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ある暑い夏の日のこと。
香月慎太郎は今、絶賛夏休み期間中であり、想い人である、湊晃が管理人を務めているコインランドリーにいつものようにやってきていた。
冷房はついていると言えど、やはり夏は暑い。晃が「あちぃなー・・・。アイスでも買ってくるか?」と慎太郎に提案すれば、慎太郎も「そうしましょう」とその提案に乗って、流石に暑いのでジャンケンで負けた方が買いに行こう!ということになった。
「最初はグー」
「じゃんけん・・・」
「「ポン!」」
結果は慎太郎がチョキで、晃がパー。晃は渋々ながらも言い出しっぺだしな・・とコインランドリーを後にして、慎太郎は涼しいコインランドリーの管理室で待つことにした。
「あっ、ち〜〜・・。ただいまーシン!アイス買ってきたぞーー!」
「ありがとうございます!」
暫くして、晃が外から帰ってきた。やはり外は暑かったのか、たった数分の間でも、傍から見れば「運動でもしたのか?」と思うほど汗をかいている。
普段はクールで優等生な慎太郎も、暑さゆえなのか晃といるからなのかわからないが、いつもの姿とは想像つかないほどの大きな声で返事をした。
「うめぇ〜〜!生き返るわ〜〜〜!」
「最高ですね、湊さん・・・!」
二人きり、狭い管理室でガンガンに冷房を効かせて、アイスを食べる。これほど幸せだと感じる瞬間はきっとないだろう。
いっそのこと大きな口でがぶりと一口でアイスを飲み込んでしまいたいほど、晃と慎太郎は暑さにやられていた。しかし冷たいものを一気に口に含んだ時にくる”キーン”とする感覚が晃は大嫌いだった。だから仕方なく、小さな一口でゆっくり食べているのだが、ゆっくり食べているとアイスが溶けてくる。溶けて落ちそうになったものを落とさぬようにと一生懸命舌でぺろっと舐めとっていた。慎太郎はアイスを食べる手を思わずとめてしまう。理由はわかるだろう、晃のアイスを食べる姿にすっかり見とれていたのだ。普通に食べている姿は当たり前のように可愛い、のだが、溶けたアイスを必死に舐めとるその姿に、健全な男子高校生の慎太郎は思わずドキドキして、つい見てしまう。こんなエロい湊さんの姿、他の人には見せらんねぇよ・・。なんて心の中で心の中でポツポツと独り言をしながら、いつもより明らかに赤くなった顔で、ぽー、と晃の方を見つめていた。
「・・・さ、さっきからどうした?シン───っておい!!お前アイス!!溶けてる!!」
「あっ、ご、ごめんなさい、湊さんがせっかく買ってきてくれたのに・・・。」
「別にいいけど、さっきから俺の方ずっと見てなんなんだよ、せっかく冷房効いてて涼しいのにお前のせいで体温上がるっての・・」
「それって俺に見つめられてドキドキしてるってことですか?嬉しいです、湊さんもしかして俺のこと」
「黙れお前!!勘違いすんなバーカ!」
「ははっ、ごめんなさい湊さん。でも俺は湊さんのこと好きですよ」
「・・・ホントうるせぇやつ。」
さっきまでは「涼しい〜!」なんて言ってたくせに、今は顔が真っ赤になっている晃を見て、ふわっという効果音が着くような優しい笑顔を晃に向ける慎太郎。そして口を開いたかと思えば
「湊さん、俺以外の前でアイス食べないでくださいね」
なんて、訳の分からないことを告げられ、晃の頭の上にはハテナマークが浮かんでいる。
「・・・はあ?」
ようやく口を開いて、やっと出た言葉がこの一言。だって、暑さで脳が溶けかけている晃がこんな訳の分からないことを言われて、マトモに返事ができるわけないのだ。
「な、なんで?せめて理由を言え理由を!」
「アイスを食べてる湊さんがエロいからです」
「ばっっ・・・!お、お前なあっ!!」
顔が熱いのは暑さゆえか、慎太郎の突拍子もない発言が原因か・・はたまたそのどちらもか。そんなの晃本人にしかわからないが、慎太郎はすぐ照れて笑って怒って、コロコロ表情が変わる晃が面白くて、愛おしくて、大好きだ。なぜその表情をするのかなんてわからなくてもいい、晃の一つ一つの表情が見れるだけで、慎太郎は幸せだ。照れている晃を横目に、慎太郎は「ふ」と軽く微笑んだ。
「何笑ってんだよ気持ちわりぃ・・・」
「前にも言いましたけど、俺が気持ち悪くなったのは湊さんのせ」
「ハイハイわかったわかった!」
「分かってるならいいんですけど。とにかく、俺以外の前でアイス食べるのはだめですよ。約束してください」
「・・ハイハイ、わーったよ!ゆーびきりげんまん!これでいいだろ!」
「!ふふ、嘘ついたら俺からのキスが待ってますからね、湊さん。」
「お、お前ってやつはホントに〜ッ!!」