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誰かが呼ぶ声
『……君の声が、世界を救う』
はっきりと、そう聞こえた。誰の声なのか、どこから聞こえたのかもわからない。
でも、その声は確かにそう言ったのだ。
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🎼🍍「、、っ!」
暇72が目を覚ますと、そこは見知らぬ大地だった。
🎼🍍「どこだ、ここ、、?」
辺りを見渡すと、静かな町、大きな湖、神殿のような場所。綺麗な風景だが、どこかさびしげな場所だった。
🎼🍍(あれは夢、?)
自分を呼ぶ不思議な声。一体なんだったのだろうか。
動かないと何もわからないと思った暇72は神殿に向かった。
とても大きく立派な神殿。
🎼🍍(なんか、不気味だな)
こんなにも大きな神殿なのに人がいないのだ。
🎼🍍(いや、考えてみれば近くにあった町も静かだった)
🎼🍍(この場所には誰もいないのか、?)
謎が深まる中、神殿の内部に入る。
すると6本の柱に囲まれた神秘的な景色が広がった。
その中心で、ひとりの少年が祈りを捧げていた。
なぜか目が離せず遠くから見つめていると、少年がこちらに気づいて目が合う。
🎼☔️「待ってたよ」
少年は微笑んでそう言った。
🎼🍍「待ってた、?」
🎼☔️「うん、みんな君が来るのを待ってたんだ」
🎼🍍「俺、何もわからない」
🎼🍍「目が覚めたら、ここにいたんだ」
🎼🍍「この場所も、君のことも、自分のことも、、よくわからない」
そう、なにもわからない。ただあの声だけが頭に残っている。
🎼☔️「君は”選ばれし声”を持つ者——この世界を救うために呼ばれたんだよ」
少年はまっすぐ見つめて言った。
🎼🍍(世界を、救う、、?)
🎼☔️「こさめについてきて!」
🎼🍍「へ?」
🎼☔️「この世界のことを教えてあげる」
突然手を引っ張られ、ついていく。
🎼🍍「こさめって名前?」
🎼☔️「うん、そうだよ!」
🎼🍍「俺は暇72」
🎼☔️「なつくんね!よろしく!」
こさめに連れられて、しばらく歩いていると町に着いた。
町には人がいた。
水を汲む人、畑を耕す人、動物に餌を与える人。みんな仕事をしているのだろうか。
🎼☔️「ここはね、こさめの育った場所」
🎼☔️「雨の都って呼ばれてたんだ」
🎼🍍「雨の都?」
🎼☔️「うん、昔は雨がたくさん降って、水で栄えた町だったの」
🎼☔️「神様に祈って、雨を降らせてもらってたんだ」
🎼☔️「でも、、」
🎼☔️「ある日、雨が止んだの」
🎼🍍「雨が、?」
🎼☔️「うん」
🎼☔️「なんでか知ってる?」
🎼🍍「いや、」
🎼☔️「この町を見て」
こさめに言われた通り、町を見る。
すごく不気味だった。
町は人はいる。でも、静かで誰も会話をしていない。大人も子供もみんな無言で淡々と作業していた。
🎼☔️「”声”を奪われたんだ」
🎼🍍「声、を、、奪われた、?」
🎼☔️「そう」
🎼☔️「”声”っていうのは”想い”をのせた力のこと」
🎼☔️「”声”を奪われて、神様にお祈りできなくなって、この町に雨は降らなくなったんだ」
🎼☔️「雨だけじゃない、歌も、音も、笑い声ですら消えちゃった」
🎼🍍「そんな、、」
無言で歩く親子を見て心が痛くなった。
🎼☔️「声が消えて世界は変わっちゃった」
『君は”選ばれし声”を持つ者——この世界を救うために呼ばれたんだよ』
さっきこさめにそう言われたのを思い出した。
🎼🍍「俺なら、世界を救えるの?」
🎼☔️「、、、うん」
🎼☔️「けど、長い旅になる」
🎼🍍「、、、行こう」
🎼☔️「えっ?」
🎼🍍「何もない俺にはどうせ行き場もないから笑」
🎼☔️「つらい結末が待ってるかもしれない」
🎼🍍「だとしても」
🎼🍍「自分が誰なのかを知るために、行くよ」
覚悟を決めて、俺たちは雨の都を後にした。