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────これは、私だけが知ってる物語。
世界一の名探偵──L。
正義の殺人鬼──KIRA。
Lとキラの壮絶な戦いは、二人の死をもって終焉へと向かった──
──しかし、私の知ってるキラ事件はそんなんじゃない。
あの二人の戦いに部外者が入ったのだ。
本来舞台上にいるはずの無い出演者によって、二人の運命は大きく動かされることになる─────
──────BB。
ビヨンド・バースデイ。
本来はこの世にはもういない。いるはずの無い出演者……。
これは──Lとキラの命をかけた死神ノートの対決に『天然由来の死神の目を持った者』によって狂った物語──これは、私だけが知ってる物語。
✞✞✞
【第1話】BB連続殺人事件
夜神月がデスノートを拾う約3年前のこと──
[ワイミーズハウス 2000年3月1日 13時13分]
ザーザーと降り注ぐ雨。部屋に一つしかない小さな窓は強烈な雨粒と強風を受け止めていた。
白いシーツだけが敷かれたベッド。私はそこで蹲るように膝を抱え、目の前に立つ男の顔を見上げた。
シキ
私の目の前にはBこと、ビヨンド・バースデイがいる。ワイミーズハウス、二番目の子であり、Lの後継者
伸びきった黒髪、酷い猫背に、両手をポッケに突っ込んで、飄々(ひょうひょう)と立っている
ビヨンド・バースデイ
BはバックアップのB、Lの跡継ぎ、バックアップとしてBは用意された。オリジナルのLを越すこと、それがBの目標でもあり、信念
その目標を掲げたことは賞賛するが、Lを超えるために『BB連続殺人事件』を起こそうとしているのは反対だ
今さっき、Bから企んでいる連続殺人事件の内容を聞かせてもらった。何故そんなことが聞けるのか──それは私が“ビヨンド・バースデイことBの後継者”だからだ。
シキ
BB連続殺人事件──名前と苗字のイニシャルがBBの人間を三人殺し、最後はBBの名を持つビヨンド・バースデイが焼身自殺するというものだった
彼はこの事件を成立させる為に名前と苗字がBBの者を一緒に探して欲しいと頼んできた
しかも、条件が複雑であり最後の焼身自殺する場所に関しては13に縁のある場所が良いなどと言い出し、絶好の場所としてはマンション、アパートなどの集合住宅。ビヨンド・バースデイの望む最後は、『13号室』または『1313号室』にて、『イニシャルBBの者が住んでいる』所で焼身自殺、だそうだ。
この条件を成立させるのはかなり難しいだろう。何せ人の名前を探らなければならない。……そう、普通の人ならほぼ無理な話だ。しかし、私とBは違う。普通の人とは違う、“目”が違う。
シキ
私達の持つ“目”は特殊なもの。そう、キラ事件を知っているあなた達ならその名前を聞けばわかるはず──『死神の目』。私とビヨンド・バースデイは『先天的な死神の目』を持った同士。しかし、この時の私達は目の正体を知らない。生まれつき持った特殊能力だと思っていた──
──私はこの目を持っていたからバースデイに接近することができ、Bの推薦からBの後継者になることが出来たのだ。
シキ
私は何としてもこの事件を食い止めたい。殺人がいけないことだからとか、そんな理由じゃない。なぜ、私が彼を止めるのか──それは、私にビヨンド・バースデイの寿命が見えているから──
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
楽しみなのか知らないが、ニヤニヤが止まらないバースデイに私はため息をついた。
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
その一言でバースデイは分かると思う。
死ねない──つまり、最後の自殺は叶わないということ。なぜなら私にはビヨンド・バースデイの寿命が見えているから。
私の目に映る寿命は年内のものでもなければ、7月、8月でもない。
人は必ず寿命通りに死を迎えるんだ。私の目にうつる寿命がまだ先ということは、自殺は叶わない。
ビヨンド・バースデイ
シキ
バースデイは私の言っていることを理解し、ゆっくり肩を落とすと、つまらなさそうに俯いた。ショックだったのか、Bは曲がりきった背筋を伸ばし、珍しくため息を吐いた。
ビヨンド・バースデイ
言うなとは、見えている寿命のこと。バースデイからは寿命が見えても何も言うなと告げられていたが、私はそんなことに形振り構ってはいられなかった。
シキ
ビヨンド・バースデイ
このBB連続殺人事件の詳細を私に話したところで運命は変わらない。寿命も変わらない。
人はその生まれ持った寿命通りに死ぬのだから。バースデイは事件の日に死ねない。すなわち自殺する前に捕まるか、自殺が失敗するか、だ。
バースデイはLが認めた天才だし、バースデイが捕まることはない。きっと後者だろう。自殺に失敗する。
──彼は焼身自殺すると言っていたが、寿命を見る限りこれから死ぬには早すぎる寿命の長さだ。焼身自殺した挙句、自殺に失敗し、殺人の罪を背負ったまま死ねずに生き残るなど目も当てられない。バースデイだっておめおめと生き残る様な事は望んでないだろう。
シキ
ビヨンド・バースデイ
俯いて動こうともしない彼。そんな彼に私はベッドから降りて近づいた。
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
私は彼の顔を覗き飲むと、頭の上には赤い文字で彼の本名と寿命が見えた。うん、やっぱり出会った時から同じ寿命。
バースデイはまるで見るなとでも言うように私の肩に顔を埋めると、そのまま力なく項垂れた。 成人男性一人を支えるほどの力はなく、私は彼の背中に手を回すと二人でゆっくり床に膝をつけ抱き合った。
力を失った人形のように項垂れている彼の背中を摩り私は彼の耳元で話す。
シキ
分かってる。こんなのが彼の慰めにもならないことくらい。
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
バースデイはゆっくり顔を上げると、私の顔を見て眉間にシワを寄せた。
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
私はBの手を両手で握り、渾身の女の顔で彼を見つめると、Bは少しだけ頭を引いた。
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
Bと結婚、結婚。そして──
シキ
ビヨンド・バースデイ
何言ってんだとBは苦虫を噛み潰したように顔を歪ませた。
もちろんただ結婚して子供が欲しいわけじゃない。私にはちゃんとした企みがある。
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
Bは斜め上をじーっと見つめ悩んだ後、一言でこの提案は終了に向かった。
ビヨンド・バースデイ
シキ
ビヨンド・バースデイ
シキ
そこを突っ込まれたか……。確かに結婚する必要はない、必要はないが──
シキ
私はBに恋愛感情を抱いている。
大好きなのだ。この人が。 だから、結婚出来るチャンス、なんなら子供も作れるチャンスだと思ったのに……!
シキ
Bは大きく息を吸った後、鼻から抜けるようなため息をつき、目を上にぐるっと一周させて肩を落とた。
私の手をすり抜けるように離すと、そのままベッドの方に行き、寝転がってしまった。
私も彼の後を追い、バースデイの背中にしがみつくように抱きしめると、頭を擦り付けた。
シキ
ビヨンド・バースデイ
Bは何も返事をしなかったけど、背中を向けたまま、腕だけを後ろに持っていき、私の頭を軽くポンポンっと撫でた──
──────これでロサンゼルスBB連続殺人事件は阻止できた。
つまり、Bは今も生きている。殺人犯にならなかった彼は“キラに殺されずに済んだ”。
これで幕を閉じれば良かったものの、そう簡単にこの物語は終わらない。
──これは、Bがキラの力を得てLを卓越した物語。
私が変えてしまった、物語──