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空を吸って、フォークに触れる【shp×kn】

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空を吸って、フォークに触れる【shp×kn】

1 - 空を吸って、フォークに触れる【shp×kn】

♥

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2022年03月27日

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ご本人様の目に触れない様、徹底した配慮をお願いします

ケーキバース それは「ケーキ」と「フォーク」が混在する世界

ケーキは先天的に生まれる「美味しい」人間を、

そしてフォークはケーキを「美味しいと感じてしまう」人間のことを指す

「味覚の無い世界」で生きるフォークははケーキを 本能的に『食べたい』という欲求にかられてしまう

ケーキの全てがフォークに取って、“甘い誘惑”であった

ショッピ

コネシマさーん、料理できましたよー

コネシマ

嗚呼ショッピ。ありがとな

ショッピ

味は薄めですので、醤油でも

コネシマ

………ありがとな

2人の設定

ショッピ

<コネシマ>
後天性の「フォーク」
つい最近まで周りや俺に隠していた

俺が適当に作った不味い料理に反応しなかったため発覚

ショッピ

同棲中の恋人でもある

コネシマ

<ショッピ>
その他(フォークでもケーキでも無い)

一個下の後輩で料理や家事を担当
自分が「ケーキ」で無いことを酷く気にしている

この小説はwrwrd様の“bl”及び“nmmn”です

コメントでは検索よけなど ルールとマナーを守って楽しんでください!

朝、料理を作りながら本日3回目のため息をつく

ショッピ

(どれもこれも先輩___恋人のせいだ)

以前は喜んでもらおうと張り切って作っていた料理も 今は足を引っ張る材料にしかならない

コネシマ

おはよーショッピ!うんうん、今日も旨そうな料理___
………なあ、そんな顔すんなって

先輩はつい先週、俺に自分が「フォーク」であることを打ち明けた

そして俺が「その他」であることを確信したその顔は、 今でも脳裏に焼き付いている

ショッピ

(あんなに嬉しそうな、安心したような顔を見せられたら、)

ショッピ

(何も言えなくなるじゃ無いっすか)

重い足を引き摺りながらついた会社では、 新入社員がする様なミスを連発してしまった

上司

ショッピ君。何か辛いことがあったのか?

ショッピ

いえ、大丈夫です
お心遣い、感謝します

上司

そうだといいんだがな。
そろそろ休憩だ、外の空気を吸ってくるといい

そう背中を軽く叩く上司の優しさが骨身に染みる

しかし、「犯罪者予備軍」と言われるフォークがまさか先輩だったとは

未だに不安と動揺に蝕まれる。 自分がこんなにも女々しいと思わず、苦笑が漏れた

ショッピ

(あ、ベルの音)

部長

えー、今から昼休憩に入る。各自昼食を取る様に!

そういわれ自分含めた社員一同は、 食堂に向かったり弁当を買いに行ったりし始める

ショッピ

(ベンチ行かないとな)

ショッピ

あれ、先輩遅いな

いつもだったら必ず先について ベンチに腰をかけ昼寝をする先輩

しかしベンチには人がいた気配もなく、 辺りを見渡しても人影は全くない

ショッピ

(探しに行くか、)

そう思い、少し散策をしていると自販機付近で 見慣れた金髪の後ろ姿が見えた

コネシマ

ごめんなさい、連れが待ってるんで

女社員

でしたら明日は、明日はどうですかね?

コネシマ

明日もちょっと…

先輩は昔から女性人気が高かった

そのせいで女性に対しての扱いも慣れているし、

 普段ならすぐに離れることができるのに

 

その日は違った

口はもごもごさせ、唇を薄ら噛み締めている先輩

そして、いつもとは違う少し熱を帯びた視線

何かに耐えるその様子は、後輩で“恋人”の俺にはすぐ分かった

ショッピ

(あの女の人、『ケーキ』だな)

俺はいてもたってもいられず 急いで先輩を女性から離した、余程焦っていたのだろう なんと言ったかは覚えていない

コネシマ

いやー、ショッピありがとな。助かったわあ

ショッピ

先輩、このクソ先輩。迷惑かけんといてください

コネシマ

……ありがとうな。今日はショッピの好きな料理作ったる!!

ショッピ

や、やめてください。家燃やす気ですか!!!

帰り道の途中、俺と先輩は一緒にスーパーに寄った

コネシマ

ショッピー、お前の好きなやつあったで

ショッピ

カゴの中入れといてください

先輩とスーパーに寄るのは、一週間ぶり 先輩がフォークと知ってからは気まずくてなかなか誘えなかった

コネシマ

お、これいいな。感触が好きなんや

先輩の好みは味ではなく、もはや感触で左右される

俺がどれほど苦労した味付けでも、 先輩には“感触”しか伝わらない

コネシマ

あ、これも好きって言うとったな。これも、あれも……

先輩がカゴに入れるものは俺の好きなものばかり

いつも山ほど入れていた小さなおつまみも 今は二、三個ほどしか入っていなかった

ショッピ

(無理してたんっすかね)

ショッピ

(俺に心配かけない様に、ずっと我慢してきて)

ショッピ

(そんなんで嫌いになるだなんて、ありえないのに__)

その日の夜、俺は昼間のことを思い出し、不安から眠れなくなっていた

ショッピ

(先輩のあの熱を帯びた視線)

ショッピ

(フォークにとってはご馳走だから、“しょうがない”かもしれない)

ショッピ

(今は味覚もないのだから)

しかしやはり不安だった

フォークが欲に負けてケーキを監禁する事例は少なくない

何より、先輩も、俺を捨ててケーキの方に行く可能性だってあるのだ

コネシマ

本っ当に、ショッピがケーキじゃなくてよかったわ__

嫌に脳内で反響する先輩の、その言葉

ショッピ

もし自分がケーキだったら、

ショッピ

___あのクソ先輩と自分を繋ぎ止めることが、できるのに

ケーキはフォークに対し、無条件で『特別』になることができる

追いつくのだって、あの女性が本気を出せば朝飯前かもしれない

ショッピ

(それは嫌だ、なあ)

頬を流れシーツに跡を残す涙を拭い、俺は目を瞑った

あの女性は先輩がフォークであることを知っているのだろうか 知っているのであれば黙って俺たちの「目の前から去ってくれ」

お互いのためにも

今日は休日

やることもないので朝食を作りながら俺はテレビを見ていた

コネシマ

おはよ、いい匂いすると思ったらショッピか

ショッピ

おはようございます、そこ座っといてください

そう言い俺は机に簡単な料理を並べる

ショッピ

美味しいですか?

コネシマ

?…美味いけど

ショッピ

(やっぱり駄目か)

今日の朝食、見た目はいつもと同じでも バレない程度に唐辛子や、塩を入れたので

とても食べれたものではない筈

……味覚があればの話だが

コネシマ

ショッピ、今日久々に出かけへんか?最近頑張ってるやろ

ショッピ

いいっすね、でも何処にー

コネシマ

ほらココ、楽しそうやろ。前から“一緒に行きたいな”っておもっとったんや

先輩が取り出したのはスマホ、 ーその中にはショッピングモールの地図が載せられていた

久しぶりのデートだ、いいじゃないか

ショッピ

それじゃ、今から行きますか?

コネシマ

おう、楽しみやな!

ざわざわと人の声が波になって耳に入る

近所のスーパーにはよく行くが、 娯楽のために外出したのは結構久しぶり

コネシマ

ショッピ、これ一緒にやろうぜ

ショッピ

(太鼓の〇人…懐かしいな)
いいっすね、負けたら煙草奢ってください

コネシマ

おう!んじゃ俺が勝ったら来週の休日空けとけよ
……よーっし、曲はどれにしようか…

学生時代はあまり、この様な遊びはなかなかできなかった もう大人なのに、少しワクワクしてしまう

曲を選んでいる途中、後ろから女性たちの 「話しかけなよ」という声が聞こえ始めた

他の人の視線も先輩に釘付けだ。 こんなんだったら、マスクをつけさせた方が良かったかもしれない

そう思いながら、話す女性と目を合わせない様、前を向いていたら

???

あの、コネシマさんですよね?こんなところでなにを___

???

そのゲーム私も好きですよ、一緒にやりませんか?

悩みの種の、あの人の声が聞こえた

女社員

コネシマさん、…と、お友達?

連れの女性

え、お兄さんもカッコいい〜!よかったら一緒に何処か行きませんか?

近寄る連れの手を振り払おうとしたら、 抱きつかれ耳元でこう囁かれた

連れの女性

一般人のあんたには、「ケーキのあの子」に勝ち目なんてないわよ

ショッピ

…!なんでコネシマさんが、“フォーク”だってこと

連れの女性

ふふ、見ればすぐわかるのに、ねえ。あの子を見て彼のすぐに瞳は熱を持った



…あんたは『コネシマさん』の恋人でしょう?
奪われる前に、“譲ってよ”

少しお話ししましょう

俺はそう手を引かれ、先輩とあの女性から離れたところに引っ張られる 先輩は何故、と言いたげな目で俺を見ていた

___ごめんなさい

ショッピ

(ちょっとだけ、ほんの少しだけ、待ってて下さい)

連れてこられたのはトイレの近く 幸い人通りは少ないため、話を聞かれる心配はなさそうだ

連れの女性

もう一度言うわ、コネシマさんを譲って

ショッピ

……理由を

連れの女性

簡単ね、あの子の方が彼を“幸せにできる”から
『その身を持って』、ねー

ショッピ

あの女性を、コネシマさんに食べさせるつもりですか

連れの女性

流石、鋭いわね…勿論!
私はコネシマさんが嫌いなの。

「あなた」を奪っておいて、のほほんと過ごしているその事実が___

さらに近づいてくる女性に自分も後ずさる もうすぐ壁に背中がついてしまう

連れの女性

ねえショッピ君。あなたの恋人を殺人鬼にするか、私を選ぶか

連れの女性

さあ、諦めましょう?あの子だって納得しているの。
どうせあなただって本能の前では“無力の一般人”

……選ばれるわけないんだから

目を背けていた真実を淡々と告げられる 既婚者のフォークがケーキに靡くことは昔からあった

しかし、その真実を今、俺の口元に押し付けられるとは

ショッピ

ごめんなさい、

連れの女性

コネシマさんを犯罪者にするつもり?

ショッピ

……くそっ、分かりまー

そう言いかけた口を、大きな手で押さえつけられる

すぐ鼻を掠める匂いは、俺と良く似た、

コネシマ

おい、お前。ショッピに何しとんねん

大好きな、先輩の匂いだった

腹にそこまで響く、暗い低音 聞き覚えのない声なのに、酷く安心してしまった

コネシマ

こっちが何もせなんだら、調子乗りやがってなあ
俺にだったら別にええ、でも

コネシマ

次ショッピに手ェ出したらお前ら2人、ブチ殺すからな

そう言い光のない目でただただ2人を軽蔑する先輩

2人が怯んでいる間に、先輩は俺の手をしっかり握りながら、 広い通路に出てしばらくショッピングモールを歩いた

あの2人から離れるために

ショッピ

(嬉しかった、)

ショッピ

(俺のために、怒ってくれたその事実が)

だいぶ離れた後、先輩はこう口を開いた

コネシマ

俺のせいで……怖い思いさせて、すまん

ショッピ

違うっ…あれは俺のせいですから

コネシマ

ショッピ、…あの女になんか言われたんか?

ショッピ

それはー…家に帰って、ゆっくり話しましょう

家の玄関を閉めた途端、 先輩は俺を抱きしめこう言った

コネシマ

本当にごめん、俺のせいで

ショッピ

先輩の所為じゃ、ないっすよ。全部俺のー

コネシマ

なあショッピ、話してくれ。言われたこと全部

俺は黙って頷き、言われたことをそっくりそのまま繰り返す

昨日の夜と同じ様に、頬に生暖かいものが流れるのがわかった

ショッピ

先輩も、他のフォークと同じですか…?

ただの否定では心の穴が埋まらない

先輩は黙って俺の頭を撫でた後、そっと影を繋げた

浅い呼吸し、行為を繰り返しながらもまだ涙は溢れてくる 以前は笑顔で受け入れた筈が、

コネシマ

付き合った時から言えばよかったな、

コネシマ

俺はショッピに、嫌われたくなかった。
もしショッピがケーキだったら、俺から離れていくに決まってる…

フォークの先輩と、一般人の俺 ケーキに対する考えの差は明確に分かれていた

人を食料としてみる先輩のその感情を、 俺は“心”で理解できていなかったのだろう

ショッピ

俺、もし自分がケーキでも、先輩を選びます。
食べられたって、いいんです

ショッピ

俺は、俺は先輩自身が好きだから

いつの間にか先輩も涙目になっている

先輩の泣きそうな顔には、やはり慣れないし これからも一生なれないだろう

コネシマ

なあ、俺も好きやで、生意気で優しいショッピが、

コネシマ

ケーキに靡いて、本能に従ううちに少しずつ減っていく幸福感よりも

コネシマ

何気ない今の日常の方が何千倍も幸せに決まってる。


家族になりたいと思ったのは、お前だけなんや

先輩のその言葉に、今まで悩んでいたことが全て馬鹿らしくなった

お互い握りしめてできた直せない服の皺さえも、愛おしい

コネシマ

飯でも食おう、いつも通り、

ショッピ

そうですね、“いつも通り”に

肉と野菜を炒めた匂い、それに紛れて フライパンを揺らしながら話すのは、今日の小さなニュース

フォークやケーキを忘れてあの頃に そんな日々が愛おしいのは、

コネシマ

今日も美味しく頼むで!

ショッピ

当たり前でしょ、

大好きな先輩のおかげだろう

主(平坂)

最後まで読んでくださりありがとうございます

主(平坂)

作者の平坂です!

主(平坂)

TLで流れてきて初めて知った「ケーキバース」
衝動書きなので文の荒さには目を瞑って下さいな…

主(平坂)

最初はグダグダでしたが、
意外にもスッと終われたので少し安堵しています

お知らせ

主(平坂)

現在バグで連載が更新できない状態です

主(平坂)

書き直したり、作り直したりと、
試行錯誤しましたがどれもダメでした

主(平坂)

一応、読み切りに影響はありませんでした。
しばらくの間沢山の迷惑をおかけします、

本っ当にごめんなさい🙏🏻

さて、ここまで読んで頂き本当にありがとうございました

次作品は現在作成中です。楽しみにしていただけると嬉しいです!

この作品はいかがでしたか?

7,044

コメント

2

ユーザー

わー!!!長文嬉しいです、ありがとうございます♪ 絶対に完結させますので楽しみにしていてください!

ユーザー

めっっっっちゃ好みです。 控えめに言って愛してます。 更新頑張って下さい!!!

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