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attention 創作奇病 happy end 紫桃
俺には日課がある
それは 、 感動する作品を見る事だ 。
映画でも漫画でも小説でも
泣けると評判の作品を見漁っている 。
ここ数年泣けていない俺の 、
泣きたいと言うわがままを叶えるためだ 。
泣けない理由なんて 、
今となってはどうでもいい 。
ただ 、 俺に涙を教えてくれる物語を探すだけ 。
でも 、 どの作品も泣けなかった 。
俺を救ってくれなかった 。
「 泣いてはいけない 」
幼い頃から染み付いてしまった
どうしようもない悪癖なんだから 。
紫
スマホで見つけた 、 泣けると評判のマンガ 。
どこを探しても見つからない 。
学校の図書室なら 、 見つけられると思ったんだけどな 。
「 ぅ ~~ っ … ″″ 」
どこからともなく 、
涙を堪える声が聞こえる 。
隣の空き教室からだ 。
ただ 、 ほんのちょっとの興味で 、
俺は隣の教室を見た 。
桃
綺麗な桃色の瞳から 、
透明な緋色の雫が溢れる 。
紫
それを涙と認識するのには 、
あまり時間を必要としなかった 。
紫
桃
少し引っ込んだ涙を拭い 、
顔を青ざめるソイツのことが 、
不思議と 、 もっと知りたくなった 。
紫
桃
恐る恐る伸ばした腕は細く 、
少しでも触れたら折れそうなくらい 、
か弱く見えた 。
桃
ほんのり紅に染まったハンカチを 、
白いその手が包むから 、
余計に紅く見えてしまう 。
紫
ハンカチなんかより 、
何よりも今は 、
緋色の涙の正体が気になってしまった 。
桃
紫
折れそうな腕を優しく掴む
「へぁっ!?」と 、 素っ頓狂な声が響く 。
桃
紫
何も考えていなかったことに気づく 。
もっとコイツのことを知りたい 。
その一心で頭を回転させる 。
紫
桃
桃
紫
彼の名前は 「 蘭 百樹 」というらしい 。
ソイツのことを 、 蘭と呼ぶ事にした 。
紫
帰路に着くなり 、本題の質問を投げる
こう言う時に 、 人間関係の下手さが滲み出る
桃
戸惑いが隠せないといった様子で 、
蘭は必死に答えを探す 。
桃
紫
桃
ここ数年 、 涙なんてみていない 。
たまたま色がつくなんて 、
実際にあるのだろうかという疑問が過ぎる 。
泣き虫そうな蘭が言うんだ 。
何回も泣いていればそうなるんだろう 。
紫
桃
そこで会話は途切れた 。
次に蘭の声を聞いたのは 、
「では、またいつか一緒に帰りましょうね」だった 。
まるで 、 長い別れのセリフのようだった 。
そんなことは 、 ないんだろうけどな 。
コメント
2件
こういう主人公兼語り手?みたいな作品とても好きです!緋色の涙蘭くんにはどんな秘密が隠されてるのかな…?