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第八話 . ペシミズム _ 。
「征四郎 、 お願いだから止まってくれ 。 」
お前は俺にそう言い続けた 。
… 俺に止まる気はない 。
止まった先に何があるんだよ … 。
みんなして俺を止める
止められている俺の気持ちにもなってくれ
言語化できない感情から逃げるために 、
これ以上天城を傷つけないために 、
お前らに嫌な思いをさせないために 。
何も分かってないんだろ 、 俺の気持ちなんて 。
どけよ 、 … どけよ ! ! !
もう放って置けよ俺のことなんて ! ! !
救われたいなんて … 思ってねぇよ … 。
渡海は膝から崩れ落ちる 。
逃げられない感情に押し負けたのか 、
何をしても止められることへ諦めを感じたのか 、
渡海の中で 、 何かが変わったのか 。
下を向いて一向に顔を上げない 。
その間はずっと涙を流している 。
仮眠室で何かと戦っている様子ではなく 、
まるで全てを察したかのような 、 全てを諦めてしまったかのような … 。
渡海の心情は 、 渡海以外 、 誰にも何も分からない 。
渡海の口が開かない限り 、 誰も何も知ることができない 、 救うことができない 。
悪循環の中 、 天城だけは渡海を諦めなかった 。
僕にはなんとかできる 、 僕だからなんとかできるんだ 。
そう思い続けているのだろう 。
世良の肩を 、 天城の肩を借りながら 、 仮眠室へと戻る 。
こんなことになるまで 、 渡海は一人で闘っていたのだろう 。
誰かを頼る選択肢は 、 俺の中にはなかった 。
原因が分からないものほどつらいものはない
… 取り除けたわけでもない 。