rch side 、 nk side あります。
※めっちゃ長い
rch side
─────────────────────
せんせーは少し、いや、長い間泣いていて。
きゃめさんとじゅはちは気を利かせてくれて別の部屋へ移動して行った。
『 …に、きぃ、 』
『 …なん、なんでよぉ、 』
そう言ってすすり泣くせんせーの背中を、横でずっとさすっていた。
『 …んん、にき、 』
泣き疲れたのか眠ってしまったせんせー。
寝言でもニキニキの名前を言うなんて、よっぽど好きなんだろうな。
…好きな人が想っている相手は自分じゃない。
分かっているけれど、そんな事実がどうしても悔しくて、寂しくて。
せんせーを1番見てたのはきっと俺だよ?
「 …寂しいなあ、 」
せんせーのふわふわとした髪を軽く撫でて、
そっと独り言を呟く。
静かになった部屋には気付かぬ間に降り始めていた雨の音。
…傘、持ってきてたっけな。
…どうでもいいか。
なんだか、人生の色が全て褪せてしまった、そんな気がする。
いざ自分の好きな人が自分の友達を好き、だなんて状況に立ち会ってしまうことは、本当に辛いことで。
…本当に泣きたいのはせんせーの方なのに。
俺が泣いちゃいそうだよ。
ぱっ、とスマホを見て、時間を確認する。
もう結構遅い時間帯、なので可哀想だけどせんせーを起こして帰らせてあげないと、
「 せんせ、起きて。 」
「 帰った方がいいよ、 」
ゆさゆさと体を揺らす。
『 …りぃ、ちょ…、 』
ぱ、と目を覚ましたせんせー。
「 ん、なあに、 」
『 …今は俺から離れんといて、? 』
ああ、ほらまた、そういう事言う。
…そんなこと言っちゃっていいの?
今まで抑えきれてた気持ちが溢れちゃうよ?
…そんな感情は押し殺して。
「 …、はいはい、笑 」
「 送ってってあげるから、ね?笑 」
「 …ほら、立って。 」
そう言ってせんせーに手を伸ばす。
せんせーは少し躊躇いがちに俺の手を掴んでくれた。
さっきまで降っていた雨は、いつの間にか止んでいた。
せんせー達の家へと続く道を2人で歩いて。
こうして見るとまるで恋人みたいだ、なんて思うけれど実際は全く違って。
なんなら相手にはまた別の恋人がいて、そしてせんせーはその恋人の事をとても大事に思っている。
…俺がそんな二人の間に入っちゃいけないんだよ、
『 …あ、ここ、 』
せんせーの家にはすぐに着いた。
「 …お、意外と近いんだね。 」
「 …んじゃ、また今度ね、せんせ、 」
そう言って振り返り、歩き出す。
つもりだったのに。
『 …りぃちょ、 』
せんせーが俺の名前を呼ぶ。
また俺をそうやって呼び止める。
そんな声で、そんな俺を頼りにするように呼ばないでよ。
「 …ん? 」
『 …ニキが帰ってくるまで、一緒におって欲しい、 』
『 …あかん、? 』
そんなこと好きな人に言われて、断れる奴いるの?
…断れないじゃん。
「 …分かった。 」
せんせーは表情を綻ばせ、俺を家に入れてくれた。
『 …ずっと、怖くて、 』
『 …いつ、あいつに飽きられるんやろか、なんて考えてたらニキと話すのも声が上手く出されへんくなって、 』
『 …それでも、ニキは俺の事を大事に思ってくれてる、 』
『 そう、思ってたから、今まで頑張ってこれてたのになあ、笑 』
せんせーが今まで感じていたことを話してくれて。
なんだか心を許してもらったみたいで嬉しくて。
せんせーは辛いけど、俺はそんな時に嬉しさを感じてる、なんてほんとに、俺ダメだなあ、笑
「 …頑張らなくていいよ、せんせ。 」
どうにかしてこの想いを止めようとしたけど、止められなくて。
1回これでさっきせんせーを困らせた癖に、またもう一度繰り返すの?
そんな事も脳裏によぎったけれど、もう身体は勝手に動いていて。
腕をせんせーの首までかけて。
優しく、せんせーを抱きしめてしまったんだ。
『 …ん、え、? 』
「 …ごめん、ごめんせんせー、 」
「 …最後、これで最後だから、 」
「 …もうちょっとだけ…、 」
〈 …は? 〉
とある聞き覚えのある声が耳に入ってきて。
〈 …何、してんの、? 〉
〈 …りぃちょ。 〉
やばいと思ってももう遅くて、聞こえてきた声の方を見て、顔を見て。
「 …ごめん、ニキニキ。 」
「 これで、もう、諦められるよ。 」
「 ほんとにごめんなさい。 」
そう言ってニキニキとせんせーに頭を下げた。
『 …ちょ、え、? 』
『 りぃちょ、頭なんか下げんといて、? 』
せんせーは優しくそう言ってくれたけど。
ニキニキの視線は怖かった。
「 …ごめんね、帰るよ。 」
そしてニキニキの横を通り過ぎる時。
「 …次は、ほんとに盗るから。 」
そう言ってせんせー達の家を出て行った。
──────────────────
nk side
あの後、散々雨を浴びて、びしょびしょになって。
通り雨だったのだろうか、直ぐに止んでしまったけど。
ボビーはもう家に帰っているのだろうか、分からない。
なんだか家に帰りたくなくて、帰ってボビーがいれば何を言われるか分からなくて。
俺は、今もボビーのことが好きなのだろうか、ちゃんと、愛せているのだろうか。
それをちゃんとはっきりさせてから家に帰ろう。
それでもしも、ボビーがもう俺のことを好きじゃなくても。
また、再スタート出来たらいいな。
…こんなこと、考えてるなんて。
1日前の俺じゃ、想像もしていなかったよな。
…全部、俺が悪いんだ。
ボビーは何にも悪くないから。
俺一人だけで罪を償った方がいいかな。
でも、ボビーは優しいから。
もしまだ俺のことが好きなら、きっと俺も一緒に償うから、まだ一緒にいよう、なんて言うんだろうな。
…はは、俺、やっぱボビーのこと好きだわ、
頭がボビーでいっぱいになると、幸せで。
なのに俺はボビーのことなんか頭からすっかり抜けていて。
最低過ぎるよな、ほんとに。
結論が出て、さぁ帰ろう。
なんて思って歩いてみると妙に体が軽い。
それは、経過した時間によって服が乾いたからなのか、気持ちの整理がついて心が軽くなったからなのか。
…両方だといいな。
家の前へ着いて。
電気は着いている。
「 …ふう、 」
1つ、深呼吸。
がちゃ、と静かにドアを開けて。
すると、廊下の先には、
「 …りぃちょ、? 」
なんで?なんでりぃちょがいるの?
しかも、距離が近い。
何してるんだろう。
俺以外の男と…?
おかしい、おかしい…。
その時、唐突に理解した。
ボビーはいつも俺が遊び回っている時、こんな気持ちだったんだな、って。
凄く、辛くて寂しくて。
心の中に大きな穴が空いたような感覚。
凄く、申し訳なかった。
今更謝ったって許してもらえるかどうかなんて分からないけど。
謝らないと、一生心残りになるから。
いざ、近付いて。
鮮明に2人の姿を捉えた。
「 …は? 」
「 …何、してんの、? 」
「 …りぃちょ。 」
ハグ、?
何だかよく分からない。
目の前がぐるぐるして、何も見えなくなって…
また見えるようになった頃にはりぃちょが真っ直ぐ俺の目を見ていて。
〈 …ごめん、ニキニキ。 〉
〈 これで、もう、諦められるよ。 〉
〈 ほんとに、ごめんなさい。 〉
そう言って、りぃちょは頭を下げた。
こんな時、俺はどうすればいいのだろうか。
ボビーは優しいから、りぃちょに声をかけていたけど。
何をすればいいのか分からなくて。
りぃちょをただ見続けることしか出来なかったんだ。
〈 …ごめんね、帰るよ。 〉
そう言ってりぃちょは俺の横をすりぬける。
そして、耳元で囁いた。
〈 …次は、ほんとに盗るから。 〉
…怖くなった。
本当に次はない、って。
りぃちょが出ていったドアが完全に閉まって。
ボビーと2人。
「 …ボビー? 」
俺がそう声をかけると、肩を少し震わせて。
『 …なに、 』
「 …ごめんね、ボビー。 」
「 …俺は、今でもボビーが好きだよ。 」
俺がそう言うと、ボビーははっ、とこちらを見て、目に涙を貯めて。
「 …泣かないでよ、 」
そう言って近付いて、袖で流れ始めた涙をふき取って。
『 …うう、良かったあ、 』
そう言ってボビーは俺の胸に飛び込んでくる。
それを俺は強く抱き締めて。
「 ごめん、ごめんね…、 」
「 大好きだから、 」
『 …俺も、 』
小さいけれど、ちゃんと言ってくれた。
俺は少し腕の力を緩めて、ボビーと見つめあって。
そっと顔と顔を合わせた。
────────────────────────
コメント
2件
おおおおおおお!!!続編嬉し!!最高でしたー!
うわぁ、!🥹🥹ありがとうございます 最高です🥰🥰