シンシン…と、静かに雪の降る日。
空気は冷たくて、それでも君の温もりが暖かくて。冬は君の暖かさを感じられるから大好き。
「寒くない?」
冬に外に出ると必ず君は、私にこう聞く。それから答えるんだ。
「大丈夫」
なんの変哲もないこの会話。でも、それが私には嬉しくて、幸せだな、なんて思う。
君と一緒にいれるこの日常が、私にとってかけがえのない日常。あの日、交わした約束を君は覚えてるのかな。君と交わしたたった一つの約束。最初で最後の大切な約束。子供の頃の約束だけど、私にとったら今も大事な約束。
「ねぇ、あの時の約束…、覚えてる?」
少し震えたような声で、私は君にそう聞いた。
少しきょとんとしながら口を開く君。
「あの時、?」
あぁ、やっぱりあの約束は、嘘だったのかな、と思ってしまう。でも、認めたくない。私はあの約束があるから今生きているんだ。どんなに辛くても、あの約束のために乗り越えてきた。
「ううん、なんでもない…」
そう君に嘘をついた時、少し寂しそうな目をしたのは気のせいだろうか。
あの約束をした時も今日のように雪が優しく降り積もっていた。
もうあの約束は叶わないのかな、と思うと私は心にぽっかり穴が空いたような…。寂しいような、でもあの約束という腐りから解放されたような…。
認めたくないが少しほっとしてしまっている自分がいる。
「羽薇(うら)…。覚えてるよ、//」
少し頬を赤らめて名前を呼びながらそういう君。
こちらまで恥ずかしくなって、首に巻き付けているマフラーに顔を埋めた。
顔が熱を持ったせいで、余計に寒く感じる。
「佑くん…///、ずるい、よ」
その優しい声で名前を呼ばれるだけでも心臓に悪いというのに。
「んふ…、いいでしょぉ」
そう言いながら私の肩に優しく頭を載せる君。
普段はかっこよくて、口数が少なめなクールな君だが、2人の時にたまにこうやって甘えてくる時だけは可愛いと感じる。
「約束…、守ってくれるの、?」
まだまだ熱がおさまらない顔で、君の鮮やかな空色をした瞳を見つめる。
「逆にこっちから聞かせてよ…、約束、守らなくていいの?」
イタズラっぽい笑みを浮かべながら顔を近づけてくる君。‥本当に心臓に悪いと思う。
「答えわかってるくせに…//」
「もちろんっ、でも、羽薇口から聞きたいなぁ」
「…意地悪。約束、守ってくんないと承知しないからぁ!」
彼の肩をポカポカ叩きながらそう言った。
暑かった顔がさらに暑くなる。私の顔から湯気が出てるのではないかと思う程には暑いだろう。
「…羽薇。」
急に真面目な顔つきになって、私のことをまっすぐ見つめる君の瞳に目が釘付けになる。
あぁ、もうこれは逃れられない。私は君がいないと生きていけないな、と改めて実感する。
「こんな俺でよければ、俺と結婚してください」
そう言いながら、どこに隠していたのかわからない一輪の青い薔薇を私に差し出した。
佑くんのような鮮やかな空色の薔薇を握りしめ、私は涙で霞む視界をどうにか晴らそうと手で拭う。
「この青薔薇の意味…ッ、そういうこと、だよね、?(震」
恐る恐る、聞いてみたら。
優しい瞳でまだ私を見つめる君は、ゆっくりと頷いた。
青薔薇の花言葉…。それは、もともと“不可能”という意味だった。しかし、技術が発達し青薔薇を作れるようになった今、“奇跡”という花言葉に変わったそうだ。
あの日の約束。内容は、「佑くんの“心臓病”が治ったら、青薔薇を片手にプロポーズをする。」というものだった。
佑くんが、もうほぼ確実に治らないと診断されてから、交わしたたった一つの最初で最後の約束。
佑くんも、綺麗な瞳に涙を浮かべ、私の返事を待っているようだった。
「もちろんっ、…よろしくッお願いします」
約束は守られないものだとばかり思っていた。破られる約束だと。
でも、そうじゃなかった。“不可能”が“奇跡”に変わったんだ…ッ。
今にも泣き出しそうな君と私は、ゆっくりと顔を近づけていったんだ。
こんなな!
今回、初のノベル作品っ!
「奇跡の約束を___。」
でしたっ♪
私の初の二次創作ではなく一次創作…✨
言い回しとか難しいなぁー、と思いながら描かせていただきました!
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おつなな!