クラスメイト
ガヤガヤ
如月 鈴
(結構な時間が経っていたらしい。教室に戻ると、クラスメイトが沢山いた。)
天野 なぎさ
あ、下僕ちゃん♪今日は早く来てたみたいだね?でも、教室にいてくれないとわかんないじゃん。
如月 鈴
…すみません。
如月 鈴
(いや、私がどこにいようと私の勝手だろ。なんなんこのメスブタゴリラ。)
如月 鈴
(…とは、口が裂けても言えない。)
天野 なぎさ
まぁいいや、それでさ…。
如月 鈴
(そう言って、天野さんは私に近付いてきた。)
如月 鈴
(やだ、こないでほしい。)
天野 なぎさ
…ねぇ、中庭で一緒にいたイケメンさん、誰?
如月 鈴
(何故か周りに聞こえないぐらいの音量で、しかも耳元で喋ってくる。)
如月 鈴
(彼女の言っているイケメンさん、思い当たる人物は一人しかいない。)
如月 鈴
(十中八九、蓮のことだろう。)
如月 鈴
(でも、正直彼女に私達のことを知られたくはない。)
如月 鈴
…イケメンさん、と言うと?
天野 なぎさ
やだな〜、しらばっくれないでよ♪黒髪に翡翠色の目の男子生徒よ、話してたでしょ?
如月 鈴
…あー、あの人は、私が落し物をしてたみたいで、それを拾ってくれたんです。
天野 なぎさ
…ふーん?本当に、それだけの関係なのね?
如月 鈴
はい。その後すぐ別れたので、名前なども聞いてないですね…。
如月 鈴
(すべて嘘だ。彼女に私達だけの秘密を知られれば、めんどくさいことになるのは目に見えている。)
如月 鈴
(今端的に考えた嘘なんだけど…どうくるかな。)
天野 なぎさ
まぁいいわ♪私、あの人のこと好きになっちゃったの♪あの人は私が狙うから、貴方はこれからあの人とは喋らないでね?
如月 鈴
(やっぱめんどいな、この女。)
天野 なぎさ
…返事は?
如月 鈴
…はい。(怖っ)
如月 鈴
(別に、彼女が彼を狙おうが、私達にはほとんど影響はないだろう。)
如月 鈴
(どうせこの関係は、長くは続かないだろうから。)
如月 鈴
(その間に私と彼の間には、何も芽生えやしない。)
如月 鈴
(だから、天野さんと蓮が仲良くなろうが、付き合おうが、私達は何も変わらない。)
天野 なぎさ
〜♪
如月 鈴
(天野さんはご機嫌で自分の席に戻っていった。)
如月 鈴
(誰かそのまま彼女に自分の席から離れられない魔法でもかけてほしいものである。)
如月 鈴
(そして私は、今日もいつもと同じように授業を受け、授業を終える。)
如月 鈴
(そして、今日も自分の家に帰る。)
如月 鈴
(金曜日の放課後の部活時間という、今までにない希望を待ちながら。)
如月 鈴
(そういえば、蓮は何年何組なんだろう。)
如月 鈴
(今日までの休み時間で、彼を見かけたことは1度もなかった。)
如月 鈴
(いや、私が必要以上に教室から出ていないだけだが。)
如月 鈴
(移動教室とかも…蓮を見たことないんだよね。)
如月 鈴
(一応制服着てるし、この学校の生徒だよね?)
如月 鈴
(じゃなかったらなんなんだよ。)
如月 鈴
(なんか、急に怖くなってきた…。)
如月 鈴
(…今更だけど、まだ片手で数えれる程度しか会っていない相手に、怒ったり怖がったり、自分勝手な感情を抱いている私は最低だ。)
如月 鈴
(仕方ないじゃない、だって、人間だもの。ってどっかで聞いたことある言い訳を使う。)
如月 鈴
(多分、普通に授業受けてると思う。)
如月 鈴
(授業中普通に寝てたりしてたら笑えるな。)
如月 鈴
(…そういえば、今は授業中だった。)
如月 鈴
(私は、いつの間にか止まっていたシャーペンを握る手を動かす。)
如月 鈴
(授業中なんだから、集中しないと…勉強だけが取り柄でしょ、多分。)
担任
じゃあ、ここを…如月さん、答えてください。
如月 鈴
はい、そこは〇〇です。
担任
はい、正解です。
如月 鈴
(タイミングよく考えを切り替えられる私、もしや天才だったか。)
如月 鈴
(そんな馬鹿の考えは置いといて、普通に授業に集中しよう。)
如月 鈴
(今日も1人で帰る。)
如月 鈴
(ただ、不思議と足取りは軽い。)
黒猫
にゃー
如月 鈴
…また会ったね。
如月 鈴
(最近の私のブームは、この黒猫ちゃんと話しながら登下校すること。)
如月 鈴
(人間の友達がいない私にとって、この黒猫ちゃんは心の拠り所だった。)
如月 鈴
今日さ、ちょっと面白いことがあったの、聞いてくれる?
黒猫
んにゃ〜?
如月 鈴
(私は、今朝の出来事を黒猫ちゃんに話してみた。)
如月 鈴
(この子は頭がいい、私の言っていることが分かるのか、リアクションをくれる。)
如月 鈴
(それがなんか嬉しくて、ついつい喋りすぎてしまう。)
如月 鈴
(そろそろ帰らないといけない、けれど、家に帰って待っているのは、明らかに何か隠してるお父さんとの、お通夜のような空気の食事。)
如月 鈴
(正直、この子と一緒にいる方が、ずっと心は楽だ。)
如月 鈴
(嫌いなわけじゃない、お父さんのこと。ただ、やはり私達家族には、壁がある。)
如月 鈴
…今日はもう少し、ここにいさせて。
黒猫
…にゃおん
如月 鈴
…君は、優しいね。
黒猫
にゃふん
如月 鈴
(褒めると露骨にドヤる。やはりこの子は、中に人間が入っているのではなかろうか。)
如月 鈴
(…そういえば、最近姿を変える魔法、チェンジングについて教えてもらったのを思い出した。)
如月 鈴
(まぁ、教えられたところで、私は使えないんだけど…。)
如月 鈴
(いや…まさかね、そんなわけ…)
如月 鈴
…
如月 鈴
(先程まで黒猫ちゃんのいたところには、何もいなかった。)
如月 鈴
…帰っちゃったのかな。
如月 鈴
…私も、そろそろ帰ろ。
如月 鈴
(急に体重が5トンぐらい増えたのではないかと疑うほど重い腰をあげて、家へ帰る。)
如月 鈴
(いや、私はそんなに重くねーよ。)
如月 鈴
(私は家へ帰った。)
如月 鈴
(それを見ていた人物に気付かずに。)
月野瀬 蓮
…
如月 鈴
最後まで見てくださりありがとうございました。
如月 鈴
何なんでしょうね、月野瀬 蓮という人物は。
如月 鈴
普通にホラーなんだよなぁ。
如月 鈴
関係ないけど、私猫の中じゃ黒猫が一番好きなんですよ。
如月 鈴
いや、猫ちゃんは皆可愛いし好きですけどね?
如月 鈴
なんていうか、見てると他の子より落ち着きます。
如月 鈴
…初めてですね、最後にこんな喋ったの。
如月 鈴
では、またここでお会い出来たら嬉しいです。
如月 鈴
またね。