奇跡の父犬と子犬

今日も今日とで仕事。

でも一般の仕事よりは少し特殊な仕事をしている。

その仕事は、、

ワン、？

この子をよろしくお願いいたします

動物保健センター。

言ってしまえば 動物を殺処分する仕事。

この二人は同業者のほとけっちと 初兎ちゃん。

まず一つ勘違いしないでほしいのは 俺らは動物が嫌いじゃない。

殺処分してしまうときも 「可哀想」 じゃない。 「ごめんね」だ。

もともとは人間のせいで捨てられて、それで今ここにいるんだ。

確かに可哀想だ。でもそんなことを思う前に自分がそういったことをしていないか考えてみてほしい。

こんな俺らにとって、 運命的な出会いがあった。

一匹で逃げる選択をせず、 我が子と一緒に逝く選択をした。

そう考えると辛くなる

違う。怯えてない。

我が子を守るために威嚇してる。

「この子達に手を出すな。」 そう言ってる気がする。

12月14日。あと10日。

エサをあげるときも

ほんとに飛び付いてきそうな 感じだった。

なにより

自分の子ではない子犬も見たら

この子、、優しすぎる

自分の子じゃないのに 暖めてあげて、、

もう、、亡くなっているのに

そう。今は冬。今年も寒い。 その寒さは子犬や動物の命を 凍死で奪っていく。

命の期限日はホワイトボードに記されている。ほとけっちはその命の期限日を消し始めた。

その命の期限日を少しの間伸ばした

二年以上ここに勤めた者は 期限日を伸ばすことができる。 ほとけっちも少しでも救われてほしいと思っているのだろう。

休みの日もりうちゃんは ここに居続けた。

何時間も、ここに居続けた。

今日初兎ちゃんは休み。 僕だけが勤務のはずだった。

段ボールで父犬と子犬の周りを隠す。本当に良く考えたと思う。

父犬は今どういう表情をしているのだろうか。

そう。子犬だけなら引き離して保護することもできる。

でも

父犬がりうら達を見つめてる。 何を話してるか分かってるのかな、

残された日はわずか、、、 もうだめかもしれない、ごめんね、

残り１日

お願いだから、怖がらないで、 威嚇しないで、

普通ここは飼い主を待って、新しい引き取り手を探す場だ。

でもりうらはこの子を自分の手で、 引き取ることを提案した。

あのとき亡くなってしまった子犬の子に君がしていたように、君を優しく抱きしめた。

あれから２ヶ月、、

名前のないことして「ないこ」 って名前にした。

今では呼んだらきてくれるように なって、吠えたりしなくなった。

残りの子犬二匹は、

ガチャ

さすがに一人で三匹を育てるのは 大変ということで 二人が預かってくれている。

ほとけっちが預かってくれている方はIf。こうなってほしい、などの願いをたくさんこめたからだそうだ。

初兎ちゃんの方は悠佑。男らしく勇敢に生きてほしいからだそうだ。

それに一週間に一度ほどにここにきてくれるからないくんも怒らない。

人間は愚かな生き物です。

それを痛いほど痛感させてくれたのがないくん達でした。

この子達を見ると人間でいることが恥ずかしく感じます。

これからペットを飼う方はショップではなく管理所の子達にも目を 向けてみてください。

その子達にも、、 どうか奇跡がおきますように。

～END～