コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
イエモン
ふと気が付くと手首に赤い染みが出来ていた
イエモン
まただ。また、切ってしまった
今日こそは、そう思っているのに
いつも、気が付いたら切っている
イエモン
ぼんやりとだが、切っている時のことは覚えている
ぷつりと皮膚が破れて血がにじんで
どうしようもない高揚感を覚えている
イエモン
包帯を巻く
どうせ、明日になったら解いてしまうのに
ズキズキと痛む腕を無視して目を閉じた
次の日
イエモン
自炊する気力がなくておにぎりやらを買いに来た
少し暑い
この季節は長袖が辛いな
店員
イエモン
店員
イエモン
チャリンチャリン
手から硬貨が逃げ出す
床に零れ落ちる
イエモン
手が震える
後ろの人が舌打ちをしている
苛立ちと軽蔑の混じった視線が痛い
その後、どうなったかは覚えていない
気付けば帰路をフラフラと歩いていた
イエモン
イエモン
音を口から漏らす
まだあの視線が怖い
手は無意識にカッターに伸びる
イエモン
スウウ・・・と刃を皮膚に滑らせる
その感触が好きで好きで
痛みを誤魔化す為に脳内で分泌されるアドレナリンが気持ちいい
イエモン
切る。切る。
無心でひたすらに切る
イエモン
ボロボロと涙が頬を伝う
自分が酷く惨めに思えて
心がミシミシと軋む
イエモン
イエモン
深く。より深く刃を皮膚に食い込ませる
ぽたり、ぽたりと血が床に落ちる
イエモン
くらくらしてきた
でも手が止まらない
もう綺麗な皮膚が左腕にない
視界がすりガラス越しのように霞む
でも
流れ出る血を見ると
うれしくて
しあわせだ
ほんとうにしあわせなんだ
ほんとうに
主
主