君を忘れさせて

偶にあの日の夢を見る

君が私に言った言葉の数々

その言葉の意味を

深掘りしてしまう自分がいる

君のことなんてどうでもいい筈なのに

寝返りすると隣には私の”恋人”

初めての恋人

彼を見ているとすぐ私の視線に気づき

照れくさそうにしている

そう言うと彼は手で顔を隠し

そう言って私にキスをした

数え切れないほどいっぱい

その名前が出た時私の鼓動が五月蝿くなった

本当に煩い

行成研磨の名前が出てきて挙動不審になってしまった

”研磨”それは私の幼なじみであり

私の好き”だった”人

小学生の時

初めての友達が研磨だった

その時に鉄郎とも仲良くなって

3人で遊ぶのが日課になっていった

研磨達と居ると毎日が楽しくて仕方がなかった

中2の夏休み

その日はクロが居なくて

久しぶりの2人だった

いつも通り話していた

いつもと同じようにゲームして他愛もない会話をして

いつもと変わらない事をしていた

ベットで寝転がる私

棚の微妙に届かないくらいにある漫画が読みたくて

取って欲しいとお願いをした

そう文句を言いつつも彼は取ってくれた

漫画を受け取ろうとした時

床に置いてあった教科書の山に研磨が躓いた

そう言って彼を心配すると

彼は耳を真っ赤にさせていた

それで今の状態に気づいた

彼が私を押し倒しているという状態に

研磨の顔を見ると何故か心臓が鳴り止まなくて

私まで顔が赤くなった

この状態が続くと心臓が破裂しちゃいそうで

恥ずかしすぎて死んじゃう

そう思ってると彼は我に返り

そう言って部屋を出て行った

研磨の顔を近くでみて

それをまた思い出して

もっと心臓が五月蝿くなった

この時から私は研磨を 男の子として意識するようになった

研磨との出来事から数週間が経った

あの後から研磨の行動が少し可笑しくて

私を家に極力呼ばないようにしたり

少し私と距離を置いたり

だから直接聞こうと思った

今研磨と2人

何から話そうか迷っていると

研磨が先に口を開いた

一向に私と目を合わせてくれない

理由なんてあの出来事しかない

こんな関係のままなんて嫌だ

色んな感情でいっぱいになって

涙が零れてきた

自分だけこんな考えて

勝手に泣いて

恥ずかしすぎる

彼は下を向きながらそんなこと言った

また耳を真っ赤にさせていた

そんな恥ずかしい事言ってくると思わず

私まで顔が真っ赤になった

答えずらい質問をしてしまったと後悔したものの

その後の言葉が欲しくて堪らなかった

安心したかった

その言葉を聞いた瞬間

また心臓の音が五月蝿くなって

研磨に聞こえてしまわぬように

ずっと胸を抑えていた

私も研磨が好き

好きの意味が違うかもしれないけど

私はこの日から恋愛的に研磨が好きになっていた

前のことを思い出してボーッとしている私に

鉄郎が又もやキスをした

鉄郎の言葉にハッとして我に返った

研磨の事考えてたなんて言える筈ない

私は誤魔化すかのように鉄朗にキスをした

こんな薄っぺらい嘘に

騙される鉄郎を見るのは苦しかった

こんな感情に気づかれたら鉄朗を傷つけるだけ

研磨とはもう話さないって決めたんだから

この感情を隠す為ならなんだってする

それが卑怯なものでも

誰も傷つかずに済むなら

これでいい

早くこの感情を上書きして

早く君を忘れさせて

next story ♡1000