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風間 悠斗(かざま ゆうと)
部屋をキョロキョロと見渡して、風間悠斗はポソリと呟いた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
俺達は今、ラブホに居た
パートナーになると告げた後、風間悠斗と俺の間には何とも言えない微妙な空気が流れていた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
俺も風間悠斗も色々思う事はあったのに、お互いに何も言えずに黙りこくっていた
俺はふわふわしている頭と、気恥しさと、これからどうしたら良いのか分からない不安とで何て声を掛けたら正解なのかまるで思い付かなかった
そんな時、助け舟をくれたのはマコちゃんだった
コンコンと扉をノックする音が部屋に響き、俺と風間悠斗はハッとして顔を上げる
失礼しても良いかしら〜?
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
ガチャリと扉が開き、いつものニヤニヤ笑顔のマコちゃんが顔を出した
気まずい空気が和らいだ事に、俺はほっと肩の力を抜く
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
御田 誠(みた まこと)
ニコニコと笑うマコちゃんは全てを見透かしている様に見えて、目を合わすのが急に恥ずかしくなった
あんだけ駄々捏ねてた奴がパートナーを作りました、だなんて冷静に考えたら破茶滅茶すぎて顔から火が出そうになる
俺はマコちゃんに何も声を掛けれず、グッと押し黙った
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
御田 誠(みた まこと)
やっぱりマコちゃんは全て見透かしている様だ
何だかんだ、Sub性の事を愚痴として相談出来たのはマコちゃんにだけだった
大袈裟に言うと親みたいな存在だったマコちゃんに、自分の内側を覗かれている感覚が凄く居心地悪くてむず痒い
俺は何としても目を合わせるものか、とあからさまに顔を背けた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
ついには顔から火が出たんじゃないかと思う
風間悠斗の背中を思いっ切り叩き、俺は風間悠斗をギリッと睨み付けた
「痛た...」と背中を擦りながら、風間悠斗は申し訳ないと目で訴えてくる
そんな俺達の様子を見て、マコちゃんは吹き出すように笑い出した
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
御田 誠(みた まこと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗の素っ頓狂な声が部屋に響いた
確かにこの辺りはラブホ街があり、どこかしらは必ず空きがある
まさか...と思って風間悠斗を見上げると、顔を真っ赤にして焦っていた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
物凄く童貞臭い反応だ
今時、ラブホでこんな動揺する奴探す方が大変だろう
マコちゃんは耐えきれずに声を出して笑い転げていた
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
御田 誠(みた まこと)
風間悠斗は慌ててマコちゃんに近付き、何とか笑いを止めようと必死になっている
ついさっきまでの気まずい雰囲気は、もう見る影も無い
一頻り笑ったマコちゃんが、溢れる涙を拭いながら口を開く
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
こうして、俺と風間悠斗は近くのラブホに泊まる事に決めたのだった
まぁ、ラブホと言っても風間悠斗の要望でラブホっぽくないラブホに入る事になったのだが
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間悠斗の食い付くポイントがよく分からない
俺は上着や靴下をポイポイと脱ぎ捨てて冷蔵庫を漁る
支倉 秦司(はせくら しんじ)
冷蔵庫の中にはビールが4本も入っていた
ビールが入っているアクリル扉の下にあるボタンを、ポチポチと4つ押していく
パコッパコッと扉の開く音がし、俺は中から缶ビールを取り出した
ビールを4本抱えて振り返ると、風間悠斗はポカンと口を開けて俺の事を見ていた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗に比べれば皆慣れてる様に見えるだろうと心の中で思ったが、多分言われているのはそう言う事じゃ無いなと口には出さなかった
俺はドカッとソファに座り、缶ビールを1本開ける
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
俺よりも背の高い風間悠斗が、シュンと小さくなっているのが可笑しくて思わず頬が緩んだ
風間悠斗はジャケットを脱いで備え付けのハンガーに掛け、ネクタイを少し緩めてシャツのボタンを2つだけ開けている
袖のボタンも開け、遠慮がちに俺の座っている2人掛けソファの隣にある1人掛けソファに座った
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
俺は缶ビールを1本、風間悠斗に差し出した
風間悠斗はそれを受け取り、静かに缶ビールの栓を開けた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
女子か、とツッコミたくなる両手持ちで風間悠斗は缶ビールを煽った
上を向いて飲むと目を閉じるタイプか...
ますます女子みたいな行動に、いらん毒気が抜かれていく様に感じる
まぁ、そんな事はいいかと俺も缶ビールをグイッと煽った
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
明らかに気落ちした風間悠斗の声に、何かコッチが申し訳なくなってくる
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗は引っかかる言い方をした
パートナーになったのはついさっきだ
この先、今まで通りに遊びまくりますって言っている訳でも無いのに何をそんなに落ち込んでいるのか...
あんまり恋愛経験は豊富じゃないが、そんな俺でも何となく思い当たる事が1つあった
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
半分は揶揄うつもりで言ったのに、肯定されてはコチラも気恥ずかしくなる
何度も言うが、ついさっきパートナーになったばかりだ
ちゃんとplayだってしてないのに、そんなに独占欲が生まれるものなのだろうか?
もしかしたらDom性が強い事と何か関係していたりするのかもしれない
1度自分のSubだと認識したら閉じ込めておきたいタイプなのか?
だとしたら、俺は厄介なDomをパートナーにしてしまった
パートナーに望みが無かった俺は、パートナーと恋人は分けて考える派だ
ついでに言うと恋人なんか作る気はさらさら無い
適当に枯れるまで遊びで済ますつもりで生きてきたからだ
本気の恋愛なんかしても良い事が無いし、遊びで留めておく方が身も心も楽で良い
だが、風間悠斗は違うのか?
その辺もちゃんと決めておかないと、今後の俺の人生に大きく関わってきそうだ
また1口、2口と缶ビールを煽り、俺は風間悠斗に本題を切り出す
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
相変わらず、俺の事となると風間悠斗はブレない
あくまでも俺の為に結んだパートナー契約、ってのを何度も確認している様で少しバツが悪い
俺は缶ビールを1本飲み干し、すぐに2本目をプシュッと開けた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
真剣な表情で風間悠斗はそう告げた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
"セーフワード"とは、Subが唯一Domをコントロール出来る言葉だ
セーフワードはそのパートナー間でしか共有されず、Subがセーフワードを口にしたらDomは必ずplayを中断しなければならない
と言っても、セーフワードを言われたDomは勝手に体が動かなくなるんだとか
DomのCommandにもある"Stop"や"Stay"に似た効果なのかもしれない
Subがどうしても耐えきれなくなった時に用いられるのがセーフワードになる
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
そんな分かりやすく落ち込む奴があるかよ
風間悠斗は俺の事をどう見ているんだろうか?
パートナーは絆が深まれば、例え恋人でも踏み入れない所までお互いに許し合えると聞いた事がある
やはり、風間悠斗はパートナーとしては面倒臭いタイプなのかもしれない
まぁ、あまり悪い気はしないが束縛されても困る
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
セーフワードはあっさり決まった
風間悠斗は先程の"愛してる事件"が気になっている様だが、そんな事に構っていたらルール決めが進まない
それに、あんまり恋愛事に首突っ込まれても迷惑だ
俺は2本目の缶ビールもさっさと飲み干し、3本目の缶ビールに手を伸ばした
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
アルコールよりもコッチの方がすぐに酔ってしまう
今まで1度もplayをしてこなかったせいなのか、褒められる事に慣れて無さすぎる
俺は缶ビールに伸ばしていた手を引っこめた
アルコールが回ってきたせいか、褒められたせいなのか体が熱い
「ふぅっ」と息を吐き、俺はバサバサと着ていたシャツの裾を扇いで体に空気を送る
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
今日1日でどんだけStopって言われるんだ俺は...
風間悠斗は凄く慌てた様子で、俺の体の動きを止めた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
本当に、風間悠斗はわざとかって程童貞臭を撒き散らしてくる
腹立つを通り越して若干呆れている自分が居て、自然と溜め息が漏れ出た
風間 悠斗(かざま ゆうと)
リモコンを取りに行く為に、Commandの解除をして欲しくて問い掛けたのに
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
この男はまたもや褒め言葉を口にしようとした
いや、もう「Good」の時点で俺には効果が出てしまっている
立て続けに褒められて、俺はへにゃりと体から力を抜いてしまった
反対に、風間悠斗はビシッと体に力を入れてまるで硬直しているかの様だった
呼吸が少し浅くなり、ふわふわの頭に酸素が行きづらくなってしまう
ぽわ付く頭を必死に回転させ、俺は風間悠斗を睨み付けて言葉を放つ
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
それだけ言い放ち、俺はカクッと意識を手放した
ーNEXTー