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なんでだよ。
なんで………
………どうして?どこで間違えた?
もし、
もしも、、やりなおせるなら…
今度こそ。
「僕」はとても貧しい村で産まれた。
遊ぶものなんて何もない。
でも、
それでも、毎日が楽しかった。
朝起きたらボロボロの服を着て枝を手に持って
友達のとこにでかけた。
そういっても人も少なくて狭い村だから
村の子全員と友達みたいなものだった。
朝は仲間と探検。昔見つけた洞窟に集まっては
探検家ごっこをしていた。
昼、お母さんに呼ばれてご飯を食べにもどる。
食べ終わったらまた仲間と探検にでる。
夕方になって家にもどって寝る。
同じような毎日だけど、本当に幸せだった。
ある日、僕はと突然「お兄さん」になった。
5歳下の妹が産まれた。
とてもかわいい。そっと、あたまをなでた。
ふわふわで淡くてさらさらな髪。
僕とはまったく違う。
僕なんかくるくるでよく葉っぱがひっかかる。
ふと、
目があって、僕に笑いかける。
赤ちゃんによくあることらしいけど、
とても嬉しかった。
妹が7歳になったころ。
よく村長が家に来るようになった。
妹に髪飾りをあげてる。
あの淡くてふわふわしてる髪によくあう、
赤色の髪飾り。
妹はとても喜んで、村長によくなついた。
……僕ほどではないけどね。
でも僕はあいつが嫌いだ。
昔、夢をきかれて、「冒険家」になりたいって
答えたら鼻でわらわれたから。
またあいつが家に来てる。母さんたちと何を話
しているんだろう。
ある日、母さんにお使いを頼まれた。
外で木の実をとってきなさいって。
今日は空がすみわたっていて、
とても気持ちがいい。
いっぱいとってこよう。
母さん、喜ぶかな。
もういいだろう。いっぱいとれたし帰ろう。
………?
しらない男が家の前にいる。
母さんと村長と何か話してる。
なんだか帰りたくなくなって、
僕は夜を洞窟…秘密基地で過ごすことにした。
まだ夏の暑さがのこっている時期だ。
冷えることはないだろう。
深い眠りについた。
だれかの声で目を覚ます。
遠くから聞こえてくる、知らない男の声だ。
どうしたんだろう。
木の上から僕の家を探す。
おもわず息をのむ。
信じたくなかった。
めまいがする。気持ちがわるい。
心臓が激しく鼓動する。
目の前には………
もう、
僕が知らない村が広がっていた。
田畑は荒らされ、
逃げまどう女性と子供たち。
あちらこちらに血のみずたまり。
知らない男たちが槍のようなものをもってる。
急いで家族をさがす。
いない。
どこにもいない。
父さんも、母さんも、妹も。
気づいたら走りだしていた。
家に向かって。
全力で。
勢いよく家の扉を開ける。
そこには
………母さんをだいて倒れている父さんがいた。
震えた声で2人に呼びかける。
………………………ねえ、返事をしてよ。
たくさん、木の実をとってきたんだ。
「ねえ…………」
どのくらたっただろうか。
外から知らない男の声がする。
すぐに、あいつらがやったのだと気づく。
許せない。
いや、
こんな事をしたやつを許していいのかよ。
いつのまにか床に転がっていた、
父さんの槍をもって外の男に向かっていた。
気づいたときには目の前に倒れた男がいた。
いいきみだ。頭のどこかでそう思った。
でも、
それ以上に動揺と恐怖が僕を襲う。
ちがう、こいつらがみんなを殺した。
僕は仇をとった。正しいことをした。
自分に言い聞かせる。
そうしてるうちにどこからか矢がとんでくる。
「逃げなきゃ」
今起こっていることを理解できていない。
けど、本能的に体が動きだした。
走る
走る
どこまでも。
………ようやく人の声が聞こえなくなった。
木の幹に腰をおろす。
心臓はいまだに激しく鼓動している。
なにが起こったんだろう。
一瞬で全てを失って、
人を殺して、
「どうしたらいいんだよ………」
涙が止まらない。
泣きたくない。なのに、
ないたってどうしようもないじゃないか。
わかってるのに。
僕が今失ったものはかえってこない。って。
数日、数週間、もしかしたら
数ヵ月たったかもしれない。
僕は山をこえ、川を渡り
いつのまにか旅をしていた。
悲しみをまぎわらすためかもしれない。
いつもぎりぎりで生きていた。
どうせ、いつ死んでも後悔なんかのこらない。
なら
今なら
夢を叶えられるかもしれない。
道中、よぼよぼな婆さんにあった。
荷物を運ぶのを手伝ったら
感謝された。
なんだろう、なんとも言えないこの気持ち。
少しずつ僕を前に進めてくれている………
気がする。
後で知ったことだけど
僕らの村を襲ったのは
隣(といっても山一つこえた先だけど)
の村が濃くなりすぎた血を薄めるために
僕らの村の村人たちをおそっていったらしい。
本当に許せないと思った。
怒りと憎しみがわいてくる。
復讐としてその村を襲いにいこうとも考えた。
でも、だからといって
妹も、
父さんも、母さんも
…………仲間たちも
帰ってくるわけではない。
だから僕は旅にでたんだ。
いつ失ってもいい命を抱えて。