ポチリポチリと牡丹雪。もうすぐで冬は明けるというのに。感傷にふけている場合ではない。あの子が待っている。 少しずつ歩みを進めれば、私が居た後には下駄の跡。嗚呼、こんな事になるのなら、実家から長靴でも履いてくればよかった。
アシㇼパちゃんは、私よりずっとちっちゃくて…なのに私より大人びていて、時には杉元さんの鬼神の如き戦いぶりにも負けず劣らず、弓を引く。でも、白石さん達と一緒に居る時は、何だかとっても楽しそうなキラキラした瞳をしてた。元々綺麗な顔立ちにおっきくて私達より色素の薄い青い瞳。初めて見た時は、見入りすぎて杉本さんに軽くどつかれた。綺麗な顔をくしゃっとして思いっきり笑うの。その姿が可愛くて愛おしくて、つい見惚れる。
杉本さんや白石さんは私がアシㇼパちゃんを”そういう”意味で好きなのを知ってる。杉本さんには”何かしたらぶっ✕✕す”って釘を刺されて、白石さんには”確かにアシㇼパちゃん可愛いもんねぇ”って私の惚気話を聞いてくれた。(優しい)
…分かってるよ。私はアシㇼパちゃんとは一回り以上も歳が違うし、何より同じ女の子だもん。それにアシㇼパさんの気持ちはきっと私なんかに向いてくれない。
前、アシㇼパさんに告白まがいのことをした事がある。
「この金塊争奪戦が終わったら、私の故郷に一緒に帰らない?」
白石さん達は、驚きのあまり目をかっぴらいていた。
「⎯⎯の故郷?」
「うん。一緒に暮らそうよ。」
「…….気持ちは嬉しいが、コタンでフチ達が待ってるんだ。全てが終わったら、自分が居るべき場所へ帰るんだ。」
ひどいよ。アシㇼパちゃん。そんなに優しい声で諭さないで。その日は少しだけ泣いた。
「ねえ、アシㇼパさん。」
「どうした杉元。」
「あんなこと言わなくてよかったんじゃないの?」
「?」
「ほらぁ、昼間の⎯⎯ちゃんのさ、」
「…嗚呼、あれか。、」
「何で、あんな風に突き放したの?」
「⎯⎯にも言った通り、私や⎯⎯には帰るべき場所、待っている人が居るんだ。」
「それに、私が⎯⎯と一緒に居れば、きっと彼奴も危険に晒される。どの道、彼奴とはあんまり仲良くしないほうがいい…。別れる時に情が湧くから、」
「…….じゃあさ、」
______なんで泣いてるの?
「 な︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎ な︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎い︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎て︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎な︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎ん︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎か︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎っ︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎」
「はいはい。好きなんでしょ?⎯⎯ちゃんのこと。」
「うん︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎…」
「じゃあ、明日ごめんなさいしようね。」
ポチリポチリとモタンユキ。私の居た後にはカムイノタリの跡。明日は、彼奴に気持ちを伝えたい。
少しやり方が違うけど、私は⎯⎯にマキリを送る。どうか、気持ちに答えて欲しい。
__キヨ・タ・ムイ
︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎貴方を愛しています︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎
コメント
2件
わぁ待って最高かよ