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イカやタコなどの進化した生物が古くから暮らすバンカラ地方。その中心地「バンカラ街」は急速に発展が進んだことで、イカやタコだけでなく、様々な生き物が移り住み、様々なところが賑わい続けていた。
バンカラ街、ロビーの中にあるロッカールーム。昔はこぞってみんながロッカーを飾っていたが、今やその見る影もなく、ロッカールームに出入りする人たちはほとんどいなくなっていた。この、2人以外は。
「あ、オルヴァ!こっちこっち〜」
「…いや、別にお前に会いに来たわけじゃねえんだけど…」
「えー、そうなの?でも話そうよ!ほら、さっきお店でポテト買ったんだよね〜一緒に食べない?」
オルヴァと呼ばれたイカは諦めたようにため息をつくと、ロッカールームの端に用意された質素な机と椅子に近づいて、イカの横に座る。
目の前の無駄に元気なイカは、チャーリー。最近バンカラ街に来た新人で、バトルやバイトをせずにロッカールームでずっと雑誌を読んでいる、変わり者。
「はい、ポテトあげる〜」
「ああ…ありがとう」
チャーリーから差し出されたポテトを、無気力に受け取る。チャーリーはよくこれを食べているが、飽きないのだろうか。
そんな和んだ空気が漂っているが、今ロッカールームに人が入ってこようものなら、ギョッとされること間違い無いだろう。
何故なら、スプラトゥーン甲子園2024一般チーム部門において優勝を納め、クマさんのバイト界においてはオオモノシャケの討伐と金いくらの納品を素早く同時に行う為圧倒的信頼感と定評のでんせつアルバイターであるオルヴァが、変人名高い初心者のイカと和んでいるからである。
「ねぇオルヴァ、オルヴァはここに何しに来たの?」
「ああ、そうだ。自分のロッカーにステッカーを貼りに来たんだ」
「ステッカー?どんなやつ?」
チャーリーが不思議そうに尋ねると、オルヴァはポケットから虹色に輝くステッカーを3枚取り出した。
「んんー?武器のステッカー?」
「そう。これが14式竹筒銃・乙のステッカーで、これが4Kスコープのステッカー。そんで、これがジムワイパーのステッカーだな」
「へぇ〜あれ、でもオルヴァのロッカーって、もう同じような奴何枚も貼ってなかった?」
「嗚呼、色んな武器を使ってるからな。」
「ふーん、自慢ですかぁ〜?」
「なんだよそれ…自慢じゃないけど、これは俺の努力の結晶みたいなもんだから、ちょっとだけ、見せびらかしたくなるだろ?」
「うわ、やっぱ自慢なんだぁ〜」
チャーリーがうわーんと机に頭を突っ伏して、足をバタバタと動かす。
「違うって」
「でも、いいなぁそのステッカー。すごくキラキラしてて綺麗。私もロッカーに飾りた〜い」
「バトルすりゃいいじゃん」
「え〜でもー…」
「…怖がってんの?」
オルヴァがそういうと、チャーリーの身体がびくりとする。「んん…ちがうけどぉ…」と変な唸り声をあげているチャーリーを横目に、オルヴァは妙に納得していた。
チャーリーがバイトもバトルもせずにずっとここにいたのは、バイトやバトルが怖かったからなのだと。チャーリーはバンカラ街の新参者だし、バトルをした方がないのだと。
「はぁ…じゃあ、俺がバトルについて行ってやるよ」
「んぅ…でも、武器持ってないし、使い方もわかんないもん…」
「支給品はあるだろ?」
「わかばシューターのこと?」
「それだ。レギュラーマッチなんて、それがあれば良い。」
「ほんとに?」
「ああ。使い方がわからないなら、隣のトレーニングルームで教えてやるよ。」
オルヴァがそういうと、チャーリーは「やったー!」とパッと顔を輝かせて席を立ち、自分のロッカーへ向かっていった。
ロッカーを開けて何やらガサガサとしながら「どこにやったっけー…」と唸らせている。
これは時間がかかりそうだと思い、オルヴァも席を立ち自分のロッカーに向かう。
ロッカーを開いて、シューター武器のボトルを探す。今のレギュラーマッチがどういうものか知らないが、ボトルはどんな時でも武器環境入りをしている為使っているやつらが多く、この武器との戦い方がわかれば基本は大丈夫だと考えたための判断である。
常にロッカー内は整っているためすぐにボトルを見つけ出し、手に取りロッカーを閉める。
チャーリーの方に目をやると、チャーリーの周りにガラクタが散らばっており、「あったー!」と嬉しそうにわかばシューターを手に取っていた。
「見つけたか?」
「うん!あったよ〜!めっちゃ大変だった~」
「じゃあ、次はそのガラクタ達を片付けなきゃな。」
「あっ!」
チャーリーはガクリと頭を落として地面にわかばシューターを置くと、「私のばかぁ…」とメソメソしながらガラクタを集め始めた。2人がかりでやった方が早そうだと思い、オルヴァも片付けに参戦する。
—五分後
「やっと片付いたぁ…」
「かなりの量だったな」
「手伝わせてごめんね…」
「いや、大丈夫だ。どうせ時間はあるんだし」
そう言うとオルヴァは床に置いておいたボトルを拾い、チャーリーを手招きする。
「ほら、教えてほしいんだろ?」
チャーリーは嬉しそうに「うん!」と返し、わかばシューターを素早く手に取って立ち上がった。
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「覚えたか?」
一通りの動きを教え込み終わって、チャーリーがゼエゼエと息を吐きながら「ちょっと、休憩…」と懇願した為とった休憩時間に、床に身体を投げているチャーリーに問いかける
「はぁ、はぁ…わかん、ない……すごい勢いだったから…」
バトルについて全くの無知であり普段雑誌を読んでいるぐらいしかしてないチャーリーにとっては、全力で走ったりインクにもぐったり、インクを噴射するシューターの衝撃を受け止めるだけでも、かなり辛かったようだった。
「まぁ、チャーリーだしなぁ」
「ちょっとそれ、どういうこと?」
チャーリーが「もー」とふくれっ面をしたのを目に入れて、ある大事なことを思い出す。
「なぁチャーリー、死んだことはあるか?」
「え…いや、ないけど」
「じゃあ、死んでみるか」
えっと困惑顔のチャーリーにボトルを持って近づき、しゃがんでインクを至近距離で3発ほど打つと、目の前で潰れた音と共にチャーリーの身体が緑色のインクの中へと消えていった。
この感覚はもう幾度と無く経験してきたが、知人を目の前で打つというのは、かなり心が締め付けられれものなのだな…と他人事のように思っていると、背後から復活の音が聞こえた。
振り向くと、そこには棒立ちのチャーリーがいた。呆然とした表情をしており、状況を理解できていないようだった。
立ち上がり、チャーリーに近づく。
「チャーリー、大丈夫か?」
「あ…オルヴァ…いま、なに…」
「チャーリーに、一度死んでもらったんだ。バトルではこれが何回も起こるだろうから、一度は経験しておかないとバトル中に混乱するだろ?」
そう淡々と説明するオルヴァの言葉は理解できても、初めての経験すぎて、チャーリーは頭がまとまらなかった。こんなにも自分はあっさりと死に、こんなにもあっさりと蘇生するのか、と。
「そ、そっか…うん、わかったよ…」
「それは良かった」
チャーリーが力なく返事をすると、オルヴァは「次はあの壁でイカノボリをやってみようか」と、チャーリーに背を向ける。
その背中を見て、ちょっとしたいたずら心が芽生えた。
チャーリーはわかばシューターを持ち直し、自分に背を向けるオルヴァに向かって数発インクを当てる。
デスさえしなかったものの重ダメージを負ったらしく、オルヴァはふらりとして、こちらに振り向く。
その目には混乱と共に、自分を打った者に対する敵意があり、初めてそんな目線を向けられたチャーリーは一瞬怯みながらも、言葉を放った。
「だめじゃん、オルヴァ。背、向けちゃ」
先ほど急にやられた仕返しのつもりで言った言葉だが、オルヴァは何故か、自分がタネから育てた植物に花が生えた時のような顔をして、笑った。
「はは、確かに…これは、油断だったな」
そう言うとオルヴァは武器を持ち直し、銃口をこちらに向ける。
「じゃあ、次は…俺とpkだ」
言葉が耳に届いた瞬間、さっきの身体が潰れる感覚し、意識を手放した。
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読んでくださりありがとうございました。
スプラ3のバンカラ街を舞台としたんですけど、これ、めっちゃ難しいですね…
イカタコちゃんは私たちが操作する側ですし、もしイカタコちゃんが自分の意思でバンカラ街で住んでいたら…という妄想の元出来上がった産物ですが、中々楽しいと同時に難しい
このお話は、バンカラ街に来たばかりの新人イカガールズのチャーリーと、古参&限界猛者イカボーイであるオルヴァくん2人を主人公とした物語です。
めっちゃ強い人がほわほわした初心者と仲良くしてる絵面、大好きです。
オルヴァくんの見た目としてはガングロで深い赤目、髪型はオールバックのタタキケンサキ、アナアキブランドを中心としたコーデ
チャーリーは肌白にピンクと紫のグラデーションがかかった目の色で、髪型はショート。アロメやホッコリーのコーデを愛用
こんな感じの2人で、気が向いたら続き書くと思うので、いいねやコメントフォローお願いします。