クラスメイト
教室に入るなり クラスの女子数人に囲まれている彩葉が 目についた
上村謙信
彩葉を囲む女子たちに声をかければ バツが悪そうに黙り込んだ
上村謙信
クラスメイト
クラスメイト
上村謙信
クラスメイト
そう言って女子たちは教室を出て行った
吉岡彩葉
彩葉だって嫌な思いをしたはずなのに あの子たちを追いかけそうな勢いで "ほんとにいいの?"って心配している
上村謙信
上村謙信
何か言いたげな表情で俺を見つめてくる
休み時間 理由も教えられないまま体育館裏に 呼び出された
1学期中盤から急激に謙信くんたちと 仲良くなったせいか クラスの女子たちに目をつけられた
クラスメイト
待ちくたびれちゃった、と クラスの一軍女子 真鍋美緒が私を見下したように笑った
真鍋美緒
謙信くんたちに近付くなって 言いたいのだろう
それくらい言われなくてもわかる
私だってこんな私が 謙信くんたちみたいにキラキラした人と 一緒にいていいのだろうかって 今になっても考えてしまう
わからない
地味で陰キャ おまけに場面緘黙で話せない そんな私と仲良くしてくれる理由なんて どう頑張ってもわからない
"仲良くしたいから"と みんなは言ってくれるけど それが本心なのか 私を利用しようとしているのか それすらも疑ってしまう
うまく人を信じられない
思うように心を開けない
彼らの前でも 話せる相手と話せない相手が存在する
真鍋美緒
そんなことを言われても 謙信くん側が私に構うんだから どうしようもないでしょ、
草川直弥
直弥先輩が顔を見せると 真鍋さんとその取り巻きたちは 目を見開いた
真鍋美緒
草川直弥
"彩葉困ってそうだったから来ちゃった" なんて、かわいい言葉遣いとは裏腹に 少しイラついているらしい
全然優しくない空気を纏っている
草川直弥
私の手首を掴んで 真鍋さんたちの横をすり抜ける
草川直弥
吉岡彩葉
草川直弥
《目、付けられたみたいで、》 《今日来たときからあんな感じです、》
スマホに打ち込んで見せれば ますます意味がわからないという感じで なんで?って首を傾げる
吉岡彩葉
吉岡彩葉
草川直弥
上村謙信
直弥先輩と話していたら 私を探しに来たらしい謙信くんが 私を見つけて声をあげた
上村謙信
草川直弥
上村謙信
草川直弥
上村謙信
対策考えないと、って 真剣な顔で呟いた
いやいや大丈夫、大丈夫 心配ないよ 私別にいじめられてないから平気だよ
首を横に振って否定すれば "大丈夫じゃないでしょ"って 直弥先輩まで難しい顔をした
上村謙信
吉岡彩葉
上村謙信
これは"いじめ"じゃない
こんなの、いじめには入らない、
これくらい私が我慢すれば 私がみんなと関わらなければ すぐに解決することだから
大丈夫
心配しないで?
謙信くんたちが思ってるより 私、強いから、
上村謙信
あの日から 彩葉が俺たちを避けるようになった
お昼を一緒に食べようと 今日も誘ったけど逃げるように 何処かへと行ってしまった
上村謙信
そんな生活がもう1ヶ月
流石に我慢の限界が来て 真鍋さんたちのグループに注意した
真鍋美緒
上村謙信
真鍋美緒
上村謙信
真鍋美緒
上村謙信
いつも通り屋上に行けば 何故かそこには彩葉の姿があった
上村謙信
沢村玲
関哲汰
上村謙信
俺が聞くと哲汰と玲くんは 顔を見合わせて彩葉にいい?と聞いた
吉岡彩葉
沢村玲
関哲汰
上村謙信
関哲汰
高尾颯斗
颯斗が聞くと びくっ、と肩を竦めて 苦笑いを浮かべた
上村謙信
吉岡彩葉
吉岡彩葉
小さい声は ところどころ風に掻き消されながらも 俺たちの耳に届いた
関哲汰
高尾颯斗
吉岡彩葉
吉岡彩葉
吉岡彩葉
自信なさげに俯く彩葉に "馬鹿じゃないの? 嫌われたかと思ったじゃん、"って 颯斗が言った
吉岡彩葉
まだぎこちない話し方
でも話してくれた
嬉しい
沢村玲
上村謙信
吉岡彩葉
小さく笑う彩葉を見て 何があっても守ってあげたいと 強く思った
コメント
2件
最高!続き待ってるね!