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Dr.STONE 夢小説
羽京は最近――変だ。いや、いつも通り落ち着いてて、丁寧で、優しいんだけど。
なんていうか、
椎名のことになると動揺してるのが…バレバレ。
今日も、そう。
「椎名、こっちのパーツ、足りてないみたいだけど……どうする?」
「んー、じゃあ替えになるやつ探してくる。羽京はここ、見張っといてくれ」
ふつうのやり取り。けど――
羽京の耳、赤い。
というか顔も赤い。
「……ふむ」
と、静かに観察していた翠。
少し考えるように指先で唇に触れた後――
「羽京さん」
「……はい?」
背後から、ふいに声をかけられた羽京。
(いつから……いたんだ……!?)
翠は、やわらかく微笑んでいた。
でもその目は、春を告げる花のように穏やかでいて、どこか凛としていた。
「……しいちゃん、かわいいでしょ?」
「……え?」
「わたしの、すごく大事な、親友なの」
にこ、と笑う翠。
羽京が何かを返す前に、翠は一歩近づいて、
少しだけ背伸びして、彼の耳元で、静かに告げた。
「だから、雑に扱ったら……石化してもらうね?」
一瞬、時が止まったような気がした。
翠はくすりと笑って、「なんてね」と手を振りながら立ち去っていった。
けど――羽京の背筋には、なぜか謎の冷たい汗が走っていた。
(……こ、こわい……いや、違う、これは……)
「まるで、椎名の“お姉ちゃん”だな…笑」
呆然とした羽京の背中を、
「おーい、羽京ー!」と椎名の声が飛ぶ。
その声に振り向いた瞬間、
胸の中のザワつきは、すっと溶けて――
(……いいや、これはきっと、あの人なりの“優しさ”なんだ)
(椎名のためなら、そりゃ誰でも警戒する。俺も……同じだ)
そう思いながら、羽京は歩き出した。
その視線の先には、
工具を手に、無邪気に笑う親友と、
それを一番近くで見守ってきた、やさしい“姉”のような少女。
翠の微笑みの裏にあったのは――
「守ってくれる人が増えるなら、わたしは少し離れて見てるよ」
そんな、あたたかい想いだったのかもしれない。