僕には好きな人がいる。
サファイアの様な瞳に星が煌めく様な水色から紫色の髪。少し高い声、明くて優しい所。花が咲く様に笑う所。
その全てが好きで愛おしい。友達という立場だけで良かった。それだけで僕は幸せやったから。でも、
「なぁ、いむくん今日一緒に帰れる、?」
「あ〜、、ごめん、今日はifくんと帰るんだ、。」
申し訳なさそうに謝る君。まろちゃん、、。またか、。いむくんは、まろちゃんが好きなんかな、。ズキッと心が痛む。いつしか、友達なんていう立場だけじゃ満足出来なくて。付き合いなんて、まろちゃんのことが邪魔だなんていう黒い感情が僕の体の中をぐるぐる回る。
「、、いや、僕こそごめんな、。」
「ううん。また今度一緒に帰ろうね!」
そう言った瞬間、教室のドアが開く。
「あほとけ〜帰るぞ〜。」
まろちゃんだった。どうやらこの教室までいむくんを迎えにきたようだ。
「うん!」
嬉しそうな顔をしながら、駆け寄る君いむくん。
「じゃ、初兎ちゃん、また明日!」
「、うん、。」
元気そうに手を振り、君は僕に別れを告げる。
「っ、。」
この恋はもう、叶わないんやろうか。こんなに好きなのに。つらいなぁ、。
目から涙が出て、頬を伝う。
「初兎、、?」
突如聞こえた声。ドアの方を振り向くと、僕の先輩、悠祐先輩が立っていた。
泣いていたからまったく気がつかなかった。此方に近寄って来て、顔を覗き込まれる。
「泣いてるん、?」
心配そうな声で聞かれる。
「あっ、いや、大丈夫です、。ははっ、ゴミでも入っちゃったんかなぁ、。」
とわざとらしい嘘をつき、制服の袖で涙を拭う。
「いや、でも、、。」
「、本当に大丈夫です。もう、ほっといて下s」
「ッほっとけるわけないやん、。」
僕の言葉を遮り、顔を歪ませる先輩。
「大丈夫な人が辛そうな顔して泣いてるわけないやんかッ、。」
「え、?」
先輩の言葉に初めて僕は自分が泣いている事に気付いた。大粒の涙が瞳から次から次へと溢れ出す。そんな僕を優しく抱き締めてくれる先輩。
「ぅ、はぁっ、先輩ッ、僕、ぼくッ、、。」
「無理に話さんでええで、大丈夫、大丈夫やから。」
僕を慰めながら優しく背中を撫でてくれる先輩。その優しさに更に涙が溢れ出てしまう。
諦めへんと、僕は失恋したんやから。早く、早くこの苦しい感情を消しさってしまいたい。でも、せめて、せめて、失恋する前にいむくん、に好きって伝えられたら良かったなぁ、。
「初兎ちゃん、?」
夕方。日が差し込む教室の中。
其処には先輩が僕の好きな人を抱きしめている姿があった。
コメント
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うわぁ…両片思いかぁ…泣けるんだが