第6話
俺は最寄り駅で颯太と待ち合わせていた。あの後二人で出かけようと誘われたからだ。夏といえばということで海に行った後、浴衣を買って花火を見に行くことになっていた。
緊張して十分前に来てしまった。さすがに早すぎたか?と思っていると既に待っている颯太の姿を見つけた。
「いやどんだけ早くから待ってたんだよ。」
そう話しかけながら近づくと、
「だって、楽しみすぎて」
、、いや照れんな、可愛いけれども、、
「ほら、良いから早く行くぞ!」
俺は颯太に背を向けて歩き出した。
海辺まで電車に乗っていると、今まで気にしていなかったことが気になってくる。隣に座って肩が触れるだけで触れたところから熱くなる。
正直水着なんて、男子同士だし、何度も見たことあるし、とか思っていたけどこいつも俺のことが好きなんだと思うと急に恥ずかしくなってきた。でも俺はダンス部で鍛えてるから腹筋割れてるし?、走るのが苦手なだけだし?、、、やっぱり恥ずかしい。
颯太は満面の笑みで俺の手を引いて海に入った。俺は顔が赤いのを隠すために颯太に思いっきり水をかけた。すると颯太が思いっきりやり返してきた。いや、水はかけたけれども、成長期の男子が全力で水かけたら全身びしょびしょだわ、いや負けてらんねーなんて思ってしばらくやり返しあっていた。
いい感じに疲れたところで昼ご飯を食べ、大きなデパートに向かった。
俺らはせっかくなら、と選んだ浴衣を交換して着ることにした。俺は紺色にさらに暗い紺色のグラデーションの浴衣に銀色と水色の帯を選んだ。サイズは前もって言われていたもので買った。颯太が何を選んでくるか楽しみだ。
颯太が選んできたのは紺色に袖口に向けて白い泡が広がっている浴衣に同じく銀色の帯だった。
「海 斗だから、海を想像して選んだんだ。どうかな、?」
、そういう事か、確かに海っぽい。俺の事を思って選んでくれたことが伝わってきて嬉しかった。
そうして俺らは花火大会の会場に向かった。会場近くのトイレで浴衣に着替え、近くのコンビニでサンドイッチを買って場所を取った。颯太は浴衣がとてもよく似合っていた。自分が選んだ浴衣を着ていると思うととても嬉しかった。
しばらくすると、花火大会が始まった。色とりどりで形も様々な花火はとても綺麗だった。そしてそれを眺めている颯太も
やっぱり俺なんかじゃなあ、颯太くらいかっこよければな、そう思った。すると颯太が
「どうしたの?」
と、顔を覗き込んできた。俺は素直に
「相変わらず颯太の顔、綺麗だなと思って」
と言うと、颯太の顔が赤くなった。少しからかってやろうと思って
「颯太、顔赤いぞ?w」
と言ったら
「花火のせいだよ」
と上手くかわされてしまった。
花火大会が終わり、電車で帰っていた。
「海斗、疲れたろ?寄りかかって寝ていいぞ」
颯太がそういうのならば寄りかからせてもらおう。さすがに疲れた。俺は目をつむった。
「海斗?寝てるのか?」
颯太がこそっと聞いてくる。花火大会の時失敗したからちょっとからかってやろうと思って寝たふりをした。
-すると頭に何か柔らかいものが触れた。
俺は驚いて飛び上がった。颯太は驚いたように
「起きてたのか?」
と言った。颯太は赤面していた。
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