僕ら は あの 暗闇 の 下 で 救われて
あの 暗闇 の 下 で 始まった 。
僕ら は 夜 が 好きだった 。
歌 が 好き だった 。
彼 が 好きだった 。
だから 、
僕ら は 歌えなくなった 。
其の日 は 、何故か 妙に 胸騒ぎ が した 。
ガラス が 散乱する 教室 。
ゴシップ と 恋愛塗れ の クラスメイト 。
理解 を 放棄した 無責任 な 教師 。
別に 、いつもと 何ら 変わらない クソみたい な 場所 。
ただ 、そう 何度も 言い聞かせても 、心臓 が やたら 煩く 鳴くばかり で 。
何か を 掘り返される様な 、そんな 不安 と 期待 が ごちゃ混ぜ に なった 感覚 に 脳 が 灼けて おかしくなりそう だった 。
………… あぁ 、ダメだ 。
忘れるべき 筈 の 記憶 が 溢れては 止まなくなる 。
やめろ 、思い出すな 。
忘れろ 、忘れろ 忘れろ 忘れろ 忘れろ 忘れろ 忘れろ 忘れろ ———
突然 の 声 に 肩 が 跳ねる 。
其処に 居たのは 赤髪 の 見知った奴 だった 。
言われて 初めて 、俺 は 自分 の 手 が 首 に 当てられている事 に 気付く 。
自分 でも 知らぬ間 に 、俺 は 無意識 に 喉仏 を 摩っていたらしい 。
あの日から の クセ だ 。
忌々しい 、悪い クセ 。
はぁ 、と 溜息 を 吐く 。 そして やっと 冷静 に なる 。
其処 で 、俺 は 妙な事 に 気付いた 。
キャメ …… 樹夜芽 侖 は 、普段 全く 学校 に 来ない 。
俗 に 言う 不登校 。 ただ 留年しない ギリギリ の 登校日数 を わかっているので 、来る時 は 来る 。
しかし 、今 は 4月 の 新学期 。
普通なら 彼 は クラス替え が 落ち着き 、ある程度 クラスメイト が 親しくなった 6月頃 に 来る 筈 なので 、今 此処 に 彼 が 居るのは 明らか 異常 なのである 。
不思議 に 思い 彼 に 尋ねたものの 、帰ってきた のは あやふや な 答えだった 。
キャメ は そう 自嘲気味 に 笑って 、俺 と 同じ様に 喉 の 辺り を 撫でた 。
きっと 彼 も 無意識 の クセ なのだろう 。
どうせ 、彼奴 も そうだ 。
………… うるせぇ 、
噂 を すれば 来る というが 、此の 白髪 の ガキ は 本当 に 来るから 恐ろしい 。
俺 は 飛び付いて 来た 白髪 の ガキ …… りぃちょ を 振り払う 。
ただ 彼 は アホ なので 気にしない 。
そう ケラケラ 笑う 彼 は 、実年齢 より 酷く 幼く 見える 。
何も 考えてなさそうな 彼 が 少し 羨ましかった 。
そう 笑って 、彼 は ひっそり と 自分 の 席 に 戻って行った 。
一方 で 、りぃちょ は 俺 の 席 に 張り付いた儘 、俺 の 筆箱 を 漁っている 。
其の対比 を 見ると 、キャメ は 少し 大人すぎる のではないか 、と 偶に 不安 に なる 。
………… いや 、白髪 の 奴 が 幼いだけか 。
半ば 嫌がらせ に 近いんよな 、此奴のは 。
俺 は 何度目かも わからない 溜息 を 吐き 、彼 を 席 へ 戻す 。
其の時 ちょうど 、担任 が 入って来た 。
教師
教師
………… やけに 担任 の テンション が 高い 。
てか 、若干 機嫌 も 良いように 見える 。 いつもより 1オクターブ くらい 声 高いんや ないか …… ??
もしかして 、ガチで 何か あるんか ?
そう 少し 考えて 、俺 は いやいや と 首 を 振る 。
此処 は 何も 変わらない 底辺高 。
向上心 の 欠片 も 無い 奴ら が 集まる 社不 の 巣窟 だ 。
授業 も 部活 も 全て 無気力 無関心 。
賞 を 受賞した とか 、特別講師 が 来た とか そんなのは 専ら 有り得ない 。
………… まぁ 、こんなとこ を 選んだのは 俺自身 に 他ならない の だが 。
ただ 、そんな 学校 に 何か あるとしたら 、消去法 で 転校生 ぐらい しか ——
教師
教師
教師
其の 言葉 に 、クラス中 が 驚き と 期待 で 沸いた 。
そう 呟く 視線 の 横 で 、りぃちょ が ダブルピ − ス を 作っていた 。
彼 の 予想通り 、本当 に 転校生 が 来た 。 こんな 、底辺校 に 。
周り の 奴ら も 、 「 こんなとこ にも 来るんだ 」とか 、 「 明日 雪でも 降るんかな … 」とか 、 どちらかと 云うと 、期待 より 衝撃 が 勝っているようだった 。
………… ただ 正直 、俺 は クラス中 の 誰よりも 驚いている 自信 が ある 。
きっと 、其れは 彼奴ら も 同じ だろう 。
其れは 、驚き と云うより 、衝撃 、にも 近いモノ だった 。
………… だって 、軋む戸 を 潜って 入って来たのは 、
そう 笑う 彼 は まさしく 、
今から ちょうど 1年前 の “ あの日 “ に 死んだ 、
最愛 の 彼 だったから 。
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