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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

この世界に、君もそろそろ嫌気が差したんじゃない?

もう飽きたよね? 正しくはみ出さず生きるなんて。

……ね? だからさ、いっそこの世界をめちゃくちゃにしちゃおうよ!

崩壊、悲鳴、絶望、狂気。それで世界を満たしてしまうの。

……あっはは! 怖いねぇ、でも大丈夫。

誰も君を責めないよ。誰もが望んだ混沌でしょ?

もし責められそうになっても、俺が君を綺麗に消し去ってあげるよ。

なぁんにも怖くないね!

……ほら、じゃあさ。

はいっ、受け取って? ナイフ。

ちゃんと研いであるからね。

……ん?

……嗚呼、当然でしょ? 神に逆らおうとしてるんだよ、俺ら?

君の血を俺に捧げてよ。決意表明だと思ってさ。

ねぇ、

早くして?

何でできないの? 血だよ? ちょっとで良いんだよ?

……なんだ。

お前も所詮はそんなもんかよ。

Sm

っ、!

世界の全てが橙で上塗りされてしまいそうな薄暮で、ただ二人。 かしゃ、と掴んだフェンスが軋んだ。嗚呼、此処は学校の屋上だったか。

ナイフを差し出してきた目の前の彼は、酷く落胆した様に…… 否、俺が拒む事を知っていた様にも見える空虚な笑みを貼り付けていた。

彼が誰だか知らない。自分が何故ここに居るのかも知らない。 金縛りにでもあったかの様に動けない俺に、彼はそっと歩み寄る。

-?

どうしたの、そんなに怖がっちゃってさ?

-?

俺何か違う事言ってる? お前が“できない”のは事実じゃんか

Sm

や……っ、

Sm

誰なんですか、貴方は……

-?

んー? 誰だと思う?

さらっとした黒髪に、吊り気味の蒼い澄んだ瞳……。 知らないっつーの!

Sm

……知らないですよ

-?

だよね。けど教えてあげない!

-?

“できない”子にそこまでしてあげる必要ないもんね?

Sm

何です、“できない”子だの何だの……

Sm

自分を刺せないだけでそんな言います?

-?

君ならできると思ったんだけどなー。

Sm

……

けらっと笑うその声は、透き通っていて綺麗だ。 けれど、一番大事な部分だけは見えない様な……兎に角、怖い。

-?

まっ、いいや。でさ、

-?

君ってここで何しようとしてたか憶えてる?

Sm

えっ、

Sm

いや……?

-?

誰も居ない屋上で

-?

必死にフェンスに掴まって

-?

……何がしたかったのかなぁ?

Sm

何、

Sm

……飛び降りようとでも、してたか?

-?

ふふっ

-?

さぁね。それは君にしか解らないと思うけど

Sm

……自分でも解んないし

-?

そっかぁ、そうだよね

-?

……まあ一つ教えてあげられるとすれば、

薄く貼り付けた笑みのまま、彼は俺の手に自分のそれを重ねた。 かしゃん……。 ……俺と彼は、正面で向き合っている。

Sm

……あっ、

Sm

あっ!

俺と彼の間に、フェンスがある事。

それにたった今気付いて、 後退ろうとすれば、右足がぷらんと踏む地面を見失う。 嗚呼、俺は飛び降りる寸前だったのだろうな。

-?

何が辛かったのかは知らないけどさ!

-?

どうせ死ぬならこの世界を道連れにしちゃわない? って提案だったんだよ

Sm

……ひゅっ、いや、

『      』

『      』

『      』

『      』

『      』

『      』

『   !   』

-?

あれれっ

-?

怖い事思い出しちゃったね?

Sm

ぅえっ、……っ、

-?

ねぇ、楽になろっ?

-?

逃げたって悪くないんだから

-?

……笑茉?

Sm

……、来るなよ……

-?

うん、俺はそっちには行かないよ。大丈夫

Sm

ら、楽、に……

-?

全部終わらそうよ?

Sm

死……っ

-?

あーこらこら。死ぬ前に血頂戴って!

-?

はい、これで手でも切れば出てくるでしょ?

-?

ほら、切って!

Sm

ぁ……、!

刃物は嫌だ……!

フェンスの穴を余裕で通れるだろう、細い柄のそれがどうしようもなく怖い。 ……何故? ……知らない……ッ!

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ……!

Sm

……ははっ……

Sm

無理だ……

Sm

……っ、さよなら……っ

どうせ死ぬなら?

煩い、一人で死なせてくれよ。

夕の日射ととっぷりとした影でできた街並みに吸い込まれる様に。 或いは、目の前のそれから唯々逃げたくって。

飛んだ。

-?

〜〜!

嗚呼、彼が何か言っている。

浮遊感に包まれてしまえば、先程までの恐怖はもうない。

飛び降りている時に秒数を数えられそう、なんて表現は月並みだろうか。 ゆっくりと、目紛しい視界で落ちていく。

風が煩い。

夕日の反射が目に痛い。

『   』

煩いな、何だよ。

一人で……、

-?

っ駄目……!

Sm

いづ……っ

Sm

……え、

生きてる。

否、そう思えるのは痛覚があるだけで、視界の半分は白い。

……何か柔らかいものに触れている?

Sm

……、!

ゴンッ

Sm

いでぇっ!

-?

いっっっった?!

Sm

……へっ、あ?

-?

……あ

-?

良かったぁ、生きてた〜!!

Sm

いや、えっ、その……

勢いよく顔を上げれば、柔かに笑う彼の顎に頭をぶつけてしまった様だ。

視界の白も、彼の衣服であったと気付く。

Sm

ぁ、俺生きてんだ……

-?

そうだよー、本当さ!

-?

はぁ、きんときに何か言われたんだろね

Sm

きんとき、

-?

嗚呼、あの黒髪の人ね

-?

駄目だよ、そんな簡単に命手放しちゃ……って俺が言える事じゃないけど

Sm

……あっと、貴方は……

-?

ん? 嗚呼俺か

Na

Nakamuっていいまーす! よろしくね笑茉

Sm

あ……宜しくお願いしま、

Na

……

Sm

……よろしく?

Na

! うん、流石。解ってくれるものだねぇ

Sm

……あっ、助けてくれて、ありがと……う?

Na

あー、いえいえ!

Na

……そんな申し訳なさそうにされるとこっちが困るよぉ

Sm

いや、申し訳ないのもそうだけど

Sm

……翼……

Na

あー、驚かせちゃった?

Na

大丈夫大丈夫、幻覚じゃないからね!

Nakamu、と名乗った彼は、立派に雪白の翼が背に生えていて。 おまけに天使の輪まで頭上に浮いている。

きんとき? とNakamuが俺の名前を知っていた事は別段どうでもいい。

が……こればっかりは驚かずにはいられなかった。

Sm

幻覚であってほしかったよ……

Sm

えっ何君。天使、?

Na

そーだよー

Na

俗に言う天使。貴方の事を救いに降臨しましたー!

Na

……なんてね

Sm

あ、何かの用事のついでだった?

Na

ぶっちゃけるとそうだね

Na

きんときと下界でも散歩しようよーって降り立ったんだけどさ

Sm

ああ、

Sm

(えっ、まさかあいつと仲間なのか……?)

Na

そしたら目離した隙にスマイルの事誑かしててさぁ!

Na

んで、スマイルは飛び降りちゃうし

Sm

う、ごめん

Na

本当にさー、せっかくの休日を無駄にしてくれやがって!

Sm

ごめんってばぁ……

Na

……まあ生きてたから許すけど

Na

てかきんときが一番悪いんだけどね、これは!

Kn

悪かったね、休日を無駄にしちゃって

Sm

ぅわっ?!

Na

あっ、きんときぃ!

Na

駄目でしょー、流石に直接手を下すのは

Kn

別に死ねって命じた訳じゃないよ? スマイルが勝手に飛んだだけでしょ

Sm

……、

きんとき。そいつには翼も輪っかもなく、ぱっと見普通の人間だ。

Na

あーごめんねスマイル。怯えなくていいよ

Na

多分もうなんもしてこないから。ね?

Kn

ははっ、ごめんねー

Sm

反省してないだろ……

Sm

えっ、てかきんときも、あれ? てんs、

Na

あっ、いやきんときはー……

Kn

天使は天使でも堕天使だよ。堕とされちゃった

Na

あっ、言っちゃうのね

Sm

堕天使……確かに堕天使がやりそうか

Na

結構根に持ってるね? 容赦ないよ?

Kn

まっ、そういう訳で……

Kn

お前らさっさと離れてくんない? なんか気まずいんだけど

Na

? ……あっ、

Sm

……っと

どうやらNakamuは、 俺に抱きついて落下時のダメージを軽減してくれた様だが、

……互いに至近距離で目が合うと、そっと離れる。

Na

……ごめん

Sm

……や、

Kn

はいはい、もっと気まずくならないの!

Kn

……てかさ、どうするよNakamu?

Na

ん?

Kn

こいつ……

『     』

Na

あー……そっかぁ

Na

……救済、?

Kn

に、なるかなぁ

Na

おっけぃ、じゃあ笑茉!

Sm

あっ、何?

Sm

(そんな堂々と耳打ちすんなよ……)

Na

んー、何だろう、言い方むずいなぁ……

Kn

はーやーく

Na

んー……ん゛ん゛っ、えー、俺は、ね?

Sm

うん、

Na

君を救いたいと思っているんだよ

Sm

……いや、さっきもう命救われてるけど

Na

あー、違う違う!

Na

えっとね、まず……

Na

君はね、罪人なんだよ

設定

Sm

村崎 笑茉(むらさき-しょうま)

高校2年生

以下秘匿

Kn

きんとき

種族 堕天使
役職 欺罔者

以下秘匿

Na

Nakamu

種族 天使
役職 救済者

以下秘匿

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コメント

1

ユーザー

すごく雰囲気が良くて素敵で好きです😍😍😍😍😍😍😭😭

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