Attention!
この小説は2.5次元創作となります。
実在する方々の名前をお借りしておりますが、御本人様とは一切関係ありません。
御本人様や界隈、ファンの方々の迷惑となる様な行為は絶対にしないで下さい。
閲覧はあくまで自己責任でお願い致します。腐向けの意図はございません。
誤字脱字等は脳内変換して頂きますようお願いします。
◇
「こちらゾムーク、敵の基地に侵入した」
『よくやったゾムーク。今回はW国がα砂漠に建造した核研究施設からウランNo.114514を奪取する事が目的である』
無機質な声がインカムから届く。どうやらこの任務は重要な様で、二体目までは僕を複写したロボットの遠隔操作で侵入する様だ。
何処からか、僅かに話し声が聞こえた。侵入者がいることには気付いているらしいが、自分には気付いていない。これは早く終わりそう、なんて呑気に考えながら、横のドアを開けた。
「・・・なんや、隙だらけやないか」
たんっ、と音を立てて麻酔の塗った弓を射れば、くたびれたスーツの男はがくりと沈む。
丁度施設の人間達が騒ぎ始めたところか。扉越しに騒がしい声が耳に入る。ちらり、と小窓から様子を伺った。
「・・・、きれい・・・」
青天の霹靂。
軽やかな足踏みで走り周囲を警戒する彼らの瞳は、それはもう宝石のような輝きを放っている。一色、二色、三色。
思わずほぅ、と感嘆のため息が漏れた。どっかの凄い人が身につけていたブレスレットよりも美しく見える。チカチカと目が眩み、一瞬思考が揺れた。
もう一度、と背伸びをした時。
向こうを見ていた茶髪の黄色が揺れ、こちらに視線を向けた。咄嗟の判断でしゃがみ、そのままダクトへと逃げ込む。
「危なぁ・・・次にガバったら、何されるかわからへん・・・」
とくとく、と音を立てる心臓を押さえつけ、息を吸って、吐いて。
今日は調子悪いようだと決めつけて、その場を後にした。
「────くそっ、しくった」
やはり調子が悪いようで、二人分あったロボットは消滅、透明化のポーションの数も減ってきた。
でも、後は僕がやればいい。普通の人間じゃない、僕ならできる。
しかし、だ。
さっき見た色とりどりの瞳が脳裏にちらついて離れない。何かが違う、と強く拳を握った。
あんなに楽しそうに巡回する人間なんかいないだろう。自分が置かれた状況との違いに眩暈がした。
突如、ザザっとノイズ音がインカムから発せられ、そのまま「飼い主」の声が流れてくる。
『何をしている、ゾムーク。動きが止まっているぞ。ここを落とすわけにはいかないのだ、お前なら出来るだろう?』
「────っ、すみま、せん。すぐ動きます・・・」
『そうしろ。それとも、怪我でもしたのか?余計な手間はかけさせないように。』
それと、もう一つ。
早く終わらせられないなんて、躾が必要じゃないか?それとも、お前はもう使えないのかな。
ひゅ、と喉から変な音が出る。ぶちり、と言いたいことだけを冷たく吐き出す声が途切れ、通信が切れた。
心臓のあたりが締め付けられるような感覚が湧き上がり、震える手で握りしめたインカムの温度が冷たく感じられる。
残すウランは、中庭のみ。ポーションを飲んで、扉を開けた。
どろり、黒い感情が自分の足元に絡みついて、離さない。
◇
この世では、1世紀前では非現実的だなんてバカにされてた事ができてしまう。
よく戦闘で用いられるポーションは大抵が体を光らせたり、足を速くしたり、脚力が上がったり、などなど。まぁどれもお高くつくのでほいほい使えないのは悲しいが。
で、今回の侵入者は透明化のポーションを所持してるらしい。しかも幾つも。
俺とトントンで1回ずつ倒したんだけど、両方とも似せたロボットだった。使用されてる製品はα国産のもの。侵入者を仕向けたのはα国自身か、その同盟国、友好国だと考えていいだろう。
『っ新しい情報入った!Ω国の奴ら脅して吐かせたら、どうやら対うちら様にずっと人体実験してたらしいよα国!その侵入者、よく言われてる”脅威”で間違いない!』
『は!?おいおいまぢかよちょっとぉ』
「・・・脅威・・・?」
焦り口調で突如インカムを繋げてきたまんちゃんに首を傾げる。大先生は知っている様だ。脅威ってコードネームかなんかかな。ちょっとかっけぇ。
『知らへんのシャオちゃん?そいつやばい伝説残してんねん、例えばたった一人で一日掛からず東南あたりの小国潰したとか』
「なんそれやば。α国に最近媚びてる国が多いんはそーゆーことなんやな。どないするんそいつ、倒せるん?」
『分からないゾ。こんなとこに来るとか、大先生が流してくれたここで核兵器作ってるってデマに引っ掛かっただけやとは思うが』
『だとしてもその”脅威”とかいう奴が来とるんなら好都合やろ!さっさと倒してこのままα国に宣戦布告したろうやないか』
『お前無計画すぎやろ・・・そうなればええんやけど』
「うちらに爆薬取りに来ただけなら、守るより攻めるほうがええってことよな?」
『そんなっ!?私の新作の爆弾がぁ・・・!』
「そんなんええやん別に。ちゃんと作り方残してんのなら」
会話が面倒になり、インカムを切る。きっと帰ったらエミさんにグチグチ言われるんやろな、そんなすぐ怒るからハゲるんやぞ。
だるぅ、前線出たいーなんて愚痴をこぼしながらふと上を見上げたその先。
橋の上に一箇所、モヤのかかっている場所があった。
「っ、そこ・・・!」
「え」
グルッペンがこちらを見ている。こちらに気づかず、橋の上を移動する物体。
咄嗟の判断で弓矢を取り出す。
ライフルのほうが重たいしめんどいよなぁ、もっとええ武器ないんかな。近接はええけど、遠距離はもっと鍛えなあかんなぁ。
なんて、人は窮地に陥った時や焦った時、正しい判断をするのだと痛感する。
「っは、」
俺の矢は、そいつを貫いた。
◇
完全に見えてなかった。橋の左端、石レンガで丁度見えない死角。
まるで吸い込まれる様にこちらに向かう矢を視界の端で捉える。左肩に衝撃を感じた。
弱い、今日の自分はおかしい、と頭の中で懺悔の言葉が渦巻く。また躾られるんかな。いたいのは嫌だな。
もう、あそこに帰りたくないな。
彼方の弓にも麻酔が仕込まれていたのだろう。左肩から力が抜け、頭が回らなくなる。ぼんやりとする思考の中で、あの綺麗な宝石がこちらを捉えたような気がした。
失敗作だと言われても、なんとか生き残ってきた。昨日言葉を交わした奴が起きたらいなくなっていた。みんなの分の毒を肩代わりしてきた。
あんな奴らの手駒になるくらいなら、あんな奴らの手駒として終わるのなら。
せめて、あの瞳たちに射抜かれて死なせて。
◇
いたい。一番最初に思ったこと。孤児院にいた時に教えてもらったこと。ぼくが今感じているもの。
ガチャリ、と音がした方を見れば、いつもの人たちが、となりの部屋に入っていった。
真っ白な服を着てて、僕に「いたいこと」をする。ちゅうしゃ、って教えてもらったもので、薬をうつ。だから、ぼくはこの人たちが嫌い。
今日は、どんなお薬かなぁ。振り向きざまに窓を見れば、ガラスに自分の目が映る。「ペリドット」ってみんなが言ってた。この色はめずらしくて、よくわからないけど「良い」らしい。
そう言えば、この目と似ているけど、全然違う色を見たことがある。
どれくらい前か。きゃいきゃいと楽しそうな声がして、窓のそとをみれば、前に言っていたえらいひとの子供がうさぎと追いかけっこしてたんだっけ。
あの子、きらきらしてて、すごかったなぁ。髪の毛と目の色が、太陽の差し込む樹木のようで。
くるりくりと舞うその姿に惚れ惚れして、ずっと見つめていたら怒られたんだっけ。
全然違ったなぁ。僕とはかけ離れてた。
ちくり、針を刺された右腕が痛い。
◇
コツ、コツとヒールが石をたたく音に目が覚めた。僅かに痛む肩に顔を顰める。
懐かしい夢を見た気がして目を擦れば、涙がうっすらと幕を張っていることに気づいた。そんな悲しい夢じゃなかったと思うが。
音のした方を見れば、暗闇の中で鋭い深紅の瞳が輝いていた。瞬時に頭に浮かんだのは、魔王。
鉄格子の向こう、グルッペン・フューラーはしゃがみ、こちらに目線を合わせてきた。
「気分はどうだね、”脅威”───いや、ゾムーク」
「・・・最高、やな。煮るなり焼くなり好きなようにしたら?自分にもこの頃嫌気がさしてな。生憎帰るところもあらへんし」
もうどうでもいい。皮肉を込めて放った言葉に、彼は「そうか」とだけ相槌を返す。
気まずくなって目を伏せた先に、ことりと湯気を纏った皿が置かれた。
「・・・え?な、」
「機嫌が悪いならこれでも食べればいい。ひとらんの畑で作られた野菜と大先生特製の隠し味を加えた、御馳走だゾ」
「これ、シチュー・・・?なんでこんなもん、」
殺しにかかってきた者に与えるもんと違うやろ。いや、毒でも入れとるんか?
訳がわからん。首を傾げる俺を見て、グルッペンは笑った。
「実はな、お前をここに引き抜こうと思ってるんだ。」
「は?・・・え、何いうてん、俺、あ、あんた殺そうとしたんやぞ」
「知っている」
「ウラン盗もうとしたんやぞ」
「それも知っている」
「な、なんで・・・」
「興味が湧いた。お前に」
「え・・・っと、具体的に、どこが」
「・・・ふむ。長くはなるが・・・
─────君は、『幸福理論』というものを知っているか?」
「なんやそれ・・・、どっかの宗教の宣伝文句みたいやな」
「ふはっ、面白い例えだな。まぁいい。これはマーティン・セリグマンという学者が論じたものだ。ポジティブ心理学では非常に重要な考え方とされていて────・・・いや、今はそんなことどうでもいい。彼は、幸福を構成する5つの要素を「PERMAモデル」としてまとめている。これは幸福を構成する5つの要素をまとめたもので、誰でも幸福になれるカギとも言われているものだ」
急に篦棒に話し始めた彼に少し驚く。熱意がすごい。
どうやら彼はそこそこの学歴を積んでいるらしく、スイッチの入ったその目はギラギラと輝いていた。
大袈裟な身振り手振りで熱弁する彼は、さながら舞台役者のよう。
半地下の窓から差し込む光が、スポットライトとしてよりグルッペンという演者を引き立てている。
それまで何やら難しそうな話をしていた彼が、ぴたりと動きをやめ、こちらを見据えた。
「そこで、だ。君は、自分が幸せだと感じたことがあるか。自分が幸せになるにはどうしたらいいか考えたことはあるか。誰もが幸せになるということはどういうことか、想像したことはあるか。」
その彼の問いに、思わず息が詰まる。
幸せなんかある訳ないだろ、とやけくそのように言葉を吐き出そうとしたのに、喉が引っ付いて離れない。
唐紅は、俺を見つめて離さない。
まるで自分のものだとでもいうかのように。
「分かるか、君は今答えられなかった。自分に関心がない。幸福について考えたこともない。ふっ、実に滑稽だな。」
どくんと心臓が跳ねた。今までにない、知らない感情。チカチカと視界が瞬く。自分もああなりたい、あの色とりどりの瞳に混ざりたい。突然の欲に、視界がどろりと溶けていく。
あんな風に笑えたら、あんな風に輝けたら、あんな風に、
「お前の幸せはなんだ。自分でももう、気づいているんじゃないのか?」
あんな風に、ありのままの自分でいられたら。
クツクツと笑う魔王が、ゆっくりと丁寧にお辞儀をする。朱色の幕が音もなく閉まり、そのまま彼は姿を消した。
自分はそれを、見つめているだけ?
「もう一度尋ねる。
─────我が国に、来てみないか?」
◇
「────で、ゾムさんはここに来たって感じ」
「は、はぇ〜。ゾムさん、割と古参かと思ってたわ」
「そんなことないですよ、私の来るちょっと前ぐらいに来ましたから。それにしても、なんでこんな大切なこと今更教えて来るんですかね」
「いつかは話そうと思っとたんですぅ。せっかくチーノきたし、気まずくならへんよう3人まとめて、こう、ね?・・・・・・あでっ!?あぁんひどい」
意味分からないことを言ってくる大先生に思い切りデコピンをカマす。ここは談話室、俺ら後発組と堅気組で昔話をしてました。いや何その話、ワイ知らんて。気まずいて。
兄さんうるさいです、と痛みに悶える大先生を一瞥する。
「・・・思い出話なら俺のいないところでやってくれへんか」
「知らへんところで噂されるんやって嫌いやろ?」
「気まずいやんけぇ」
「「「いやほんま」」」
「たは。僕ってばぁ、我儘だからぁ?大事な話はしたいときにしたくなっちゃうのぉ」
ね、ゾムさん。
咄嗟にキモ、と帰そうとした口を閉じる。急に話を振られたゾムさんは目をぱちくりさせていた。当然の反応である。
「ゾムさぁん?昨日の任務であなた怪我してますよね。私知ってるんだから」
「は、はぁ?怪我なんかしてへんし。なんや急に、」
わたわたと視線を動かして、ゾムさんは驚いたように言い返した。しかしその反応、完全に黒。
「いや挙動不審すぎるて」と、思わずチーノがツッコミを入れた。
「ほら医務室いくで。今ならトンちへの報告はワンチャン無しにできるかもあらへんよ」
「んぐぅっ・・・や、でも・・・うっ、俺はどうしたらいいんやぁ・・・」
「そんな渋る??」
「昔っから苦手なんよなぁ。これも人体実験の時の記憶のせいかなぁ」
びくり、とゾムさんの肩が揺れた。その顔は真っ青であり、顔にはありありと「やっべぇ」と書いてある。
「ふぅん。ゾムさん反応しちゃうんだ。まだ根に持ってるんだ。」
別に、全て忘れて新しい人生を!みたいなことは言わないけどさ。なんて、ぶつくさと喋り始めた大先生。でもまあ俺も言いたいことはわかる。
「・・・は、ぁ?何やねん、今日の大先生変やで」
「鈍感ですねぇあんたも。簡単にいうと嫉妬しとるんよ、その研究所に」
「俺で実験したいんか」
「いや何でやねん、ちゃうわ」
冗談めかして笑えない自虐を放つゾムさんにチーノがまたしてもツッコミを入れた。
「まぁ嫉妬って表現で合ってるな。何で俺らがいるのに、いつまでも昔のことで悩んでるのさ、って思うんよね」
「え・・・何そのメンヘラ女の元カノ持ち彼氏に対する発言みたいなの」
「うっせ。みんなメンヘラやろ」
「まぁ重症ではある」
「それ私も含めてます??」
「めんへらおっさん・・・w」
「おい」
けらり、と笑ったゾムさんは、ぽつりと言葉を漏らす。
「よく分からないんよなぁ、自分の・・・こう、なんていうか、軸が」
「軸?モットーとか、モチベーションってことですかね」
「よう分からんけど、多分。別に生きてる意味がないとか、そういうことを思っとるんとちゃうねんけどさぁ、もっと明確な憧れとか、そういうの・・・夢っちゅうか」
「つまり?」
「・・・昔、なぁ。すんごい、もうありえへんってくらい綺麗な子を見たんよ」
「え?待ってそっち路線?まさかの恋バナ??」
「ちゃうちゃうちゃう!こう、ぴかーって輝いてたんよな。髪の毛とか目が綺麗で、俺と似たような緑っぽい色やった気がすんねんけど。俺がいた研究所のある国の王子様やっけ、視察に来てた時、窓から見たことがあんねん。────本当に、自分との違いにショック受けてフィルターかかってただけかもしれへんけど、もっかい見たいなぁ。」
身振り手振りでどうにかしてその子を表そうとするゾムさんは、まるで「大きくなったらヒーローになる!」と言い放つ小ニ男子のようだ。
んえ?待てよまさか、
「ん?どないしたみんな」
「・・・い、いや・・・」
「ん?」
「うん。それは、うん・・・今すぐググろか」
「うん?やからなに?」
大先生が頭に手を当て、独り言をぶつくさ言っている。ゾムさんはその態度に混乱しているようだ。
「・・・ゾムさん。α国やんな?調べてみるわ」
「ほんま!?っありがと大先生!でも俺、そろそろ訓練あるねん。夕飯の時、教えてな!ほなまた!」
「・・・、じゃあな」
本当に嬉しいようで、ゾムさんは目を輝かせて大先生に詰め寄っている。そのままひらりと手を掲げ、ハイテンションで別れを告げた。
扉がぱたん、と音を立てて閉まる。
「あのさ。もしかしたらワイの思い込みかもしれへんけどさ、」
「うん。や、察してしまうわ。」
「ははは。はは・・・せやろな・・・・・・」
◇
物心がついた頃には、それなりに場を読むことができていたと我ながらに思う。まぁだから、今現在こんな職業で働いているわけだけれども。
自分は産まれてこの方、命を脅かされたことも、貧しい思いをしたことがない。痛い思いも、いじめや悪口だって、直接言われた試しがない。
何故なら、自分は次期皇太子だったから。
幼いながらにこの環境が普通ではないと分かっていても、一般家庭のように自由で幸せな子どもたちを見ては「自分も自由になりたい」なんてぼやいていたのを覚えている。
まあそんな俺にも、唯一と言っても過言ではない休憩場所があった。
父、つまり国王の管理のもと行われている人体実験。それを研究する施設があって、そこは鬱蒼と草木が繁る森の中だった。他国に見つかりにくい樹海に近く、秘密基地だなんて思ってたりもしてた。
そこではスラム街の中から条件を絞って選ばれた子供たちが収容されていて、中には赤ん坊の時からいる子もいる。
俺が一度だけ父に連れられて収容所の中に入った時、彼らはまともな教育を受けている見目では無かった。
いたい、くるしいと喚く子供を見て、「可哀想」では表せない感情を初めて覚えた。ほんま、あの国潰して正解やったな。
そしてその収容所を爆散した時に回収したのがウランNo.114514である。因みに命名はシッマだ。
で、まあなぜこんな話をしているのかというと。
目の前の男達から衝撃の事実が伝えられたからである。
「おいまじ?」
「う、うん・・・多分、」
そう。こいつら鬱軍団が、「ゾムがいたのはその収容所で、まんちゃんを見たことがあり、憧れていた」とか諸々伝えてきたのである。
は??なにそれしらないめう!!!
「ゾムさんが嫌がるからどこの出なのかは調べなかったけど、まさかなぁ・・・」
「ん・・・ふふ。でもちょっと、面白いかも」
「そうっすか?」
「めう」
あの、あの「味方最大の脅威」と呼ばれる彼の、憧れ。それが自分だなんて、少なくとも悪い気はしない。
大先生は俺の気持ちが分かったのか「4人だけの秘密やな」と笑ってから、タバコを取り出した。
談話室やぞ、と片手ではたき落とすチーノを見て、新人の彼も馴染んだなあと思う。
ただ暫くは、この思いを俺が独占しよう。いつか気づくぐらい、後輩2人もゾムと仲良くなれたらええな。
自分の生まれに対して初めて溢れる喜びと悪戯心をやんわりと噛み締めた午後の談話室に、新緑を乗せた風がふわりと舞う。
ああ、戦争したいめう。
◇
実はこれ処女作なんですよね。pixivに投稿したやつ。流石に投稿頻度ゴミカスなんで
ゾムークシリーズに結構忠実に書いたんで、暇な人は照らし合わせてみたら面白い・・・かも。
コメント
3件
ゾムークを見直そうかと思いました(感想薄い) 自分から見た処女作は上手く見える現象あるよね(お前だけちゃうか)