コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
パクリ❌
ハートコメフォロー待ってるよ
いつもありがとう
最終回
「ヨイチ…なぜ俺は皆と違うのだ…?」
陛下が即位されたばかりの頃。
寝室で…細く、か弱い手でありながら私を強く抱きしめながらそう聞かれた。
「それは…」
それは…
なんと言えば良いのだろう…
陛下は特別な存在だから?
いや。そんな言葉など微塵も求めていない。
親をなくし、兄弟をなくし。頼れる者も居なく、ただ孤独を生きる毎日…
____________まるで。幼少期の自分を見ているようだ。
「『凛』。明日は街に行こう。たまには息抜きも必要だ!」
「……え?いいの!?」
「あぁ。陛下の仕事などつまらないだろう?」
「えっ…あっ、いや、、…うん」
「ふふっ…正直でよろしい。明日は流星祭だ。脱走した私たちに気付いても、人が多くて見つけるのは大変だろう…?」
「あっ……うんそうだね!」
「楽しみは出来たか?出来たのならばもう寝よう。…夜も更けてきている」
***
「ゴホッ…ゴホッゴホッ」
「陛下…大丈夫ですか?」
「あぁ…うッ!」
!!
「本日の公務は切り上げる。看病は私が行う!誰も部屋に近づけるな!いいなッ!?」
「うまくいったか…?」
「流石だ。『凛』お前には演技の才能があるなぁ!」
「やった!血糊作成大成功っ!」
「でも…万が一にでもバレたら、フェスマン執事長に怒られてしまうなぁ…」
「え“…」
「ふふっ…大丈夫。私がなんとかしてあげよう。ほら、行くよ!」
そうして、外に出た私達は、夜が更けるまで、街を散策し続けた。
もちろん。流星にたわいもない願い事もして…
だが、帰ってきた時には、結局バレて、フェスマンやメイド長のアンナに
**「陛下を夜中まで連れ回すな!」**と気持ちよさそうに寝る凛の前で2人の心ゆくまで説教させられた。
「…あはは。悪かったよ。」
「ヨイチ様!ですからあれほど…!」
「だが…この子はまだ即位して間もないたった8歳の小さな子供なのだ。」
「自分は他と違うと分かっていても…憧れられずにはいられないだろう。」
その気持ちは、私もよく分かる。
「……大公様。次からお出かけになられる時は、私達使用人に一言お声掛けくださいませ」
「わかった。ありがとう、感謝するよ。」
「ちょっと!フェスマン様!」
「アンナさん。」
「ぁ、……」
そうして2人は静かに部屋を出ていった。
「ヨイチ…」
「大丈夫。もう寝よう」
「…ん」
貴方だけは…絶対に一人にはしない。
なんとしてでも名君に育てあげよう。
もし…
私が居なくなることがあった時に困らないように。
そう決めた。なのに…
なぜ君は…
なぜ貴方は。
そんなふうになってしまったのだろう…
いや。私は…
そんなふうになってしまった貴方と、そうしてしまった自分の存在が……
「心底憎いよ…凛……」
「それは願ったり叶ったりだ」
「…陛下」
「愛と憎しみは紙一重。どんな感情であろうと、貴方に俺と言う存在が刻みついているのは…たまらない」
そうやって愉快そうに笑う陛下を見たのはいつぶりだろう…
「どうだ?新しい部屋は…お前の為に新調したのだ…気に入ってくれると嬉しい」
大きな部屋の中に建つ、ガラス製の人間用鳥籠…
窓の外には鉄格子と見知らぬ景色…
王宮の中には違いないが、私でも知らぬこの場所に、**「逃がさない」**と言う意思を感じる
「まるで…奴隷のようだ」
「いい言葉を使う…そうだな。爵位も地位も失ったお前は、もう何者でもない。」
**何者でもない。**か…そうだな。今の俺には一番似合う名だ。
「凛…お前はいつも**何かを探している。いつも何か**を求めている。」
「お前は、悪夢にうなされるといつも泣きながら許しをこいていた。」
『「生まれてきてごめんなさい。死ねなくてごめんなさい。生きててごめんなさい」』
「お前は…**いつも生きる許可を貰おうとしていた。**他でもない…誰かに」
「それならば、俺が許そう。お前は、生きていい。自由なのだ。誰にも…縛られることはない。
もし…心の拠り所が欲しいのならば俺がなろう。お前と共に永遠を行こう。だから…」
「そんなこと求めてない!俺の悲しみの…何がお前に分かる!?一緒にいて欲しいとか、歩んで行きたいとかそんな生ぬるいものじゃない!そんな言葉を並べて分かったフリをするな!気持ち悪いッ!俺は…お前みたいな奴が大っ嫌いだ…」
大っ嫌い…
そんな言葉初めて聞いた…
気づけなくてごめんな…
そんな風に感じさせてしまってごめんな。
俺のせい…
俺のせいだよな。
ごめん
ごめんなさい
「兄上…」
「ッ…!そんな時まで!こんな状況になっても尚ッ!父上の事をッ!」
「違う…違うよ。凛。ごめんな…俺のせい。俺のせいだよ。」
「泣かせてごめん。一人ぼっちにさせてごめん。理解者になったつもりでいた。俺と…お前の境遇は似ているから…」
「俺一人の犠牲で済むなら…俺のせいなら…好きにしてくれ…」
「分かってないッ!お前は…お前は何も分かってないッ!!」
「あぁ…そうだね。俺は、何も分かってない。俺は…何も…」
だから…
End of the story