「駄目とか言いながらも、積極的じゃない?」
「……っ、だって……」
「まあ俺は積極的な子が好きだから良いけどね――」
「――ッはぁ、んん……」
キスをされながら思うこと。
それは、今さっき夏輝が口にした「積極的な子が好き」という言葉の意味だ。
それって積極的な女なら誰でも良いということになる訳で、些細なことかもしれないけどそこに引っかかりを感じてしまう。
でも、私と夏輝は付き合ってる訳じゃないから……そんなこと、言えない。
だけどここは嘘でも「未來が好き」と言ってくれたら良かったと思いながら、彼を求めていく。
何度となくキスをして、着ていた服は夏輝の手によってはだけていく。
呼吸は荒く、表情も蕩けていて、きっとだらしのない顔をしているのだろう。
「――っ、はぁ……はぁ……」
もう何度唇を重ね合わせたか分からないくらいのキスが止んで唇が離されると互いの唇から銀色の糸が引いていて、それが私の唇の端に垂れていくのを見た夏輝は、
「エロ……」
そう呟いて私の唇を指でなぞりながらそれを拭っていた。
「もうキスだけじゃ我慢出来ない?」
「…………」
彼のその質問に、コクリと小さく頷く私。
自分だって同じなくせに……私にばかり聞くんだから。
「それじゃ、そろそろベッドに行こっか」
私の返事に満足したらしい夏輝は笑顔を向けると、手を取って部屋へと歩いて行く。
リビングに入ると、そこはモデルルームのように綺麗できちんと整理整頓された空間。
黒を基調としたシックなリビングで、夏輝のイメージにピッタリだと思う。
ただ、それと同時に頭を過ぎったこと――それは部屋がこんなに綺麗に整っているのは彼女か、もしくは特定の女の人が綺麗に掃除していたりするのかなということだった。
「未來、どうかした?」
「え?」
「何か言いたそうな顔してる」
「そんなこと……」
「無いって? ふーん、そういう分かりやすい嘘吐くような子にはお仕置きが必要だよね?」
「え、いや、その……」
「俺、隠しごとするような子は嫌いだよ? 未來は素直に話してくれる良い子だと思ったんだけど、違うの?」
「…………」
別に言いたくない訳じゃないけど、昨日関係を持っただけの女が彼女面してあれこれ聞くのは違うと思うから言えないだけなのに。
意地の悪い夏輝はこの状況を愉しむように笑顔のまま私を寝室へ引き込むと、ベッドへ向かって押し倒してきた。
「もう一度聞くよ? 何か言いたいことがあるなら隠さず言って?」
押し倒された私は身体を起こそうとしたけど、それを阻止するように夏輝が覆い被さりながら耳元で再度問い掛けてきた。
「……ッ」
「言えない? それとも、お仕置きして欲しいからわざと言わないのかな?」
「……っ、違……」
「本当に違う? それじゃあ、身体に聞こうか? さっきのキスで未來のここ、だいぶ濡れてると思うけどね?」
夏輝は私に問い掛けながらも答える隙を与えてはくれず勝手に話を進めていき――
「……ッあ、や……っ!」
スカートを捲り上げると、ストッキングの上からも分かるくらいに濡れているそこを指で刺激し始めた。