コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
**第6話「まりのドキドキ予報」**
「ねえ、好きな人って、どんな感じで『好き』って気づくんだろ?」
ある日の放課後、美奈と並んで帰りながら、なんとなく聞いてみた。
美奈は少し考えてから、「……なんか、特別に見えるとか?」って言った。
「特別?」
「うん。他の人と違うなって思うとか、ちょっとしたことで気になるとか……。でも、わたしもまだよくわかんないけど。」
「そっかー。」
わたしは納得したような、してないような気持ちで空を見上げた。
***
最近、クラスの藤井くんを目で追ってる自分に気づくことが増えた。別に意識してるつもりはないのに、なんか気になる。話してるときの声とか、笑ったときの目元とか。
これって「特別」なのかな?
いや、まだ違うかも。なんとなく気になるだけで、「好き!」って確信があるわけじゃない。
でも、例えば——
「まり、宿題やった?」
藤井くんに話しかけられたとき、心臓がちょっとだけ跳ねた。
……あれ?
***
「まりってさ、恋するとどうなるタイプだと思う?」
次の日、お昼のときに柚が聞いてきた。
「えっ?」
「いや、なんとなく。」柚はくるんと巻いた髪を指でくるくるしながら笑う。「まり、意外とすぐ落ちそうじゃない?」
「ちょ、なにそれ!」
「でも、気づくのは遅そう。」
「うぐっ……。」
言い返せないのが悔しい。
……でも、もしかしたら、その通りなのかもしれない。
***
わたしの恋は、今、降水確率10%くらい。
でも、なんとなく——
そのうち、雨が降る気がする。
***
**まりの恋は、ゆっくりと近づいている。**