この世界に、君もそろそろ嫌気が差したんじゃない?
もう飽きたよね? 正しくはみ出さず生きるなんて。
……ね? だからさ、いっそこの世界をめちゃくちゃにしちゃおうよ!
崩壊、悲鳴、絶望、狂気。それで世界を満たしてしまうの。
……あっはは! 怖いねぇ、でも大丈夫。
誰も君を責めないよ。誰もが望んだ混沌でしょ?
もし責められそうになっても、俺が君を綺麗に消し去ってあげるよ。
なぁんにも怖くないね!
……ほら、じゃあさ。
はいっ、受け取って? ナイフ。
ちゃんと研いであるからね。
……ん?
……嗚呼、当然でしょ? 神に逆らおうとしてるんだよ、俺ら?
君の血を俺に捧げてよ。決意表明だと思ってさ。
ねぇ、
早くして?
何でできないの? 血だよ? ちょっとで良いんだよ?
……なんだ。
お前も所詮はそんなもんかよ。
Sm
世界の全てが橙で上塗りされてしまいそうな薄暮で、ただ二人。 かしゃ、と掴んだフェンスが軋んだ。嗚呼、此処は学校の屋上だったか。
ナイフを差し出してきた目の前の彼は、酷く落胆した様に…… 否、俺が拒む事を知っていた様にも見える空虚な笑みを貼り付けていた。
彼が誰だか知らない。自分が何故ここに居るのかも知らない。 金縛りにでもあったかの様に動けない俺に、彼はそっと歩み寄る。
-?
-?
Sm
Sm
-?
さらっとした黒髪に、吊り気味の蒼い澄んだ瞳……。 知らないっつーの!
Sm
-?
-?
Sm
Sm
-?
Sm
けらっと笑うその声は、透き通っていて綺麗だ。 けれど、一番大事な部分だけは見えない様な……兎に角、怖い。
-?
-?
Sm
Sm
-?
-?
-?
Sm
Sm
-?
-?
Sm
-?
-?
薄く貼り付けた笑みのまま、彼は俺の手に自分のそれを重ねた。 かしゃん……。 ……俺と彼は、正面で向き合っている。
Sm
Sm
俺と彼の間に、フェンスがある事。
それにたった今気付いて、 後退ろうとすれば、右足がぷらんと踏む地面を見失う。 嗚呼、俺は飛び降りる寸前だったのだろうな。
-?
-?
Sm
『 』
『 』
『 』
『 』
『 』
『 』
『 ! 』
-?
-?
Sm
-?
-?
-?
Sm
-?
Sm
-?
Sm
-?
-?
-?
Sm
刃物は嫌だ……!
フェンスの穴を余裕で通れるだろう、細い柄のそれがどうしようもなく怖い。 ……何故? ……知らない……ッ!
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……!
Sm
Sm
Sm
どうせ死ぬなら?
煩い、一人で死なせてくれよ。
夕の日射ととっぷりとした影でできた街並みに吸い込まれる様に。 或いは、目の前のそれから唯々逃げたくって。
飛んだ。
-?
嗚呼、彼が何か言っている。
浮遊感に包まれてしまえば、先程までの恐怖はもうない。
飛び降りている時に秒数を数えられそう、なんて表現は月並みだろうか。 ゆっくりと、目紛しい視界で落ちていく。
風が煩い。
夕日の反射が目に痛い。
『 』
煩いな、何だよ。
一人で……、
-?
Sm
Sm
生きてる。
否、そう思えるのは痛覚があるだけで、視界の半分は白い。
……何か柔らかいものに触れている?
Sm
ゴンッ
Sm
-?
Sm
-?
-?
Sm
勢いよく顔を上げれば、柔かに笑う彼の顎に頭をぶつけてしまった様だ。
視界の白も、彼の衣服であったと気付く。
Sm
-?
-?
Sm
-?
-?
Sm
-?
Na
Sm
Na
Sm
Na
Sm
Na
Na
Sm
Sm
Na
Na
Nakamu、と名乗った彼は、立派に雪白の翼が背に生えていて。 おまけに天使の輪まで頭上に浮いている。
きんとき? とNakamuが俺の名前を知っていた事は別段どうでもいい。
が……こればっかりは驚かずにはいられなかった。
Sm
Sm
Na
Na
Na
Sm
Na
Na
Sm
Sm
Na
Na
Sm
Na
Sm
Na
Na
Kn
Sm
Na
Na
Kn
Sm
きんとき。そいつには翼も輪っかもなく、ぱっと見普通の人間だ。
Na
Na
Kn
Sm
Sm
Na
Kn
Na
Sm
Na
Kn
Kn
Na
Sm
どうやらNakamuは、 俺に抱きついて落下時のダメージを軽減してくれた様だが、
……互いに至近距離で目が合うと、そっと離れる。
Na
Sm
Kn
Kn
Na
Kn
『 』
Na
Na
Kn
Na
Sm
Sm
Na
Kn
Na
Sm
Na
Sm
Na
Na
Na
設定
Sm
高校2年生
以下秘匿
Kn
種族 堕天使
役職 欺罔者
以下秘匿
Na
種族 天使
役職 救済者
以下秘匿
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