなに謎多き人物なのか?
もしかして、俺達は昔どこかで会った事があるとか?
いや、でも俺の記憶には全く無いな...
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗と俺は...?
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間悠斗の予想もしなかった言葉に、俺はズルッと抱えていた片足をソファから滑らせた
ーNEXTー
コメント
1件