・🎲様のn m m n作品です
・本人様とは全く関係ありませんので二次創作としてお楽しみください
・浮気ネタ
・曲パロ
・コンテスト作品
・青×黒
「今日はありがと、ごめんな急に」
「落ち着いた?」
不安定な彼を慰めるのが俺の役目。こうして彼を愛する恋人の住む家へ返す。
「いふは本当にええ奴やな」
毎回のように俺を善人に仕立てて家を出ていく。良い人って呼ばないで、俺はそんないいヤツじゃない。そこ止まりの人とラベル貼るの辞めろって。動悸が早くなっていく。無慈悲に進む秒針の音も心臓いで耳障り。彼が居る時には強がってしまう。でも一人になると、一方的に送ったメールの返事が遅いせいで壊れてしまいそうだ。
眠れないよ、いつになっても。今、彼は俺の知らない誰かに指で悶えているのだろうか。想像したくも無いそんな姿が浮かんで消える。頭を冷やしたくて、ベランダに出て夜空を見上げる。こんな時に限ってやけに綺麗な月なんて落ちてきてしまえばいい。彼がただ欲しいだけ、そんな願いが届かないならいっそ全部を壊してしまいたい。
「じゃあね、ありがと」
毎日拗らせている俺の気持ちなんて知る由も無くドアに手をかける。
「待って」
背を向けていた彼の手を握ると驚いた顔をした。振り向いた顔はもう恋人へ向ける顔へと変わっていた。 今夜、俺の心は絶体絶命。想えば想うほど、愛せば愛すほど。手の体温だって伝わっているのに、貴方を遠く感じて狂おしくなる。
「こんなことするのどうせ俺だけでしょ?」
醜い気持ちは隠して子供らしく笑う。これが彼の望む俺の姿だから。
「そう、だね」
俺との関係も恋人の関係も現在進行形。俺には一人しか居ないのに馬鹿みたいだ。どうしてフリーじゃ無いの、なんで別れてくれないの。そんなこと聞いたらまた泣かせてしまうから 言えないけれど。奪いたい癖とか全然無い、ただ貴方が欲しいだけ。
彼を安心させるのが俺の役目だったはずなのに、いつしかそんなんじゃ物足りなくなってくる。気づきたくはなかったけど、貴方にとって俺は寂しさ時だけの存在?それって、
「都合のいい人…」
自分で口にしたくせに吐き気が襲ってくる。彼が俺に見せる顔も全部作りものかもしれない。だめだ、許せない。見返りを求める愛はいけないこと?
粘り強く彼を家へ誘う。大丈夫だろって、喧嘩したんだろって。今日も明日も恋人は居ないんだから。
「バレたら俺がなんとかしてあげるって」
「本当…?」
口から出まかせの軽い言葉。ね、いいの?
「って、駄目じゃんかそんなに俺を信用しちゃって。胸のほくろも知ってるのに」
冗談だったはずのなのに一気に顔が強張っていく。
「違う、ごめん。脅してるんじゃなくて、ただちょっと会いたくなっただけ」
後ろからそっと彼を抱きしめた。それは二人の合図だった。
信じたい。恋人とは切っても切れないだけだって。俺の顔を見て、初めて本気になったよと言っていたあの頃を。こんな優しく抱きしめられたことなんてないと涙を流していた夜を。
でもそんな幻想は無常に散って。もう彼との連絡は2週間前で途切れてしまった。
『もう会えないかも。今までありがとう』
いくら飲んでも酔えぬ夜に限って飲まずにいられない。今まで恋人は喧嘩ばっかりしてたくせに。俺が繋ぎ止めてあげてただけなのに。 1番幸せにできる、ずっとそばにいる、なんでもいうことを聞く から!行く宛も無い感情、全部飲み干してしまいたい。
今夜絶体絶命。どうしても止まれない。独りで果てたって、彼への想いが消えるわけないのにさ。おかしくなって笑っても、その声が虚しく響くだけ。あの肌の感触に目一杯説明なんていらない。今度は貴方から抱きしめてよ。そして、その後に抱きしめさせて。ずっと俺だけの人でいて。絶対に逃さない。
二人が出会ったのは、たまたま入った居酒屋で酔い潰れた俺を彼が介抱してくれたところから。自分が同棲する家へ、なんの躊躇もなく成人男性をあがらせるなんて中々の度胸だ。だから覚えてる。絶対に来るなって言われたけれど。二人の絶対は嘘つきだ。躊躇いなくインターホンを押す。機械音混じりの彼の声が明らかに同様している。
「きちゃった」
また自分を誤魔化すために笑うけど、飛んでくる怒声にびっくりする。
「来んなって言ったやろ!」
「開けないからな」
「じゃあ俺もここ退かないよ?彼氏さん来るまで待ってよ〜」
そう放つとプツりと音が切れて。数分後弱々しくロックが外された。部屋を開けると恋人との暮らしが嫌でも目に映り込んできて鬱陶しい。
「よくないって気づいたから、あいつにもいふにもさ」
「今更?そんなのわかり切ってたことでしょ?」
彼を寝室へと追い詰めていく。彼の肩に手をかける。冷たい身体。
「俺たちは絶体絶命なんだよ、ずっと」
ここでするのはニ回目だ。初対面だった彼が泣きついてきたあの日。そこから沢山愛を捧げた。でも愛せば愛すほどに、やっぱり貴方の存在を遠く感じるの。なんでだろうね、貴方が俺を愛していないから?そんな貴方 ももはや狂おしい。
「こんな風に浮気するのどうせ俺だけでしょう?本当はもっと関係を持ってる人がいて、その人たちと会うのに…」
「それは違う!」
「本当に、浮気って駄目やなって思っただけ…」
今頃世間体に気づいたって遅いのに。そうであればむしろ楽になれたな。
「一体全体さ、愛ってルールだけで止まれるのかな」
そうじゃないって教えたくせに、知りゃなけりゃよかったよ。
久しぶりだ、こうして愛を注ぐのは。 明らかに顔を歪める。
「痛い?痛いでしょ。この痛みに愛情以外ないから」
ガチャガチャとドアが鳴る。気づいて抵抗する彼と、鍵を開け入ってくる憎らしい人。顔も知らないけど、俺は世界の誰よりもそいつが嫌い。足音はついに寝室の前まできた。
「おーい」
電気が灯るのと同時に彼に口付けをした。
「俺はただ貴方が欲しいだけだよ、どうしてわからないの。悠佑」
絶体絶命/west.
あとがきが消えていたので投稿しなおします
尊敬するゆっぱさんのコンテスト作品という体ではあるのですが、てんやわんやし過ぎて参加期間が終わっているのではという可能性を考えてませんでした!!
終わっていたら終わっていたで、黒右がまた一つ増えたということでいいでしょう
黒の恋人はお好きな人でご想像ください
私は白桃辺りだと興奮します
コメント
7件
参加ありがとうございます!!! 雑談のほうでもう小説は出さないと言われていたので、こうやってコンテストに参加していただいて本当に嬉しいです!!! 1925さんの繊細な感情表現、やっぱり大好きです😭 原曲のほうも聴いてきたんですが、1925さんは文章に歌詞を溶け込ませる天才だと思います!!! 改めて参加ありがとうございました!!!
にごちゃんの曲パロだ😭😭😭✨ こういう系ほんと大好き 青くんの言動一つ一つが少しずつ黒くんを縛って言ってる感じでもー好き 言葉に起こせない!!ごめん!!!
わぁぁ...、もうなんかドッロドロしてて好き、ちゃちな子供の遊びと甘い大人の関係?みたいなのが入り交じっててとても好き!、青の言動とか行動が束縛心とか、独占欲をハチャメチャに表してて素敵!、黒も黒で、抗いきれない感じなのが凄く良きです...。居酒屋でってのが2人っぽいし、都合のいい関係ってのも青黒っぽくてとても好きほんとに!、彼氏さんちょいお気の毒。久々に見れてめっちゃ嬉しかったよー!、今回も神!