──次の話「流鏡」──
──副題:《笑う者、泣く者、すべて等しく殺してやる》──
上層。
そこは白階の内政監査区画──形式上「廃棄されたカルト宗教の聖堂」とされていた場所だった。
が、実情は違う。
そこには、かつての異端教団《息衝の教団》が、密かに潜伏していた。
信徒は五千。神を“流”と“鏡”に見立てる歪んだ神秘主義集団。
だが、その「神」は今日──唐突に“本物”として現れた。
◆
「どうもどうも!あ~~、ほんとにまだいたんですねぇ、こんなクソ湿ったとこで神ごっこしてた皆さん!」
聖堂の天井が吹き飛ぶ。
黒い外套をまとい、無数の鏡片を纏った青年が、ひとつ笑う。
流鏡。
白階の実行官。虚偽報告の主犯。そして、真の黒幕──
「……神とは何か?」
「いい質問!いいねえ!」
信徒の長老が問いかけると、流鏡は両手を大きく広げ、愉快に答えた。
「神ってのはなぁ、“お前らを見て笑ってるやつ”だよ」
次の瞬間。
大地に反射光が走った。
◆異能:《煌映真読》──「目に映るものすべてを“記録”し、“再演”する」──ただし、「記録」は“死に際の瞬間”に限定される。
この能力の恐怖は、彼が過去に見た“最強の死に様”を再現できるという点にある。
■例:
・白階首領が殺された瞬間の“地殻ごと吹き飛ばす斬撃”
・自爆テロ犯の“全身粒子爆散”
・戦士が見せた“反射神経による数百のカウンター”
それらが、「流鏡の体を通して」「任意に再演」される。彼は“見た”もの全てを、完全に再現できる。
そして彼が見たのは──かつて、下層で神と恐れられた全ての殺戮だった。
護井会、上層防衛部隊「七峯」が出動。精鋭7名。いずれもA級、もしくはそれ以上の能力者。
だが。開始5秒──全員死亡。
・視界に映った瞬間、「死に際の奥義」がトリガーされる。
・何が起きたのかわからぬまま、内臓を逆流され、皮膚が消失し、骨が蒸発した。
「はい一撃。雑魚雑魚、次どうぞ~」
嘲るように、流鏡は「鏡に映った自分の死に様」を再現し、爆発する。
しかし彼は死なない。爆発した「彼」は“過去の死”を演じただけの残像。本体は、笑いながらその後ろに立っている。
「白階の名?うん、あれね。捨てた」
「俺が欲しかったのは“世界に映る、ただ一枚の鏡”だよ」
流鏡は聖堂の中心、教団の聖女の首を撫でながら、あくびを噛み殺した。
「世界にバカが多すぎるからさ。見せてやるよ、“全員が一度は見たくなる、完璧な死に様”ってやつを」
その頃、白階では流鏡の粛清命令が発令されていた。
だがそれは、既に20分遅かった。
流鏡は教団の中枢を乗っ取り、“死の録画装置”として神格化されていた。
そして、彼が最後に発した言葉──
「次、グレイくんとウィスくんに会いに行こっか。ちゃんと“最高の死に方”演出しないと、ほら、感動ないじゃん?」
コメント
1件
今回も神ってましたぁぁぁぁぁぁあ!!!!! あ、この子好きだわ。まじで癖にぶっ刺さる...(( でもなんかやばそうなヤツだな...ウィスたん達大丈夫かよ... てか、前回のやつで一毬たんがなんちゃらってなってたよね? なんかそれも相まってやばそうだな...() 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいいいいぃ!!!!!!!!