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結局あの後、お祝いの会はお開きという事になった。
皆があんな状態では楽しめる訳がないのは一目瞭然だった。
…ほとけも居なくてなってしまったのもあるだろうが。
帰り際、あにきに声をかけられた。
「まろ、ごめんなせっかくのお祝いなのにこんな……」
「全然いいよ、気にしんといて。あにきのせいちゃうし…
祝ってくれて嬉しかった。ほんまにありがとう」
「……まろ笑ありがとうな」
あにきは俺の言葉に安心した様に優しく何処か寂しげに微笑んだ。
「お邪魔しますー、」
誰も居ないないこの家。
玄関で濡れた傘を置き、靴を脱ぐ。
部屋に入ると、沢山の纏められたダンボールが積み重なっていた。
ないこの家自体は活動やプライベートを含め何度も来た事がある。
けれど、ないこが家に居ないのは初めてだ。
「…静かやな……」
ないこが居ない家は何処か寂しく、何かが足りない様な感じがする。
「!!あのソファ…!!」
唯一1つだけ包装されていない荷物にないこが生前愛用していたソファがあった。
ふかふかしていて気持ちのだとないこが言っていたのを思い出す。
俺はそのソファに座り1人考える。
「俺が、死んだら、か…」
ほとけに言われた言葉。
確かに、ほとけの言う通りだ。
俺が死んだ方が良かったのかもしれない。
いや、良かったじゃない。
良かったんだ。
だって、俺を庇ったせいでないこは死んだのだから。
何回も泣いた筈なのに思い出す度に涙が溢れ出してくる。
「、ないこ…」
答えてくれる筈もないないこの名前を呼ぶ。
『なあにー?まろ?』
突如、耳元でないこの声が聴こえた。
「っ!?ないこっ?」
声が聴こえたきた自分のすぐ横を見るとないこがソファに座り俺の方を見ていた。
『ふふっ、バレちゃった笑やっほー!!まろ、一昨日の病院ぶりだね』
ないこはイタズラっ子の様な笑みを浮かべ笑っていた。
「ないこ見間違いじゃ、ないよな…?」
『うん』
「俺が見てる幻覚でも無いよな…?」
『うん』
「本物のないこやんな…?」
『うん笑もう、しつこいなーw何回もそう言ってんじゃん
本物のないこだよ。まろ』
何回も質問する俺を可笑しそうに笑うないこ。
「…ないこッ、」
俺が感情に身を任せないこを勢いよく抱き締めようとすると
『あ!?ちょっと待って!!このままじゃ触れられないから!!』
と言われ止められた。
「?……え、あぁ、分かった?」
俺はひとまず体を元の場所に戻し、ないこを見つめる。
ないこが体に力を入れると空気が揺らぐのが分かる。
すると、次の瞬間眩い光が放たれないこの体を包みこんだ。
どれ程時間が経っただろうか暫くしてないこの体を包んでいた光は消え失せた。
『はい!!これでおっけー!!』
ないこが手を広げ、俺の方を見る。
「えっ/?」
『ん?どうしたのハグ、しないの?』
ないこがほら、おいでという風に俺を見る。
「……失礼します…」
俺はないこに一言声をかけ、抱きしめる。
ないこの体は少し透けていてとても冷たかった。
『、体冷たいでしょ笑まぁ、死んでるから当たり前なんだけど』
ないこがはは、と苦笑いをする。
「そんな事あらへんよ」
『え?何?嘘付くの?はっきり言っていいのに…」
「ううん、あったかいよ」
『そう、?本当に?』
「うんッ」
ないこの言う通り体は冷たい、けど何処か温かさがある。
「ないこッ!!ない”こッ、ぅ“っ」
俺は涙を流しながらないこの細い体を抱き締めた。
『、まろ、ごめんね』
ないこは泣く俺の背中を優しく摩る。
「違ッ、ないこはッ、ヒグッわる”くっないん、よ“ッ」
否定したくても声が上ずってしまい上手く話せない。
『うん。ありがとう』
ないこの言葉を聞く度にないこの透ける体を見る度に本当に死んでしまったのだと感じて涙が止まらない。
ないこはそんな俺を優しく抱き締め返してくれた。
『ねぇ、まろ』
「ん”っぅ?なに“ッ、?」
『まだ時間もあるし、少し話をしようか』
「……ズビッな“んのっ?」
『んー笑?まろと俺の昔話』
ないこは少し微笑みそう言うと俺の目に浮かぶ涙を人差し指で拭った。
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