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王都の空に響く狂気じみた声。
「さて、愛すべき反逆者どもよ。」
アレクシスは、異魚天、レイス、萌香、みりん、サブを見渡しながら、あざけるように微笑んだ。
「一人の貴族嬢、田舎の女、蛮勇な人間、古臭い侍、そして……吸血鬼よ。」
異魚天は鼻を鳴らし、レイスは黙ったままアレクシスを睨みつける。萌香は眉をひそめ、みりんは舌打ちした。サブだけが呆れたように肩をすくめる。
「おいおい、自己紹介の時間か?」
「そうだな。」アレクシスは薄く笑う。「お前たちがこの戦いの本当の意味を知らずに戦うのは、少しばかり愚かしいと思ってな。」
彼はゆっくりと手を広げる。
「100年前、王国がある魔族を討伐したことを知っているか?」
「興ケンドラ魔族……か。」レイスが低く呟く。「俺が討った。」
「そうだ。」アレクシスは頷く。「だが、討ったのは偶然じゃない。俺の祖父……エゼル・ヴァンガードが計画したものだった。」
沈黙が降りる。
「エゼルは異能者だった。」アレクシスは淡々と続ける。「彼の異能は——『魔族を呼び戻す』能力。時代の異なる魔族を、時間の壁を超えて再び召喚する。」
「……縄文時代の魔族を呼び戻したのか。」異魚天が鋭い声を上げた。
「そう。」アレクシスは微笑んだ。「『ケンドラ』をな。」
レイスの手がわずかに震える。
「俺は……ただ利用されていただけだったのか?」
アレクシスは満足げに笑う。
「その通りだ、吸血鬼の英雄様よ。」
彼は王都の闇に向かって両手を広げる。
「100年前に起きた“魔族討伐”の真実は——王国が意図的に魔族を呼び戻し、それを英雄に討たせることで正統性を保とうとした計画だったということだ。そしてまた、英雄に孤独死させるのも…」
空気が張り詰める。
異魚天は刀をゆっくりと抜いた。
「……てめぇ、ふざけた話してんじゃねぇぞ。」
レイスの目が赤く輝く。
「この……クソ野郎が。」
アレクシスは満足そうに笑う。