「あかり、遅かったね。なにしてたの?就職先は決まった?…ママあかりにはちゃんとした企業じゃないとダメだと思うんだけど…学力的に厳しいかな?」
…… はじまった
家に帰るといつもお母さんが待ち構えていて何か一言言わなければ気が済まないらしいのだ。いつも出来ていない部分を半ば諦めてますが、的な感じで言われるんだ
「まぁまぁ、良いよ。パパもママもいるんだし、働かなくてもいんだよ、3人でずっと一緒に暮らせればね」
そう言ってお母さんを宥めながら私のお父さんはパソコンに向かってカタカタと家中に雑音を響かせている
母親と父親はとても仲良しで私のことはきっと何よりも愛してくれていると思う
でもさ、、だけど
愛されているのは分かっている
でも。
そんな両親を鬱陶しく感じるのは
やっぱり私は人とは違う。
ダメな人間ってやつですか、
「……あのさ、私買い忘れたものあるから」
帰宅したばかりだがこの日は
美咲と自分を比べたり、未来のことが不安で
いつもは流すトコだけれど
どうしても空気に耐えられなくなって一息つくために家をでようとした
「え!!ダメだよあかり、危ないから家にいなさい。」
「パパの言う通りよ、車に跳ねられたらどうするの?何がいるの?ママが買いにいくから家にいなさい」
なんなのこの人たち
気分が悪いな
*
*
*
*
両親が寝静まるのを確認した私は
音を立てないように立てないように…
ゆっくり歩いて、玄関だとバレるかもしれないからベランダからスリッパで外に出た
これが私の日課だったりするわけだが
今日はなんだかいつもより冒険してみたい気持ちになって、商店街のほうへ向かう
「 あかりひとつない 」
きっとカラスもヤモリも
みんな寝てる
すこしだけ楽しくなって
この世界が私だけのもののような
偉くなった気がした私は辺りを堂々と歩き
缶が落ちていたら蹴飛ばして歩いた
誰も居ない夜に空き缶の音が響く
「…ん?」
缶の音と入り交じって紙の音が聞こえてきたから、それを拾い上げる
*
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