ゆあです。
めっちゃ太宰さんの過去捏造してます。全然史実にかぶせたりもしてなくて、つまり妄想です…
それでもいい方のみご覧下さい!
それではどうぞ。
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鍋を台所に置いて、紙切れを開く。
そこには、
《アンタの母親だって言う人が、昨日探偵社に来たよ。20代後半くらいに見えた。「治はどこですか」ってさ。かなり綺麗な人だったよ。それだけ報告しておく。与謝野》
と書かれていた。
それを見た瞬間私の体は尋常じゃない程の汗と震えを起こした。
……嗚呼、あの人だ。
治呼び、そして母親。あの人しかいない。
私の母は美しい人だった。
端正な顔立ちで、透き通るような肌、ほんのり桜色の頬と唇。その容姿は天女と見紛う程のものであった。
彼女は17歳で私を生んだ。童顔だったので、与謝野女医には20代後半に見えたのだろうが、実際は39歳な筈だ。
私は実の父の名前も見た目も声も、何も知らない。物心ついた時には既に父はいなかったし母は父の事を私に一つも話さなかったから。だから私は母と2人だけで今にも壊れそうなぼろぼろのアパートに住んでいた。
生活費は母が男に自分を売って稼いでいたらしい。毎日夜中に派手な格好をして、 これから待ち受ける絶望に怯えるような顔をして部屋を出て行っていたのを覚えている。
母は金持ちの家に生まれ、幼い頃から厳しく育てられてきたらしく、朝方部屋に帰ってきた時や酒に酔った時は必ず
「私はね、3歳の頃からずぅっと勉強漬けだったの。遊ぶのも許されなくて、何人も家庭教師をつけられて。それが親の愛だったのかは知らないけれど、私は愛だとは思えなかった。こういうのは結局、受けている側がどう思うかなの。だからこうして家から逃げてきた。その点治は幸せでしょう?こんなに何もせずぼんやり過ごしているのだから。私が男からむしり取った金で貴方は生きてるのよ。ふふ、私の愛おしい子。私がいないとなぁんにも出来ない子。愛しているわ、治」
と呪いのように同じ話を繰り返していた。それが酷く居心地が悪かったのを覚えている。でもそれと同時に愛おしさもあった。この人はどうしようもなく弱いのだと、私に縋らないと、私がいないと生きていけないのだと、そう思ったから。
でも、それは私の勘違いだったようで、 私が14歳になった日の夜、母は知らない男と家を出ていった。「誕生日おめでとう。もう14歳なんだから、自分でなんとかできるわよね」なんて下らない内容の置き手紙と半額シールが貼ってある不味そうなショートケェキを置いて。
でもその時は2日程経てば帰ってくるだろうと思っていた。彼女は私がいないと生きていけない筈だから、と。
しかし彼女は2週間経っても帰ってくる気配はなくて、私は本当に捨てられたのだとようやく理解した。
そこからの記憶は曖昧だが、勝手に裏切られた気になって、自暴自棄になり、 夜中に部屋を出て、川に飛び込んだのだと思う。我ながら愚かなことだ。自分が恥ずかしくて仕方なかった。どうかこのまま死なせてくれと、心から願った。
だのに、そこを幸か不幸か森さんに救われて、ポートマフィアに強制的に入れられ、今がある。
何故、彼女は私が探偵社にいるということがわかった?街で見かけた、とかだろうか。いずれにせよ会う気など全く無いが。
そう考えながら、与謝野女医には悪いが紙切れを破り捨てた。
ガチャ
は?
今、扉が開いた音がしなかったか。
「治?治?嗚呼、治ッ! 」
そう言いながら扉を開けた張本人であろう女が土足で部屋に入り込み私を抱き締めてきた。
何故、何故部屋に入れてきているのだ?鍵は?どうして、何故。
…そうだ、私の部屋は鍵が壊れていたのだった。
「久しぶりねぇ、美しく育ったわね、私の愛おしい子。ごめんね、今まで…」
泣きながら抱き着いてくる目の前の女に苛立ちを覚えた。何を今更、私を捨てたくせに、会いに来ているのだろうか。愛おしい?どの口が言っているのだ。判らない。理解が出来ない。なんなのだ、この女は。
「嗚呼、こんなに痩せて、細くなってしまって。この包帯はなぁに?怪我をしているの?大丈夫?」
相変わらず美しい若い女の顔で話しかけてくる。
本当に、吐き気がした。母親のような発言を、貴方がするのか。子供を捨てた母親失格の貴方が。
「ねぇ、治。お願いがあるの。少しだけ、此処に置いてくれないかしら。私今、マフィアに追われてるの。お願い、このままじゃ殺されちゃうわ、貴方、武装探偵社なんでしょう?お願い、助けて」
マフィア…ポートマフィアだろうか。何故此の人が…否、そんな事はどうでも良い。
「……どうして、私が、貴方を、匿わ(カクマワ)なければならないのです?自分を捨てた人間に優しくすると思いますか」
思いの外声が震えてしまった。すると女は微笑みながら、
「怖がらないでいいのよ。そうね、ごめんね、でも私、凄く反省しているの、貴方を置いて出ていってしまったこと。一日も治を忘れたことは無かった。今でもずっと愛してる、愛してるのよ」
何を今更。そんな事1ミリも思っていないでしょう。貴方は自分が助かることしか考えていない
そう、女を真っ向から否定してやろうと思い、口を開いた次の瞬間、
バギンッ
という鈍い音と共に玄関の扉が吹き飛んだ。
嗚呼、次はなんだ。煩い、騒がしい。どうしてこう次から次へと。
「よォ、邪魔するぜ。生憎糞鯖の部屋になんて1歩たりとも入りたくねェからさっさと出て来い内通者」
………最悪だ。
扉が無くなった玄関には橙色の髪をした小さな男が、中原中也が立っていた__。
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取り敢えずここまで、誤字脱字等ありましたらごめんなさい🙇♀️
中原を登場させたのですが、ややこしくなるでしょうか…今特大スランプが来ていてこれでいいのかが全く分かりません……
拙い文章をここまで読んでくださりありがとうございました!
それではまた次の話で。
コメント
12件
神ですか?
おまッ母親手前ェ!!太宰さん(神様)捨てやがって万タヒn((おっと失礼しました、一寸取り乱しましたね…(←一寸なのか?)、太母も張と愛してたけど途中で捨ててしまったのは何ででしょうか…、他に愛人が出来た…?、兎も角太宰さんも太母も矢張似てる所がありますね、中也さんが出て来た!?どうなるんだろ…、取り敢えず神作でした!あっ崇め奉りますか?(←止めろ)