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二次創作 nmmn knhb
目が見えなくなる話
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「奏斗っ!!雲雀がッ!!」
頭が真っ白になった。
急にランドリーの扉が開かれ、告げられた一言。
「目が、見えなくなったって」
「…は…」
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「状況は本人に聞かないと分かりませんが、ある薬品が目に入る、もしくは摂取し、それが一時的に目の昨日を停止させてるみたいです。」
医者の顔なんて見てられなかった。頭の中は雲雀のことばかり。死んだ訳じゃない。命には何も別状はないのに。不安で、不安でたまらなかった。
「一時的だと思うので、しばらく様子を見れば、治ると思います。事例がないので、まだはっきりとは言えませんが…最悪の場合、失明の可能性が…」
「ッどうにかならないんですか先生!」
「せらおッ!」
セラフが身を乗り出して、先生を問いただす。
そしてそれを止めるアキラ。
冷静じゃいられないんだろう。
でも僕は、そんな事気にしてられなかった。
雲雀に、雲雀に会いたい。
「先生、雲雀の病室は。」
「あ、あぁ、107号室だ」
「ありがとうございます。失礼します。」
「ちょ、奏斗!最後まで話を聞きなさいよ!」
アキラの声が聞こえるが、そんなことは気にしてられない。すぐに扉を閉め、病室に向かう。
107号室。
ちゃんとそう書いてある。
扉を開ければ、見えるのは紫髪。
「ひばり」
「ん、あぁ、奏斗か、おはよう。」
いつもなら見えるトパーズが見えなくて、その目は閉じられていた。
「ッ…ひばぁ…」
「おお、どうしたぁ?っはは、甘えた奏斗だ。」
雲雀の所へ行きぎゅう、と抱きつくと、ぽんぽん、と背中を優しく叩かれる。
不安を感じさせない雲雀が、いつもどうりで、でもどこか悲しくて、僕の感情はぐちゃぐちゃだった
「ひばり…大丈夫、一時的だって。きっと治るって」
「よかったねぇ。」
「ッ…」
まるで、まるで他人事じゃないか。
どうしてお前はいつもそうなんだ。
怖いとか、不安な気持ちはないのか。
僕は怖いよ。お前の目が見れなくなるのが 。
お前が僕の顔を忘れる日が来るのが。
「なんで…なんでお前はいつも…」
「んん、怖いよ、怖くて、不安だよ。」
僕の心を見透かしたように雲雀は言う。
「でも、俺は思うんだ。暗闇も悪いものじゃない。暗闇を見続ければ、皆のことを考えることが増える。そうすると光が見えてくるんだ。
暗闇に光が沢山あればたちまち星空に変わるだろ。
星空といえば、奏斗の瞳だから。俺はそれでいつも不安が吹き飛ぶ。」
暗闇で星を作り出せるのなんて、お前ぐらいだよ。ひば。
「…さっきまで不安でたまらなかったんだ。 もしも、ずっと目が見えなくなったら、セラフの顔も、アキラの顔も、奏斗の顔も、いつか忘れるかもって怖かったけど、みんなの気配を知るだけで俺はこんなにも幸せな気持ち になれる。」
「ふふ、そっか、」
高望みをしない。それが雲雀なのかもしれない。
今ある幸せを探して、それを人生最大の幸福だと信じて疑わない。
もし顔を忘れても、雲雀は気配を感じられることが何より嬉しいのだろう。
僕が知ってる雲雀なんて、2割ぐらいしかないのかもしれない。
雲雀はおバカでも、ずっと大人だと感じる時がある。それが寂しくて、苦しくてたまらない時もあったけど、今はそれが心地いい。
でも僕は欲張りだから、今は雲雀に青空を見ることを諦めて欲しくないんだ。
「でも大丈夫だよ、雲雀。
明けない夜はないって誰かが言ってたんだ。」
すると雲雀は、目も見えないのに、キョトンとした顔をして、すぐに綻ばせた。
「あははっ!青空、見れるといいなぁ」
「きっと見れるよ、一緒に見ようね。みんなで。」