私は人が嫌いだ。
人は皆、騙し合い、貶し合い、 奪い合う。
とても愚かで、単純な生き物だ。
私もその内の1人。
だから自分も嫌い。
全人類、皆そうなんだって思ってた。
でも違った。
あの人は、彼女は違ったんだ。
とても澄んでいて、真っ直ぐな瞳。
誰もがそれに惹かれていく。
嗚呼、こんな人本当にいるのだな。
いや、多分この人ぐらいしか居ないだろう。
私は初めて、人を知りたいと思った。
彼女なら私をこの闇から連れ出してくれるだろう。
確信に近い自信が湧いてくる。
そう、希望を抱いた瞬間、私の世界は変わりだした。
いや、動き出したんだ。
ずっと止まっていた時計の針が、 動き出したんだ。
もっとあの人のことを知りたい。
叶えたい。この夢だけは、絶対に。
絶対に。
次回、第1話。