加賀峰ユラギ(25)。私は今、神が住む谷へと来ています。
「これ…谷だよね。たっか。」
この世界での谷は富士山級。こんなところに住んでたら高山病とかなりそうだけど…流石神。そもそもなぜ、私がこんな場所へ来ることになったかというと…
「琴羽、いる?」
今、私は琴羽に創造神の加護と創属性についてを聞きに琴羽の家までやって来た。
玄関をノックするが、反応がない。
「えっ、開いてる。」
玄関をが開いていた。恐る恐る中へ入っていくと机に紙が置いてあった。
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ユラギへ
これを見てるってことは自分の属性について知りたいんでしょ♪でも、ごめんね♪最低でも2ヶ月はそっち帰らないから♪でもぉ、どーしてもって言うならここまで来てね
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神の住む場『ゴドの谷』
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まじか。面倒くさ。ゴドの谷って絶対気温が5℃の谷でしょ。
「行くしか…ないか。」
という事で私はゴドの谷を完全装備で登ることになりました★
この登山服はお父さんが持ってたから借りてきた。ちょっと大きいけど、まぁ、なんとかなるでしょう。
「こんなときに魔法があれば良いのに。」
どんどん寒くなってくる気温とゴツゴツした谷に愚痴を言う。
「ふぅ…疲れた。」
登り初めて1時間後、今自分がどこの地点にいるのかは予想も出来ないが、高いことは確かだった。
「気温は…12℃か。だいぶ下がって来たな。」
頂上はまだ上だ。というか、本当にここで合ってるのだろうか。空を見上げ、私は足を前へと進めた。
~~一方その頃、リールベント~~
「ユラギせんせーは?」
「今日はおやすみの日だからユラギ先生は居ないわ。」
ユラギちゃんを心配する園児たちに私、ナギは言った。ほんと、ユラギちゃんがここに来てから驚くことばかりだ。あんなレアで伝説とされた創属性だったとか、創造神の加護つきとか…
「ほんと…いろんな意味で疲れるわ。」
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「はぁ、はぁ…今は、6℃。」
かなり空気が薄くなってきた。私は小さいころから山に登ってたから大丈夫なんだけど、この高さは、初めて。
「おや、加賀峰さんですか。」
「て、天神さん…ウゥ」
目の前にはいつもと同じあの天神さんがいた。
「だ、大丈夫ですか?」
「駄目かもです…」
私は天神さんに肩を貸してもらい、やっと普通に立つことができた。
「あぁ、あれですか。神城君ならホールに居ますよ。連れていきましょうか?」
「そうしてくれると、有り難いです」
「分かりました。」
天神さんに抱き抱えられ、ふわふわと空を舞った。…天神さんの抱きかた、凄く心地良いんだよな。
「有難う御座いました」
「いえ。」
他の神たちの目線が痛いが、私はホールと呼ばれる場所をノックした。
「人間かい?」
「は、はい。神城琴羽の友達で…」
「あぁ、」
出てきた神は一度中へ戻った。
その数分後。
「いやぁ、ごめんね?」
「あぁ、うん。」
琴羽がお茶を飲み、ごめんね♪と手を合わせた。
「で、なんのことだっけ?」
「私の属性のことだよ」
「あぁ、ユラギに加護をあげたのは私だけど属性までは管理してないな…」
琴羽はお茶を再度飲み、私を指差した。
「ユラギ、言っておく。創属性は神が多く持つ。人間のあんたが持つことは奇跡なんだよ。」
「それは聞いたけど…」
「今からでも遅くない。一緒に神、いや、天使でもいい。なりたくない?」
琴羽はびしっと私に向かってそう言った。私が天神さんや琴羽のように神になれば足手まといになるだけだ。ましてや天使なんて神の言いなりに過ぎない。ゆったりと何事にも縛られず生きたい、それが私の願いだった。
「ごめん、私はいいや。」
「…そっか。なら、一つだけ教えておくね。創属性はどんなことも出来る属性。使い方によってはとんでもないことになるんだよ。」
そう言った琴羽の顔はなんだか深刻そうだった。
「じゃ、私が言えることはそれぐらいかな。リールベントまでは送っていくよ。」
琴羽の周りに暖かい光が集まってくる。
「私につかまって。」
「う、うん!」
琴羽は天神さんと違い、冷たかった。きっと、5℃の谷にいて体が冷めているんだと思った。
「じゃ、」
「バイバイ➰👋😃」
リールベントについたときはもう日が暮れていた。園児たちのいないリールベントはやけに静かだった。
「ユラギちゃん、お帰り。なにか属性についてわかった?」
「はい。神にならないか…と、誘われましたが、私はここで働き続けたいので、断りました。」
「そう。」
ナギさんは私の帰りを待っていてくれたのだろうか。「なら、また明日。」と言って帰って行った。
…私、これで良かったのかな。
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