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この森に突然放り込まれてから、七回日が登った。
つまりは7日経った。
今日は太陽と空は顔を厚い雲で隠していた。
日が刺していないからなのか、どうにも何時もより何倍も寒い。
本当に春なのかと疑う程に。
焚き火は焚いているが、手が悴んでいる。
旅度 さくら
言葉自体が綺麗で明るい内容だろうとも、私の言い方は棒読みで心は酷く冷めていた。
…というよりも、諦めていた、に近いかもしれない。
私の目はきっと死んだ魚の目と例えるのが相応しい。
どうにも日に日にネガティブ思考になっている気がする。
もうほぼ一週間が経ったというのに、何度も狼煙を上げても、何時間も掛けて広い範囲を散策しても、人とは会えず、そもそも私以外の人がいるかも分からない。
そんな孤独に何日も居たらネガティブ思考になってもおかしくないか。
自分自身に私は納得する。
旅度 さくら
まるで私の一言に誘われたように、薪に灯っていた火は消えた。
唯一の心の安らぎでも、今の私の生命線でもある温かな火が消え、この場は更に冷え滞る。
例えるなら、雪の降らぬ極寒の世界。
限界と叫ぶようにお腹の音が鳴り止まないが、食欲が湧かない。動く気にもなれない。
春だが寒すぎて手が悴むどころかガクガクと痙攣しているみたいだった。
だから焚き火に火を付けたくても手が言うことを聞かず、ただ黙って見てる事しか出来なかった。
唇はほぼくっ付き合っていて、喋れる状態ですら無かった。
そんな結構危ない状態な私が急に頭に浮かんだのが、 かの童話に登場する『マッチ売りの少女』だった。
雪が降り積もる中で、たった一人で生きる為にマッチを売って。
もっと寒かったんだろうな…。
旅度 さくら
小声ながらも喋れたのは正直奇跡だと思った。
あぁ、きっとこれは神様からの私への罰なのかな。
一体私は何をしたのだろう。 神様の気に触るような事をした覚えは無いのに。
覚えてなくても私にとってしていなくても、神様にとっては気に触るっていたのだろうか。
気がどんどん遠くなっていく。
瞼も重りが乗っかったように重く、意識を保つだけでも精一杯だった。
もし本当にそうだとしたら、神様は残酷だよ。
旅度 さくら
その日の朝は、一週間ぶりに静寂に包まれていた。