ky = 赤 us = 緑
「…さむ」
厳しい冬が終わり暖かい春がやってきた。
とはならなかった。 冬が名残惜しそうにまだ居座っているらしい。まだ春とは言えない気温だった。 せっかく朝早くに起きたからベランダに出て 春を感じようとしたのが間違いだった。 もう体もすっかり冷え切ってしまった。
「戻るか」
踵を返そうとした瞬間 後ろから温かい体温を感じた。
「うぉ、びっくりした…」
「こっちのセリフ。起きたら隣にいないから焦ったよ」
「俺がお前のこと捨てたとでも思ったか?」
煽るように笑ってみせると後ろから抱きしめてられていた手が強くなったのを感じる。
図星なんだ。
「ばかだな、ほんと」
「手放したくないんだよ。絶対に」
「俺からは離れないよ、安心して」
後ろにいる彼と目を合わせる。すると嬉しそうに俺の赤色の襟足を手で撫で始めた
「ぅ、ちょっとくすぐったい」
「がまんして」
「むり…もう無理だって!」
あまりにもくすぐったくて、彼の方を向き
抱きついた。体が少しずつ熱を取り戻しているように感じた。
「いつからベランダにいたんだよ、体冷え切ってんじゃん」
「だって戻ろうとしたら緑がくるから」
「とりあえず部屋に戻ろ、ほんとに風邪ひいちゃう」
「…赤?」
「今日、おはようの……さ、」
「なーに」
「…してない、いつもの」
「いつものなに?」
「……ちゅーしてない」
「ふは、可愛い」
唇が重なる。恥ずかしさと嬉しさ。両方が混ざりあった気持ちだった。
季節が変わってもいつまでも彼とこうしていたい。
コメント
1件
パァァァ( ᐛ ) 😇🫶🏻