昨日貸してもらった黒の無地のシャツは体格差のあまり首元がよれよれだ
sy「…あの、シャツありがとうございます明日洗って持ってきますね」
銀色のスプーンですくった炒飯はカレースパイスでもはいっているのだろうか、色々なスパイスの味がして濃くて独特の味がする
kn「ん?あぁ、ありがとな」
ガツガツと皿に盛られた炒飯を口に詰める
部屋を見渡してみれば、どの家具も高級そうでソファに投げやられたジャージはブランド品のロゴがでかでかと書かれている
sy「コネシマさんってブランド物とか好きなんすね」
kn「んん、集めるの楽しくてなぁ」
そんなにいそいで食べることもないのに、皿に盛られた炒飯を一気に胃の中に放り込んでしまう
kn「…ショッピくんさぁ、ほんまに肌綺麗よな」
ごくりと喉を鳴らしてコップに入った水を飲み干すといきなりそんなことを言う
sy「どうして急に…?」
kn「あぁいや深い意味はないんやけど、昨日何となく寝顔見てたら綺麗だなって」
一切悪意の無さそうな言い方で言うが、眠っている顔を見られるのはいくらなんでも恥ずかしい
sy「…俺の寝顔ずっと見てたんすか」
kn「ずっとっちゅうわけでもないんやけど」
コネシマさんがモテる理由が少しわかった気がする
sy「まぁ、別にいいです…」
少し熱くなった頬をぺちっと叩いて冷静さを戻すようにグラスに入った水を一口飲んだ
kn「はは、最近ショッピくんの色んな表情見れておもろいわぁ」
sy「なんすかそれ」
kn「んふふ、別に~?」
にまにま笑って俺の事を見つめる
sy「…」
kn「ふははっ、ぁーやっぱり俺ショッピくんのその顔好きやわ~」
sy「意味わかんない…」
…
sy「今日はほんとにありがとうございました」
玄関先で踵を踏んだ靴を爪先で地面を蹴って
整えた
kn「ん、気をつけて帰りや」
そう言ってニカッと笑う
sy「はい、じゃあ失礼します…」
kn「あぁ、そうや。また今度空いてる日あったら2人で出かけよや」
sy「…えっ?まぁ、いいですけど。」
なんで、と口に出しそうになったところで口を抑えて、失礼しますと玄関の扉をがちゃんと閉めた
これ以上詮索してしまったら、関係がこれ以上加速してしまいそうな気がして進む関係が気持ち悪くて聞くのを辞めたのだ
sy「…」
顔を冷たい手で覆って大きく息を吐いた
熱くなった顔が少しの寒さと自分の低い体温で少しづつ正常な体温を戻していった
2人で出かけよう、と言われたあと半強制的に連絡先を交換させられた
未読のメッセージにはスタンプが送信されましたと表示されている
ゆっくり歩きながらそのメッセージを見ると可愛らしい黒猫のスタンプでよろしくと表示されていた
sy「…ふふ」
案外、こういう可愛いスタンプも持ってるんやな
そう思いながら俺も黒猫のスタンプで宜しく、と送り返した
家に帰ると自分の家の香りで少し安心する
俺の家の匂いと上手く混ざり合わないコネシマさんのシャツの匂いがより一層目立って
少し変な気分になった
sy「あぁ、洗濯せな……」
玄関で惚気けていたが我に返って洗濯をしなければいけないことを思い出した
…でも、この匂い好きだし。
あと少しだけ着ていようと思った。
…
がちゃんと扉が閉まってショッピの後ろ姿が見えなくなるとぷしゅーと空気が抜けたように玄関に座り込む
同じ大阪出身で、偶然にもショッピの教育係になったが高校時代にも俺はショッピのことを知っていた
多分ショッピは俺の事を覚えていないんだろう
それはそうだ、特に関わりはなく、他学年の交流がない限り顔を合わせる機会もなかった
俺の方が一方的にショッピのことを見つめていただけ
前も今も変わらず気怠げそうな顔と、少し生意気な態度が何となく気に入って目で追いかけるようになっていた
ショッピも俺も帰宅部で帰り道は一緒だったが、肩を並べて歩くことは無かった
俺に話しかける勇気がなかったからだ。
近づきすぎないように何人かの友達と帰るショッピを目で追って満足していた
何かの手違いで俺の事を口に出したりしてくれないかな、なんて期待してストーカーみたいなことを毎日繰り返した
校内では自分の耳にもタコができるほどの俺の噂が流れている
入学してくる1年生や同級生に顔がいい、優しい、高身長、と言われ続けて耳を塞ぎたくなるほどだった
クラスではそれなりの地位を手に入れて校内でも誰にでも認知されていた
そんな俺にも彼は気づいていないようでただ身の回りの事をこなすだけだった
そんな彼も愛おしくてたまらないと思った
きっと俺は一方的に人を愛することしか出来ないのかもしれない
過去のこともありその時に改めてそう思った
この気持ちは彼が振り向いてしまったらふっと消えてしまうんだろう
でも再会してから、面と向かって話すようになってショッピの内面を知れるようになってからはそんな自分の体質も変わっていくような気がした
華奢な手も酔った時にふにゃふにゃになる姿も高校の時にはしれなかった一面が今になって全てを知った気でいた
近づけただけで嬉しかったんだ
これ以上の関係に踏み込んでしまいそうな程に惚れ込んでしまったのに、この気持ちを止める気にもなれない
そんな自分が少し憎くて、でもそれくらいには彼に惚れている。
それならいっそ振り向かせてしまえばこの気持ちもすっきりするはずだ
くそ短いし変なとこで切ったけど許してー‼️‼️
完成しそうな話が何個かあるので来週も頑張って投稿します‼️‼️‼️
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